企業インタビュー
色落ち服がよみがえる! 老舗染元がHUIS.の服を“黒の中の黒”に染め替える革新的サービス
年に1度、100着限定
新R25編集部

浜松市を拠点とする遠州織物のアパレルブランド「HUIS.(ハウス)」は、販売した服の染め替えサービスをスタートしました。
色落ちした服も、創業100年を超える老舗染元の伝統的な技法によって一層深い黒に染められるのだとか。
どんな技法で黒染めするの? 色移りはしないの? 気になる疑問をブランドオーナーの松下昌樹さんにお聞きしました。
〈聞き手=山田三奈(新R25編集部)〉
HUIS.の服をずっと長く愛用できる「染め替えサービス」

松下さん
HUIS.は、名古屋黒紋付染(なごやくろもんつきぞめ)の老舗・山勝染工さんと連携して、染め替えサービスを新たにスタートしました。
お持ちのHUIS.の製品を“黒”に染め替えることで、世代を超えて長く楽しんでいただけます。


山田
黒に染め替えると、どんな仕上がりになるんですか?

松下さん
たとえば白いシャツも、こんなふうに深みのある黒シャツへと生まれ変わります。
左側:白いシャツ、右側:黒に染め替えたシャツ

山田
すごい…おろしたての黒シャツみたいに変わりますね!
でも、なぜ黒染めサービスを?

松下さん
HUIS.が誕生してから11年になりますが、一度手に取っていただいたお客さまはその風合いを気に入って長く愛用される方が多いんです。
そんななかで「色褪せてきたので、染め替えてもらえませんか?」というご要望をたくさんいただいてきました。

山田
長く着ているとどうしても日焼けで色褪せたり、シミ汚れができたりしますもんね。

松下さん
そうなんです。
ただ…遠州織物は極細糸・高密度ゆえに、一般的な染め替えでは色ムラが生じやすく、染め直すのは簡単ではありません。

“高級生地”を普段着に。洗えば洗うほど一層風合いが出る遠州織物ブランド「HUIS」の魅力
高級糸が“ぎゅうぎゅう”に織り重なってできているHUIS.の生地。くわしくはこちらをお読みください

松下さん
そこで、移染や色移りの心配がほとんどない「名古屋黒紋付染」の伝統技術の力を借りました。
おかげで染め替えが難しい遠州織物も、驚くほど濃く、ムラなく、美しく染め上げることができます。

深い黒なのに色移りしにくい? 老舗染元の黒染め技術

山田
そもそも「黒紋付染(くろもんつきぞめ)」ってどういう技術なんですか?

松下さん
日本には古くから、着物を染め替えて長く着る文化があります。
家紋の付いた着物「紋付」のなかでもとくに格式の高い「黒紋付」は、“黒”の色合いが重視される第一礼装。
その黒染めの技術を「黒紋付染」と言って、なかでも名古屋独自の技法で発展をとげた「名古屋黒紋付染」は伝統工芸品にも指定される貴重な技術です。
その技術を名古屋城の側で受け継ぎ伝統を守り続けているのが、大正8年創業の老舗染元・山勝染工さんです。


松下さん
山勝染工さんが生み出す黒色は、特別な深みを持つ“黒”の中の“黒”。
一般的な衣料量販店で販売されている新品の黒シャツと比較すると、黒の深みの違いは一目瞭然だと思います。
なぜここまで黒く染まるのか? その理由は、長年受け継がれてきた染料や染め方の技術にもちろんありますが、もうひとつ、とにかく熟練の職人さんたちが時間と手間をかけて染め上げるからです。
僕はこの実直なものづくりの姿勢に、遠州織物と全く同じ理念を感じます。効率化を求めることとは真逆の考え方が根底にある、とても日本の伝統工芸らしい姿勢です。
左:山勝染工の黒染めシャツ、右:一般的な黒シャツ

山田
ほんとだ、黒の深みが全然違いますね。
でも…これほどの深い黒なのに、本当に色移りしないのでしょうか?

