「エンジニアこそ、マネジメントスキルを身につけるべき」PMスクール「&player」の立ち上がり秘話
AIに代替されないエンジニアになるためには?
新R25編集部
SNSなどを通じて誰でも自分のことを発信できる時代。
SNSを通じてファンをつくり、さらにオンラインサロンやECショップの開設など、自分の好きなことや得意なことをお金に変えるハードルが下がりつつあります。
そんな個人の“マネタイズ”や“ファンづくり”をサポートする「MOSH」と新R25のコラボでお届けしている「The Next Creators」。
ビジネスパーソンにおすすめしたいMOSHを活用している次の時代を創る注目クリエイターたちを紹介していく本連載。
今回ご紹介するのは、PMスクール「&player」。プロジェクトマネジメント能力を育成する事業のこだわりについて、代表して福井采音(ふくい・あやね)さんに伺います。
東京理科大学在学中に、フリーランスエンジニアとしての活動を始める。フリーランス集団を設立した後、株式会社blankcanvasを創業。現在は120人を超えるハイクラスのエンジニアが所属し、高い開発力を強みとして数々の企業を支援している。IT業界のプロジェクト成功率を上げてエンジニアの未来を切り開くために、PMスクールの「&player」を設立
新規占いサービスのWeb担当からキャリアをスタートし、2年で月商数千万のサービスに。2014年に独立し、2018年にWeb制作・ブランディング事業を手掛ける株式会社リンクスラボを創業。2021年、自社をマーケティング会社の株式会社koujitsuへ事業売却し、同社取締役へ就任。200社以上のプロジェクト経験を基に、UIUX / ブランディング / システム開発系など幅広い領域に通ずるとともに、現在は事業部組織統括+新規事業の推進も行う。趣味は旅・キャンプ
自由も大切だけど、“仲間”も同じくらい大切
――(編集部)福井さんの現在の活動について教えてください!
福井さん
株式会社blankcanvasという、ギルド型の開発会社の代表をしています。
現在はWebエンジニア、ネイティブアプリエンジニアを中心に120名近くのメンバーが全国各地から参加していて、アプリケーションやWebサイトなどの開発をフルリモートで行っています。
さらに、「&player(アンドプレイヤー)」というプロジェクトも立ち上げました。
ここでは、プロジェクトマネージャー(以下、PM)の育成事業を展開していく予定です。
――(編集部)福井さんは学生時代に起業されたそうですが、もともとエンジニアリングの仕事に興味があったんですか?
福井さん
実は私、高校までは音楽をやっていて…本当は音大に行きたかったんです。
でも音楽の道をあきらめて、東京理科大学の経営学部に入学しました。
大学1年生のとき、同じ大学の理系の学生との出会いからプログラミングに興味を持つようになりました。
ちょっと始めてみたら…もうめちゃめちゃ楽しくて。音楽以上に没頭してしまいました。
好きが高じて、自宅でプログラミングを始めたり、インターンシップとしてお仕事に関わらせてもらうようになりました。
――(編集部)そこから起業に至ったということでしょうか?
福井さん
経歴としては、1年間開発会社で修行を積ませていただいたあと、大学3年のころからフリーランスのエンジニアとして活動していました。
お客さまにも恵まれて、いろんな案件のご相談もいただいて、フリーランスとしての“経済的自立”が視野に入ってきました。
このまま行ったら「自由な生き方ができるな」と思ったんですが、何か足りないとも感じていて。
自由だけど、仲間がいないな…と思ったんです。
私にとって自由であることは大切だけれど、「仲間と一緒にやること」も同じくらい大切だと気づき、フリーランスエンジニアの集団をつくりました。
――(編集部)なるほど、それがエンジニアギルドの始まりなんですね。
福井さん
そうですね。最初は法人化せず何カ月か運営をしていたんですが…
あるタイミングで複数のお客さまから「法人化してほしい」と相談を受けたんです。
1,000万円を超える案件になると個人口座ではやり取りができない、と言われてしまって。
このままだと、フリーランスエンジニアの社会的地位や信頼がどうしても法人に劣ってしまう。だったら、より効果的に社会にアプローチするために“会社”をつくろうと思ったんです。
そんな流れで、20歳か21歳のときにblankcanvasを創業しました。いまは創業して6期目になります。
“PM力”があれば、人生が豊かになる
――(編集部) 新しく「&player」というプロジェクトも始められるとのことですが、こちらは具体的にどんなことをするのでしょうか?
福井さん
「&player」では、IT業界でのPM育成に関するスクールやコミュニティ事業を展開していきます。
システム開発における「PM」というのは、人と人とをつなぐ大切な仕事です。
お客さま、エンジニア、デザイナー…各ステークホルダーを適切につないでいくという意味を込めて、「&player」というプロジェクト名をつけました。
――(編集部)共同創業者の田中さんとは、どんなきっかけでタッグを組むことになったんですか?
