企業インタビュー
地域を支える“家じまい”の新たなカタチ。人生の節目に寄り添うサービス

地域を支える“家じまい”の新たなカタチ。人生の節目に寄り添うサービス

地域課題に立ち向かう、廃棄物処理業三代目の挑戦

新R25編集部

Sponsored by KIHARA Commons株式会社

X
FacebookLINE

大分県主催の「Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)は、事業成長を志向している起業家・第二創業者の方を対象に、さらなる事業成長を支援するアクセラレーションプログラムです。

「成長」×「豊かさ」を軸に、急成長するスタートアップだけでなく、「3つのGROWTH」に代表される起業家ニーズに合わせた多様な成長を支援してきました。

今回登場するのは、令和6年度に採択された5名の起業家の一人、遺品整理と生前整理の会社を立ち上げた原 彩乃さんです。原さんの事業への取り組みや想いをご紹介します。

〈聞き手=古川裕子(新R25編集部)〉

家業を後継し、新たな事業を展開した背景とは

原さん

私はもともと東京で外資系製薬会社のMR(医療情報担当者)として働いていたのですが、創業約60年の家業を継ぐため、3年前に地元の中津へ戻ってきました。

古川

地元に戻るきっかけは何かあったんでしょうか?

原さん

家業は一般廃棄物処理業を営んでいるのですが、2代目社長の祖母が高齢なので、以前から手伝ってほしいと言われていたんです。

でも東京での仕事を諦めきれず、当時妊娠もしていたので先送りになっていて。

でもいよいよ祖母の体調が悪くなったため、戻ることを決意しました。

古川

そういう事情があったんですね。迷いはありませんでしたか?

原さん

当時は戸惑いもありました。

戻ることがっていうよりも、家業とはいえ、自分が社長になるなんて思ってもみなくて

古川

心の準備的なことですか?

原さん

そうですね。34歳で、いきなりこれまでの仕事とは畑違いの業界に飛び込むことになったので、不安も大きかったです。

古川

たしかに大変そうです…

原さん

最初は業務内容も全然把握できていなくて。

右も左もわからぬまま、とにかく現場に足を運んで、体を動かしながら仕事を覚えていったという感じです。

そうして3年経ちましたが、まだまだ勉強しないといけないことが山積みですね。

古川

家業は廃棄物処理事業とのことでしたが、新たに事業を立ち上げたんですよね?

原さん

はい。「株式会社なかつ空き家管理サポート」という会社を立ち上げ、おもに「家じまい」の支援を行っています。

古川

空き家問題は全国的な社会課題となっていますよね。どうしてこの事業を始められたんですか?

原さん

地域の生活インフラを支える事業者としてお客さまと交流を続けるなかで、空き家への悩みを抱えるさまざまな方に出会ったんです。

そのとき、これまで先代から培ってきた地域とのつながりを活かすことで、空き家問題解決の糸口を見出すことができるのではないかと思い、新会社を立ち上げました。

古川

なるほど。地域との絆を大切にしながら、新たな課題に挑戦されたんですね。

原さん

でも実際に始めてみたら、顧客や基盤をつくるうえでなかなか手応えを感じられず、「本当にこの方向でいいの?」と迷い始めました。

自分が考える方向性の答え合わせと、認知度や需要を広げるためにもご支援いただけたらと思い、今回の起業家育成支援プログラムに応募したという経緯です。

原さん

現在「株式会社なかつ空き家管理サポート」では、空き家管理以外に、生前整理・遺品整理の業務も行っています

古川

総合的にアプローチされているんですね。

原さん

廃棄物処理事業を大きな柱として、プラス要素でこの事業を軌道に乗せられたらと思っています。

事業を開始してまだ2年目ですが、年間で約50件ほどの生前整理や遺品整理のご依頼をいただいております。

「本当にやりたいこと」を問われ続けた“心の葛藤”

古川

さまざまな思いのもとで「Oita GROWTH Ventures」(おおいたグロースベンチャーズ)に応募されたようですが、採択起業家に選ばれたときはどうでしたか?

原さん

正直なところ、この事業に参加すれば「知名度が上がるのかな?」なんて、安易に考えていた部分がありました。

プログラムでは、メンターによる徹底した個別のメンタリングが数回行われたのですが、「原さんが本当にやりたいことはなんなの?」と毎回問われ、その答えがなかなか見つからなくて

家業を継ぐ重責もあって、泣きながら話したことが何度もあります。否が応でも自分の本音と向き合わないといけなかったのが、結構しんどかったですね…

原さん

だけどもし参加してなかったら、事業の意味を見失ったままだったと思うので、自分の核心に触れることができた貴重な経験だったと感じています

古川

参加前と参加後では、仕事への向き合い方は変わりましたか?

原さん

仕事やお客さまに対する意識には変化がありましたね。

私たちのサービスは、ただ単に物を片付けるだけではなく、心の整理にもつながる大切なプロセスになるということを再認識し、仕事の意義を考えるきっかけにもなりました。

Oita GROWTH Venturesのコンセプト

本音との対峙で気づいた「本質」と「使命」

古川

今後はどのような展開を考えていますか?