松下さん
はい。色移りはほとんど起こりません。
まず熟練の職人が時間をかけて何度も染め重ね、染料をしっかり定着させることで“深い黒”を作り出します。
そのあと染料が出なくなるまで時間をかけて繰り返し洗うことで、色落ちしにくい仕上がりを実現しているんです。


山田
なるほど…手間ひまかけて何度も染め重ねているから、色がしっかり定着するんですね。

松下さん
そうなんです。
黒染めを繰り返すごとに黒の深みが増していくことを、職人さんは「黒が育つ」と表現するんですよ。
超高密度の遠州織物をここまで深い黒に染め上げることができることや、色移りが起こらないことは、実は本当にすごいことなんです。
一般的な染め替え事業者さんではどうしても染めムラや色移りが起こってしまいがちですが、高価な黒紋付を何世代にも渡って染め替えてきた山勝染工さんの技術はまさに日本の誇る伝統工芸です。
なんと素敵な表現なんだ

松下さん
生地は深くあざやかな純度の高い黒に染め上がる一方、縫い糸として使用している強度の高いポリエステル糸は、もともとの色がそのまま活きます。深い黒の中で、色ステッチがアクセントとなり、染める前の面影も、思い出として残ります。
さらに、天然繊維がしゃきっとよみがえり、着る人の魅力を自然に引き立ててくれます。
うっとりするような黒の中の黒、名古屋黒紋付染の美しさを、ぜひ味わってほしいです。

染め替えのチャンスは、年1回

山田
染め替えサービスの注文は、オンラインからできるんですか?

松下さん
はい、オンラインからお申し込みください。
年に1回、期間限定で先着順で受付を行っていて、開始時期はSNSやHP、オンラインストアでお知らせします。
受付が始まったら、オンラインストアでお1人さま3点までご注文が可能。予定数量に達した時点で、受付は終了となります。

山田
それは見逃せないですね。

松下さん
お送りいただいた染め替えしたい衣類の検品を終えたら、山勝染工さんで染め替えをスタート。
ご依頼から2カ月ほどで染め替えたアイテムをお届けします。

山田
2か月、待つのもワクワクしそう…!

松下さん
着慣れたアイテムが深くあざやかな黒に染め替わることで、また違った味わいを楽しめるので、ぜひ楽しみにお待ちいただきたいです。
2025年夏に染め替えをされた方からも、喜びの声が届いています。
体験者の声
✔︎ 3年前に購入したバルーンパンツ(黒)。履き続けているうちぼんやりとした黒になってきたので、今回思い切って染め替えをお願いしました。約2か月後に手元に戻ってきたパンツは、濃く深いマットな黒色に仕上がっていました。ありがとうございます。これからも大切に履き続けます。黒色が褪せてきたら、また真っ黒に染め直したいと思います。
✔︎ 白を着る機会が減っていたので、シームレスオーバーシャツを染めました。きなりを染めるのはもったいなくて迷いましたが、良かったです。元の生地より張りがあり思っていた通りの素敵なシャツジャケットになりました。この企画に感謝しています。
✔︎ とても気に入っていたチュニックでしたが漂白剤がついてしまって色落ちしてしまって…同じのがなくて、捨てられなかったのですが染め替えで新しく生まれ変わりました。素敵な一枚になりました。ありがとうございました。

松下さん
染めに3時間、洗いに3時間と手間のかかる工程のため、数量は限られてしまいますが…今後もできる限り続けていきたいと思っています。
長く着て、どんどん愛着が増していく。
そんな体験を、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。

地域の伝統産業を次世代へ繋ぎながら、品質の良い遠州織物によるお洋服も次の世代へとつなぐ、HUIS.×山勝染工の染め替えプロジェクト。
大切な着物を代々染めてきた“着る人を惹き立たせる黒”を体感してみては?

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