福井さん
田中自身も、創業当時にデザイナー兼エンジニアからフリーランスになった当事者だったんです。
経営していたWeb制作会社をマーケ会社にバイアウトして、取締役(株式会社koujitsu CTO)になった経歴を持っていました。
1年半前ごろから一緒に仕事をしたりしていて、「自分たちも“PM力”のおかげでいろんな成長機会を得られて、人生がとても豊かになってるよね」と意気投合。
エンジニアがマネジメントの力を持ったら市場から引く手あまたですし、PMになってもならなくてもいろんな人から頼られてこの業界で長く働ける。
単価も自由度もあがって楽しく働いているエンジニアを、業界内で増やしていきたい。
だったら、自分たちでそんなエンジニアを増やせる場所と事業をつくろう!という話になり、このプロジェクトが生まれました。
――(編集部)PMという仕事に注目されたのは、ご自身の経験からだったんですね。
福井さん
そうですね。学生時代、インターン先の社長に「システム開発業界の顧客満足度って3割しかないんだよ」と言われたことがきっかけでした。
実際、フリーランスで活動していくなかでも、開発会社とのトラブルがあって私のところに相談しに来られるお客さまも多かったんです。
ものづくりは楽しいことなのに、こんなに不幸を生み出してしまってるんだ…と驚きましたし、悲しい気持ちにもなりました。
――(編集部)システム開発でトラブルが多いのは、なぜなんでしょう?
福井さん
システム開発は目に見えないものを扱っているので、お客さまとの認識の差が生まれやすいのが一番の要因だと思います。
開発プロジェクトを外注するのが初めてというお客さまも多いですし、初対面で目に見えないものをつくりあげていくわけですから、プロジェクトの管理が非常に難しくなります。
だからこそ、プロジェクトをスムーズに管理できる人材として、PMが必要なんです。
弊社も創業したばかりのころは、お客さまにいろいろとご迷惑をかけてしまったこともありました。
ですが、PMの研究を重ねて、ここ数年はお客さまに喜んでいただける形で運営ができています。
ただ、業界としては、まだまだトラブルが生まれているのも事実で…じゃあ、弊社ができることってなんだろう? と思ったときに、「PMが育つための土壌をつくろう」と考えたんです。
また、私がPMを育てようと思ったもう1つのきっかけが「生成系AIの進歩」です。
“仕事をAIに取られる”みたいなことをよく聞きますけど、最近は本当にリアルに感じていて。
ソースコードを書くプログラマーやSEの仕事も、いずれは生成AIがやってしまうだろう、と言われているんです。
――(編集部)やはりその領域にもAIが参入してくるんですね…!
福井さん
日々たくさんのエンジニアとコミュニケーションをとっていますが、「自分はこのままでいいんだろうか?」と、不安を感じている人も少なくないですね。
将来的にはコードを書くんだったら、AIにはできない領域のことができる、本当のスペシャリストになっていく必要があるんだと思います。
ただ、そこまで技術を徹底的に突き詰めるのはとても難しいため、多くのエンジニアはマネジメントという分野を学ぶことが重要になってきます。
エンジニアとして極めたい方には、よりプロフェッショナルな成長を目指していただく一方で…
エンジニアの能力を持ちながら、マネジメント能力も身につけるという方向性もあっていいんじゃないかと思っています。
――(編集部)AIの進化を見越して、コードのスペシャリストになるか、コードも書けてマネジメントもできる人になるか…ということですね。
福井さん
そうですね。いまPMは希少で、どこも足りていません。エンジニア以上に足りてない職種なんです。
需要と供給の観点からも、プロジェクトマネジメントのスキルを持つことは「個人の市場価値」を高めることにつながります。
将来PMに就いても就かなくても、マネジメントスキルを持っているエンジニアの方が、より求められる存在になるでしょう。
だからこそ私は、プロジェクトマネジメントを学ぶことをおすすめします。
実践的な「コミュニケーション」まで身に付くカリキュラムを
――(編集部)「&player」は、どんなカリキュラムなんですか?
福井さん
まずは初級編として、「PMブートキャンプ」という3カ月の短期集中型講座を用意しました。
プロジェクトマネジメントの知識がまったくない方に向けて、まずは座学で知識を入れていただきます。
ここが結構重要なポイントで、現役PM職の方でも「プロジェクトマネジメントを知識として体系的に学んだことがない」「なんとなく経験値でここまできた」という方が非常に多いんです。
「PMブートキャンプ」では、「PMBOK(ピンポック/Project Management Body of Knowledge)」というPM理論をはじめとした、最低限の知識をインプットしてもらいます。
さらに、私や共同創業者である田中をはじめとした現役でPMとして活躍するメンバーが、個別のフォローもかなり手厚くおこなう予定です。
参加者の課題を聞いたり、フィードバックをしたりして、一対一のキャリア面談もしていきます。
――(編集部)「PMって何?」みたいな、まったく知識がない方でも参加できるんですか?
