企業インタビュー
「ヒト・ファースト」の本質とは。ヒトにとことん向き合う覚悟が築く“はたらくWell-being”
連載「“はたらくWell-being”を考えよう」
新R25編集部
リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。
現場ではたらくビジネスパーソンのなかには、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。
そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

今回紹介するのは、「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」をミッションに掲げ、デジタルメディア事業を中心としてさまざまな事業を展開する、株式会社キュービックのコーポレート担当執行役員の川俣 理晶(かわまた みちあき)さんです。
株式会社キュービックは、「2022年版 日本における『働きがいのある会社』若手ランキング・中規模(従業員100-999人)部門」(主催:Great Place to Work® Institute Japan)にて第1位を獲得し、「2024年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング・中規模(従業員100-999人)部門」において、7年連続でベストカンパニー100社にも選出されています。
2017年同社に参画した川俣さんは、これまでに株式会社オンワード樫山や楽天株式会社、オイシックス株式会社などで責任者を歴任。事業を0→1で成長させるフェーズに関わってきた川俣さんに、これまでのキャリアで育んだ「ヒト・ファースト」を追求する“はたらくWell-being”の築き方について聞きました。
1971年生まれ。千葉県出身。明治大学商学部を卒業後、服が好きだったことから株式会社オンワード樫山に新卒入社。2000年、楽天株式会社に転職し、楽天市場事業部門長・楽天リサーチ事業副事業長などを務めた後、2009年に楽天リサーチ株式会社取締役に就任。マーケティングリサーチおよび営業部門の採用実務や人事制度設計、事業計画までを担当。2012年にはオイシックス株式会社に人材企画室長として参画した後、2014年にファッションテックのアイエント株式会社にCOOとして就任。2017年、デジタルメディア事業の株式会社キュービックに入社し、新規事業開発や人事、経営企画などを担い、2025年より同社の執行役員としてグループ経営や財務等のコーポレート部門に従事する
オンワード樫山、楽天、オイシックス、そして「働きがいのある会社」7年連続ベストカンパニーのキュービックへ

田邉
川俣さんが執行役員を務められる株式会社キュービックは、「2024年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング・中規模(従業員100-999人)部門」において7年連続でベストカンパニーの100社に選出されています。まさに、“はたらくWell-being”な会社ですね!

川俣さん
ありがとうございます。私がキュービックに入社した決め手は、本気で「ヒト・ファースト」を追求しようとしている、稀有な会社だったからなんです。
ベストカンパニー100社に7年連続で選出されるなど、社会からも評価いただけて非常にうれしいですね。
株式会社キュービックで執行役員の川俣 理晶さん

田邉
川俣さんは2017年に株式会社キュービックに入社し、現在では、執行役員としてコーポレート部門を担当されていると伺いました。

川俣さん
はい、そうです。これまで多くの会社の面接を経験してきましたが、キュービックの入社面接は特別でした。
形式的な面接ではなく、代表取締役の世一がしっかりと時間をかけて、深い対話をしてくれたことを今でも覚えています。「それだけ、ヒトを大切にしているんだな」と強く印象に残りましたね。
2017年に入社して以来、これまで新規事業の開発や人事、経営企画などに従事してきました。

田邉
川俣さんは、これまでにアパレルの大手・オンワード樫山や楽天、オイシックスと名だたる企業でお仕事をされてきています。キャリアの軸となるものは、何か持っていますか?

川俣さん
キャリアの軸と呼べるようなカッコいいものがあればいいのですが(笑)。新卒ではシンプルに、「自分が好きなものって何だろう?」の発想からアパレル企業に就職しました。
4年ほどはたらいた頃、インターネットが台頭しはじめました。「IT系のベンチャー企業に入社すれば、きっと面白い仕事に携われる」と考えていたところ、楽天株式会社に出会ったんです。楽天は、今では数万人の社員を抱え、誰もが知っている企業に成長していますが、当時は100人ほどの社員数でした。

田邉
楽天にもそんな時代が…! 急成長中の時代に入社されたんですね。

川俣さん
楽天には12年間お世話になったのですが、そのなかでEC事業、マーケティングリサーチ事業、セキュリティ、事業統括などにも携わらせてもらいました。
とにかく優秀な社員が多く、今の自分にとっての仕事の基盤となるものを教わりましたね。さまざまな事業を担い、「ヒト」と「組織」の重要性を深く学びました。
その後、「会社の経営サイドに携わりたい」という思いが強くなり、楽天を卒業しました。


