ビジネスパーソンインタビュー
“日本一発信力のある野球選手”山﨑康晃の発信論「SNSは人を笑顔にするためにある」

「いい環境の連鎖」がファンサービスにつながる

“日本一発信力のある野球選手”山﨑康晃の発信論「SNSは人を笑顔にするためにある」

新R25編集部

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自分メディアのつくりかた

2018/09/25

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SNSを通じて、自身の活躍の場を広げている人たち…。彼らは、どんなポリシーを持って自分の考えを発信しているのか?

今回登場していただくのは、プロ野球選手。インタビューしたのは、ツイッターフォロワー数69万人を誇り、「日本一の発信力のある野球選手」といっても過言ではない、横浜DeNAベイスターズ・山﨑康晃選手

試合前のベンチという、本来ならピリピリしている環境での取材にもかかわらず、山﨑選手が語ってくれたのは「ひたすらにシンプルな“優しさ”」についてだった。

【山﨑康晃(やまさき・やすあき)】東京都出身。1992年生まれ。投手。帝京高、亜細亜大を経て、2014年のドラフト会議で横浜DeNAベイスターズに1巡目指名され入団。クローザーに抜擢されると37セーブを記録し、新人王に輝く。以降チームのクローザーとして、また日本代表としても活躍。通算238試合、10勝15敗129セーブ32ホールド(2018年9月25日現在)

「ポジティブな意味で常に誰かをびっくりさせたい」

――そもそも、なぜツイッターを始めたんですか? 今や球界でSNSといえば山﨑選手、というほどの第一人者ですが…

山﨑選手

そうですか?(笑)

今でこそそう言ってもらえることもあるんですけど、もともとは、大学時代(亜細亜大学野球部)はSNSが禁止されてたんですよ。だから初めてやったのはプロに入ってからなんです。

新人選手みんなでDeNAの本社見学に行くときに、周りの選手に「えっ?やってるの?」みたいな(笑)

――野球にメリットがあるわけじゃないと思うんですが、なぜそこまでSNSに向き合っているんでしょう?

「メリットですか…」

山﨑選手

ベタな言い方ですけど、自分が「夢をもらった」経験があったので、ファンの人ととにかく交流したかったんですよね。

僕がプロになれたのは、実家の近くで幼なじみとして育った森本稀哲さん(=もりもと・ひちょり。帝京高を経て日本ハムファイターズ入団。外野手として活躍)のおかげなんです。

稀哲さんが、サインを書いてくれたり、球場に招待してくれたりしてたんですよ。それで「プロ野球を目指そう」と強く思ったから今があると思ってますから。

――ファンに“夢を与えたい”という気持ちを強く持っていると。

山﨑選手

そうそう。僕は、もともと「人を喜ばせたい」とか「サプライズ好き」なところがあるんですよ。

常に、ポジティブな意味で誰かをびっくりさせたいというか

サプライズ”といえばファンの間で有名なのが、帝京高時代、野球から逃げ出そうとした山﨑選手を叱ってくれた母に「一輪の花をプレゼントした」エピソード。

僕は「辞める!」の一点張り。すると、母の目から涙がこぼれた。離婚しても、朝から夜遅くまで働いていても、決して涙も泣き言もこぼさなかった母が、僕の言葉で泣いている。瞬間、どうしようもない気持ちでいっぱいになった。翌朝――。

「学校に行きなさい! 前田監督には、私から連絡をしておくから!」

そう言って、母は僕を無理やりタクシーに乗せた。(中略)翌日、学校の帰り。マンションの隣にある花屋さんで一輪の花を買った。

「お母さん、僕を学校まで送り出してくれてありがとう」

著書『約束の力』飛鳥新社(P37、38)

新人王を受賞したプロ入り初年度のオフには、そんな母に送った「感謝の手紙」の画像をツイートしている

人柄がにじみ出る、こんなエピソードを垣間見ることができるのも、山﨑選手の発信の魅力なのかも。

「いい環境の連鎖」が作れれば、ファンサービスは自然と生まれる

――球団の人から、「ファンサービスをするように」と指導されたりするんでしょうか?

山﨑選手

いえ、球団から具体的に何か言われてるわけじゃないんですよ。

こういうのって、誰かに「やれ」って言われても意味ないじゃないですか。言われたところで、やらない選手も多そうだし(笑)。

それでもチームのみんながやってるのは「環境」が大きいです。入団したときの監督・中畑清さんも、今のラミレス監督も、“ファンのために行動すべきだ”というのを明確に示している。

――三浦大輔選手(長年チームを支えたエース投手。2016年に引退)もそうでしたね。

山﨑選手

まさにそうです。

だから僕は、後輩の選手が、僕らが何も言わないのにファンにサインをしてたり、SNSで交流してたりするのを見るのが一番うれしいんですよね。

そういう「いい環境の連鎖」を自然に作れているんだって

人を笑顔にしたいから、SNSをネガティブに使わないと決めている

――非常にききづらいんですが、SNSをやっていてデメリットを感じたことはありますか? ピッチャー、とくに山﨑投手のようなクローザー(試合を決めるために、勝ちゲームの最後に投げる重要な役割)って、打たれて逆転負けしたりしたら、バッシングもすごそうですが…

「その質問ですか」

山﨑選手

大げさな言い方ですけど、僕は、ある種の「覚悟」を持ってやっているんです

SNSはいろいろなことを言う人がいて当然。でも、発信側としても受け手としても「このツールはネガティブな使い方をしない」と決めているんですよ。

――なるほど。プロ野球界では、まだまだ選手個人がSNSで発信することに積極的ではない風潮も一部にありますが、そんな“球界の常識”を変えていきたい、というような意識もあるのでしょうか?

山﨑選手

そういうふうに言われるかもしれませんけど…。そこまでは考えていません。SNSでプロ野球選手のいろんな部分を伝えていければと思っています。

いま「デメリット」って言われましたけど、ポジティブに使えばすばらしいものじゃないですか。だったら誰かを批判したり、足を引っ張ったりするためじゃなく、人を笑顔にするために使いたい

僕、基本的に人が悲しんでるところを見たくないんですよね

――「人を笑顔にする」ために、山﨑選手はどんな発信をしてるんでしょうか?

山﨑選手

すごく単純ですけど、自分やほかの選手の「笑顔の写真」を投稿するようにしてるんですよ(笑)

これなら笑顔になれませんか?(笑)

ほんとだ…!

写真大丈夫ですか? 眉間にシワが寄ってるってよく言われるんです」、と言いながら、ひたすらにこやかな笑顔で取材に応じてくれた山﨑選手。

彼の発信が支持される理由は、単に実力のある投手だから…というだけではなく、そのポリシーに忠実な、「人を笑顔にする」力にあふれているからに間違いないだろう。

興味が出てきた方は、ぜひ横浜スタジアムで恒例の登場シーン「ヤスアキジャンプ」を体感してほしい。山﨑選手自ら「ファンを盛り上げるため」に考案したテーマソングにノッて笑顔になる大観衆の姿に、必ず目を奪われるはずだから。

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=二條七海(@ryuseicamera)〉

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