

社会課題を“真面目におもしろく”解決。元・国会議員秘書の異色経営者が語る「発想の源」
選んだ道を正解にする。
新R25編集部
社会課題を“真面目におもしろく”解決する株式会社伍代。
元・国会議員秘書で異色の経営者、鈴木丈章さんの“発想の源”に迫ります。
〈聞き手=山田三奈(新R25編集部)〉
おもしろい事業の“発想の源”

山田
鈴木さん、今日は「不動産で世界をおもしろくする」という御社のビジョンの背景を深掘りできればと思っています。
あらためて、鈴木さんの経歴、かなり“異色”ですよね。

鈴木さん
そうかもしれませんね(笑)。
私は1980年生まれで、近畿大学短期大学部を卒業。まずゼネコンに入社して建築技術や不動産取引の実務を学びました。
現場での生きた経験のなかで、仕事の本質を体で覚えた感じですね。

山田
そのあと政治の世界へ…?

鈴木さん
はい。2013年に、久留米大学名誉学長の薬師寺道明先生からのご紹介で、元金融担当大臣だった渡辺喜美先生の秘書を兼職することになりました。
そこから2022年の任期満了まで約9年間、議員秘書として政治活動を支えました。

山田
事業と政治、すごい組み合わせですね…!

鈴木さん
でも、どちらも「社会の仕組みをつくる仕事」なんですよ。
それで2015年に、秘書業と並行して株式会社伍代を立ち上げました。
不動産や建築を軸にしつつ、「社会をおもしろく変える装置」としての事業に挑戦しはじめたんです。


山田
以前ご紹介した「トレーラーハウス事業」も印象的でした。
可動式で売却もできるなんて、すごくユニークですよね。

自由度が高く、設置場所を選ばない。株式会社伍代「トレーラーハウス」の魅力とは
くわしくはこちらの記事を読んでみてください

鈴木さん
ありがとうございます。トレーラーハウスも、「空き家問題」や「柔軟な暮らし方」という社会の課題から着想しています。
うちは“真面目な不動産屋”なんですけど、既存のルールに縛られず、社会に対して「こういう方法もあるよ」と提示していきたいと思っていて。

山田
法務体制もしっかりされていますよね。橋下綜合法律事務所が顧問と伺いました。

鈴木さん
はい。2016年から、代表・橋下徹弁護士の事務所を法務顧問として迎えています。
社会課題を扱うなら、しっかりした法的視点も必要だと感じていて。

山田
そして、最近は“発言”にも力を入れているとか?

鈴木さん
2023年から、幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんにも顧問に入っていただいています。
箕輪さんは“机上の理論じゃなくて現場に全力で向き合う”というタイプ。
僕の価値観とも重なって、情報発言やブランディング面でも化学反応が起きはじめています。

山田
鈴木さんご自身も、現場に出るタイプですよね。

鈴木さん
そうですね。経営だけじゃなく、企業問題の調査も依頼をいただきます。
じつは2024年には、企業問題に関する特別調査委員会の委員に選任されまして。
旧ジャニーズ事務所のチーフ・コンプライアンス・オフィサーだった山田将之弁護士とともに、企業問題調査に従事しました。

山田
まさに「不動産の人」でもあり、「社会の人」でもありますね。

鈴木さん
社会には正解がない課題がたくさんあります。でも、選んだ道を“正解にしていく”ことはできる。
そのために僕は、不動産という手段を使って、世界をおもしろくしていきたいんです。
経営から人間関係まで…どんな悩みにも答える「無料相談窓口」が始動

山田
“社会課題をおもしろく解決する活動”として、いま力を入れているのは何ですか?

鈴木さん
少し前に、無料で利用できるメール相談窓口を開設しました。
これまで議員秘書や民間企業の経営支援に携わるなかで、延べ2万件を超える「経営相談・生活相談」に取り組んできたのですが…
「こんな相談をできる場所はほかにない」「もっと多くの人にこの機会を広げてほしい」というお声を繰り返しいただいていたんです。

山田
それで窓口の開設にいたったと。どんな相談を聞いてもらえるんでしょうか?

鈴木さん
どんなご相談でもかまいません。たとえば…経営者・リーダー層のお悩み。
私は2024年に企業問題に関する特別調査委員会の委員に選任されたこともあって、さまざまな企業の課題を調査していますが…
「人材マネジメント」や「資金繰り」といった事業に関わる問題に加えて、「ハラスメント対応」や「労務トラブル」など、ケアしないといけない課題は年々複雑化しています。
まだ正解のない課題も多いので、選んだ道を正解にしていけるような相談の場にしたいですね。

山田
企業顧問さながらで頼もしいです。

鈴木さん
経営の悩みに限らず、日々の生活や人間関係のお悩みでもかまいません。
家族・友人・職場との「人間関係の悩み」や、漠然とした「将来への不安」など、なかなか相談できる相手がいないお悩みをお聞きします。

山田
そんなことまで?

鈴木さん
はい。どんな状況であれ、言葉にすることで課題は整理されますし、見えてくる答えがきっとあると思います。
相談料は一切いただいておりませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
不動産売却で子どもたちの未来を守る「あしなが不動産」

鈴木さん
ほかに“社会課題をおもしろく解決する活動”でいうと、「あしなが不動産」という取り組みもそうかもしれません。

山田
あしなが不動産?

鈴木さん
不動産を売却し、その売却益の一部を「社会貢献団体」に寄付する取り組みです。
寄付先は、たとえば親を亡くした子どもたちや親が障害で働けない家庭の子どもたちを支える民間非営利団体「あしなが育英会」など、オーナーが自由に決められる仕組みになっています。


鈴木さん
ここで一度、お住まいの地域にある、病院・介護施設・商業施設・健康管理施設などの位置を思い浮かべてみてほしいのですが…
非効率にあちこちに点在していませんか?

山田
そうですね…バスに乗らなきゃ行けない病院があったり、急な坂道を登ったところに市営プールがあったり。

鈴木さん
そうですよね。
日本はこれから“超高齢化社会”に突入するわけですが…残念ながら現状の日本の都市デザインは、生活の不便さを感じる構造になっています。
その背景の一つが、不動産市場でなかなか土地が流通しないこと。

山田
というと?

鈴木さん
生活インフラ整備の見直しは急務ですが、土地が動かないので、新しいインフラ整備に着手できないという事情があるんです。
ただ裏を返せば、土地さえ流通すれば、インフラ整備が進められるということでもあります。

山田
土地の売却を促す必要があると。

鈴木さん
そこで、不動産売却によって生活インフラが整い、子どもたちの未来を守ることにもつながる「あしなが不動産」に辿り着きました。
これも、「次世代に受け継いでいける街づくりをしていきたい」という思いから発想した取り組みです。
こうした柔軟な発想を大事にして、伍代はこれからも、“業界の常識”にとらわれない「不動産で世界をおもしろくする企業」として前進しつづけます。
株式会社伍代のユニークな事業は、鈴木さんの「社会課題を真面目に、おもしろく解決する発想」から生まれていることが判明。
私たちが生きていくうえで欠かせない住宅や社会を、よりおもしろくするために、鈴木さんの奮闘はつづきます。
〈執筆=吉河未布/編集=山田三奈〉
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