田邉
そこから、オイシックスへ。

川俣さん
はい。より経営に近い距離感で、事業の手触り感を持ってはたらきたいと考え、2012年に転職しました。
オイシックスには一人ひとりの才能を長い目で見守り、開花させる文化がありました。画一的な評価で判断するのではなく、その人にしかない「光るもの」を信じて、粘り強く向き合う。個人が適切な環境と出会うことで、これほどまでに化けるのかというプロセスを目の当たりにしたことは、私にとって大きな財産になっています。
その後、「成長のフェーズにある企業で、自身の経験と能力を活かし、新たな価値創造に挑みたい」と考え、ファッションテックのスタートアップ企業にCOOとして参画。新規事業の開発や外部からの資金調達、PR活動など幅広く0→1のフェーズに携わってきました。

田邉
スタートアップ企業で、ゼロから事業を拡大する経験を積まれたのですね。それからキュービックに転職された。

川俣さん
前職で資金調達をしていたとき、資金を受け取ったからには、事業の責任やヒトに対する感謝をきっちり果たしてこそ企業の成長だと実感したんです。事業成長とヒトは切っても切り離せないものだと考えていた頃、キュービックの代表取締役である世一に出会いました。
キュービックが掲げるCore Valueの「ヒト・ファースト」、そして「ヒト起点の発想を原動力に、永続的に成長し続ける」との価値観に惹かれて入社を決めました。さらに、実際に世一に対面で出会った時に感じた、ヒトに向き合うスタンスにも感銘を受けましたね。

田邉
ヒトに向き合うスタンス、ですか?

川俣さん
面接でキュービックのオフィスを訪問すると、受付でとても丁寧に対応をしてくれた方がいたんですよ。あまりに素晴らしい対応だったのでてっきり社員だと思っていたら、あとからその方がインターン生だという話を聞いて。

田邉
インターン生!?

川俣さん
そうなんです。インターン生が、単なる「手伝い」ではなく、組織のブランドを背負う「一翼」として自律的に動いていることに私は驚きました。
会社として、ヒトや組織にどれほど本気で向き合っているのかというのが、その体験を通じてとてもよく伝わってきました。


田邉
確かに、インターン生も会社をつくる大事な一員として考えられているわけですね。

川俣さん
ええ。私はそれまで、さまざまな事業に携わり、「ヒトのパフォーマンスが最大限発揮されることでいい組織ができて、事業がうまく回り会社が大きくなる」と考えていました。
目にみえる結果だけではなく、地道に頑張っているヒトを大事にして、いつか訪れる活躍する日を待てるような組織。そういう企業こそ、強い組織になるのだと思います。
事業を実現させるのは、ヒトであり組織です。根っこの部分で、ヒトとヒトの強いつながりが築かれていることが、事業を支える確かな基盤となる。そのマインドをとても大切にしています。キュービックはまさに、そんな会社だったんです。
「ヒト・ファースト」は、表面的な優しさだけではない

田邉
あらためて、キュービックはどんな事業をされているのか教えてください。

川俣さん
ヒト起点のマーケティング×デザインで、社会貢献するサービスを展開しています。主軸はデジタルメディア事業で、デジタル集客支援事業やソーシャルメディアマーケティング事業も行っています。
企業の社会的使命として、「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」を掲げ、ヒトのココロの奥底に眠る「インサイト(深層心理)」をつかむまで深く潜りこみ、徹底して寄り添い、適切な答えを導き出すことに重きをおいています。


川俣さん
課題解決へのキッカケをつくるだけでなく、あらゆるヒトの前向きな一歩へと確実につなげる。
インサイトの探究力を最大の強みにさまざまな事業領域に挑戦し、ヒトと社会の可能性をひらいていくことを使命としていますね。

田邉
ヒトのインサイトに深く潜り込み、ヒトの前向きな一歩につなげる。Core Valueに「ヒト・ファースト」と掲げられているだけあって、ヒトに「優しい」企業なんでしょうね。