原さん

昨年、「これから会社をどう導いていこう」と考えたとき、後継者支援や女性起業支援など、いくつかのプログラムに参加しました。

今回、「Oita GROWTH Ventures」に参加してみて違いを感じたのは、本音でぶつからないといけないという点です。

ごまかしが効かないんです。だからこそ、本当の自分を見つめ直す時間にもなりました

これまで参加したほかの支援事業では、「自分の好きなことをやりたい!」という方が多く、私とは状況が異なっていましたから。

古川

原さんのスタートは「好きなことをやりたい」ではなかったですもんね。

原さん

私は、自分の感情を優先するよりも20名の社員を守ること、事業を止めないということに責任を感じていました

だから「なぜ自分の気持ちを優先しないといけないの?」と、問われるたびに思っていたのですが…

向き合う時間のなかで、「目の前の人が幸せかどうか」が私の軸になっていて、やっぱり“人”なんだなってあらためて気づかされました。

古川

自分の軸を思い出したんですね。

原さん

前職は製薬会社でMR(医療情報担当者)をしていたんですが、それも患者さんやお医者さんという人が起点になっていましたし、今の仕事も、陰ながら社会を支えるような仕事です。

目立たないけど人を支えることができて、地域のお客さまが喜んでくれている姿を間近で見れることがやりがいなんだということに気づけました。

古川

そんななかで、何か印象的な出来事はありましたか?

原さん

死期が近いシェアハウスの同居人の生前整理をお願いしたい、という依頼をいただいたときのことですかね。

依頼した方もきっと辛かったはずで…その方の心情にも寄り添いながら丁寧に作業を進めました。

すると作業を終えた3日後、同居人の方が亡くなったと連絡がありました。その際、依頼者の方から「自分の人生を見直すきっかけにもなった。ありがとう」と感謝の気持ちを伝えていただいたんです

古川

なんと深い…! この仕事の意義を感じられたのではないでしょうか?

原さん

そうなんです。

遺品整理や生前整理というと悲しいイメージがあるかもしれませんが、実際は、私たちが携わることで、大切な記憶がお客さまに刻まれていく作業だと教えてもらいました。

仕事を通じて自分も成長させてもらえているので、目の前のお客さまに対してのサービス一つひとつを大事にしていきたいと、あらためて感じることができました。

古川

依頼者の心情に寄り添うというスタイルが確立されていったんですね。

原さん

どんなご依頼も、お見積もりのときから、家主さんの人生のストーリーや依頼主の想い、困りごとなどをヒアリングし、丁寧な対応を心がけています。

お客さまに寄り添い、事前準備を徹底する細やかな気遣いが実を結んだなと思ったできごとでした。

プロジェクト参加後、目に見えた変化とは

古川

今回の参加で、とくに変化したことはありますか?

原さん

今回の支援事業に参加したことを、誰よりも喜んでくれているのは社員たちなんです。

自分の一番の変化としては、「少し本音で話せるようになったな」ということ。

ずっとプレッシャーや不安が強かったけど、自分が心を開かないと相手も本気で向き合ってくれないということがわかりました。

原さん

そして、私も変わったんですけど、社員の皆さんが変わったとすごく感じています。

私がもがいている姿を見て、「社長のためにもっと会社を良くしたい」と思ってくれている気持ちがすごく伝わってくるし、そんな社員の皆さんを本当に大切にしたいという気持ちが一層深まりました。

社員一人ひとりが持つ個性や才能を大事にして、それが活かせる会社を目指していきたいです。

古川

「本当は何がしたいのか」という問いにくじけそうになった、というお話がありましたが…

これから、会社としてどんな存在でありたいですか?

原さん

この先、時代は変わっても、地域のインフラとして必要とされる存在であり続けたいです。

私たちができることは、空き家対策や生前・遺品整理を通じて、日頃の暮らしを見つめなおすお手伝いをすること。

そして、私たちが環境事業に携わっているからこそ伝えられる、資源の大切さやリサイクルについての理解を深めてもらうことなのかもしれないと感じています。

近くに頼れる存在があるということを知ってもらいたいし、そこでつながった縁も大事にしていきたい。

人と心をつなぐことを大切に、皆さんの頼れるパートナーになれるよう、まずは100年企業を目指して地域と一緒に成長していけたらなと思っています。

「自分は何をしたいのか」をとことん突きつけられ、もがいて、もがいて、自分なりの手応えと答えにたどり着いた原さん。晴れやかな笑顔が印象的でした。

大分県アクセラレーションプログラム「Oita GROWTH Ventures」では、2025年2月26日(水)に成果発表としてOita GROWTH Ventures DEMODAYを開催したとのこと。

ご興味のある方は、ぜひ公式HPをチェックしてみてください!

X
FacebookLINE

企業インタビュー

新R25編集部が制作したスポンサード記事の一覧です。記事制作の依頼は新R25 Businessから

ランキング*

*1ヶ月以内に公開された記事が対象のランキングです

新着

Interview

不動産取引もマッチングアプリで行う時代に…!?「FUFU」が目指す、業界イノベーション

新R25編集部

人も自分も幸せに。クラファン、ヨガ、ギフトバルーン―3人の起業家たちの“喜びを生む”ビジネスの秘訣

新R25編集部

地域を支える“家じまい”の新たなカタチ。人生の節目に寄り添うサービス

新R25編集部

“エンジニア足りない問題”をサクッと解決。即戦力が見つかる、RaiseTechの採用支援「JobRaise」

新R25編集部

「オンライン塾 THINKING」の評判は? 本当に成績が伸びるの…? 実績・口コミ・サポートを徹底検証

新R25編集部

オモシロイ会社の秘訣!「好きなことは好きなようにやる」N/S高生が聞く“はたらくWell- being”とは?

新R25編集部