福井さん
はい、知識がない方でも大丈夫ですよ! もちろん、改めて基礎から学び直したいという現役PMの方も大歓迎です。
初級編では、「何も知らない」「マネジメントをしたことがない」という方が、“PMの基本について理解できている”という状態になることを目指します。
座学だけでなく、実践的な資料作成などにもトライしていただきます。初級編での実践は、一歩踏み出すぐらいのイメージですね。
今後は、「中級編」「上級編」を順次リリースしていく予定です。
――(編集部)中級編以上は、より実践的になる感じですか?
福井さん
そうですね。かなり実践的にやろうと思っています。
可能な限り本番のプロジェクトに近い環境を用意して、そこで仮想的にPM業務をしてもらうようなカリキュラムを構想しています。
たとえば「お客さまが要件外の追加要望を出してきた」というような現場にありがちなシーンを、ワークショップ形式で解決していくんです。
――(編集部)実際の業務を再現できるんですね! ちなみに、お客さまが要件外の追加要望を出してきたら、どうするのがいいんでしょう?
福井さん
唯一の正解はないのですが…一番ダメなのは、何も言わずに「分かりました、やります」と言ってしまうこと。
その場は楽にやり過ごせますが、PMとしては1番やってはいけないことなんです。
まず要件外の追加要望を実装するということは、コストやスケジュールの計算が合わなくなり、プロジェクトが失敗するリスクが生まれます。
また、当初の要件に入っていないことをお客さまに伝えないまま進めると、スコープの定義が曖昧になります。
お客さまも「どこまでやってもらえるのか」が徐々にわからなくなってしまい、認識齟齬によるさらなるトラブルにつながる可能性もあります。
とはいえ追加要望はすべて断ればいい、というわけでもなく…何か理由があるはずなので、その背景を詳しくお聞きしたうえで、追加要望の扱い方を考えます。
そのうえで、たとえば「要件内の機能を一部削る代わりに追加要望の機能を実装しましょう」というような折衷案を提案するなど、お客さまと一緒にプロジェクトにとってのベストを模索するのが理想的な対応です。
そうすることで、お客さまと“仲間”になることができ、プロジェクトの成功率が高まっていくと考えています。
――(編集部)お客さまとの密なコミュニケーションが何より大切なんですね。
福井さん
PMの話し方や表情によってもプロジェクトの成否が分かれてきます。
この非言語的な対応の仕方をマスターするには訓練が必要なので、ワークショップで場数を踏んでいただき、丁寧にフィードバックしていく予定です。
――(編集部)「&player」のスクールは、どんな方におすすめですか?
福井さん
やはり、1番はPM職に就きたい人ですね。
キャリアアップのためにPMをやってみたいが、どう学べばいいのかわからない、というような現役エンジニアの方や…
PMに転身するつもりはないけれど、エンジニアとしての価値をあげたい方にもおすすめです。
今お仕事をされている方を対象にしていますので、お仕事を続けながら通っていただけるようなカリキュラムにしています。
オンラインの講義だけでなく、独自のテキストも用意していて、自学自習はもちろん、スキマ時間でも学べるようにしています。
――(編集部)「&player」ならではのメリットも教えてください!
福井さん
・現役PMによる指導が受けられること
・株式会社blankcanvasがさまざまな開発プロジェクトを通して研究したノウハウを学べること
・充実した個別フォローがあること ですね。
特に、個別のフォローは本当に丁寧に取り組みたいと考えています。
PMの仕事はコミュニケーション能力が重要なので、動画を見ただけで全員ができるようになる、というものではないんです。
スクールでは、受講者さんのコミュニケーションの取り方を講師陣が総合的に見て、フィードバックをして…というのを繰り返しやっていきます。
それと、プロジェクトマネジメントを学ぶことは個人が自由に幸せに生きることにつながる、と私は思っています。
マネジメント能力を身につけることで対人能力もつきますし、交渉力も育つ。
外部へのアプローチがすごくしやすくなって、結果的に人生の選択肢が広がっていくんです。
より自由で前向きな人生を手に入れるための一歩を踏み出せることが、「&player」で学ぶ最大のメリットかもしれませんね。
――(編集部)「&player」や福井さんご自身の今後の展望がありましたら、ぜひお聞かせください。
福井さん
実現したいことが2つあります。
1つは、IT業界に優秀なPMを増やして、開発プロジェクトの成功率をあげること。
もう1つは、マネジメント力を身につけることによって、自分の人生を切り拓く人を増やすこと。
私が大切にしているキーワードは「自由」。たくさんの人がマネジメント力を身につけ人生を切り拓き、自由に活躍する土壌をつくっていきたいと思います。
MOSHのオススメポイントをさくっとおさらい
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