川俣さん
いや、実はその「優しい」という一面だけを切り取った解釈をされてしまうと、弊社の真意とは異なるんですよ。
「ヒト・ファースト」とは、単に「優しさ」や「大切にする」という意味に留まらず、覚悟を持ってヒトを信じ、ヒトに向き合うこと。あくまで「相手のことを相手以上に考え抜く姿勢そのもの」なんです。優しさ以上に厳しさやストイックさを同時に持ち合わせるものになります。
たとえば、仕事がうまくいかないメンバーがいたとき、「できるようになってね」と言うのは簡単です。でもそうではなく、ときには本人の成長を阻害している課題を率直にフィードバックしたり、その人ができるようになるまでとことん付き合ったり、向き合う側も相応の覚悟をもって接するんです。

田邉
ただ優しいだけではなく、ヒトの成長に本気で向き合う。

川俣さん
そうした機会を与え、気づかせてくれるヒトがいるかどうかは、メンバーがはたらきがいを持ってはたらくためにはとても大事なこと。
その仕事に向いているのかどうか、スキルが身についているのか、自分一人ではなかなか気づけないはずですから。


川俣さん
もし、壁にぶつかって苦しそうなメンバーがいれば、「今、あなたが向き合っているのは今後のキャリアにとって重要なこと。乗り越えなければいけない壁だよ」と伝えることもあります。
目の前の仕事だけでなく、本人の意欲と将来の可能性を考えた挑戦的な機会に挑むことで、成長の扉が開く。もちろん、挑戦を促すからには上司としてこちらも本気で伴走します。
覚悟とは、優しく寄り添うだけでなく、本人の成長のためにとことん向き合う姿勢を持っているということなんです。
毎月の1on1や「FAM(ファム)」で強固な関係を構築

田邉
キュービックでは、社員の皆さんが“はたらくWell-being”な状態ではたらける仕組みがあると伺いました。どんな施策なのでしょう?

川俣さん
個人の自発的な成長意欲を、組織として最大限に支援し、実現するために、弊社独自の「CDC(Career Development Cycle)」という仕組みを構築しています。
CDCはまず、本人の強みや課題、WILL(やりたいこと)と会社がその人に寄せる「期待」や「ミッション」を丁寧に擦り合わせながら目標を決め、その目標に対して「今月、何をやったか」「結果は、どうだったか」「どんな強みが活きたか」「どんな課題が見えたか」を上司と月一の1on1で振り返るんです。


田邉
毎月1on1とは、なかなか高い頻度で実施されているのですね。

川俣さん
高頻度な対話機会を持ち続けることで、本来、話しづらかったことも自然と話せるようになるものだと考えています。仕事でのつらいことのみならず、プライベートで抱えている悩みなども吐き出せる場があることで、人間関係の基盤ができますよね。

田邉
なるほど。上司は、何を重視して対話しているのでしょう?

川俣さん
個人の「やりたい(WILL)」を尊重しながらも、あえて成長角度の高い目標を設定し、上司がしっかり伴走して成長の実感を得られるようなサイクルを回すことを意識しています。
毎月の1on1面談を「コア面談」と呼び、「できたこと」「できなかったこと」の背景にある要因をともに紐解き、次のアクションへつなげるための糧にしています。
また、このコア面談の効果を最大化するために、毎月最終木曜日の11時から12時の1時間、仕事の手を離れ、全員が徹底的に自分に向き合う「コアデー」を設けています。

田邉
仕事の手を離れ、自分に向き合う時間!

川俣さん
はい。いきなり上司とのコア面談をしても、自分のことをうまく話せない場合があるので、まずは自分で内省して、考えを整理してもらうんです。
また、コア面談は社員だけでなく、本人の希望があればインターン生にも実施しています。

田邉
インターン生にも1on1を!?

川俣さん
弊社は、インターン生も社員同様「会社をともにつくる仲間」というスタンスなんです。創業以来「学生よし」「会社よし」「社会よし」の三方よしの考えに基づき、超実践型の長期インターンシップを推進し続けています。
学生にとって長期インターンシップは、社会人基礎力が磨かれる成長の場。会社にとっては若者の視点を取り入れるイノベーションの源泉になりますし、一緒にはたらく時間を設けることで採用におけるお互いのミスマッチが低減するといったメリットもあります。
そして、社会にとっては、少子高齢化で働き手が減っている現在において、持続可能な労働力創出への貢献にもなると考えます。

田邉
たしかに、三方よしですね! “はたらくWell-being”を高める組織として、その他の取り組みもあれば教えてください!

川俣さん
「月次サーベイ」で、社員の声を吸い上げていますね。人事部が主催して、全社員に対して毎月「仕事にやりがいを感じていますか」「仕事は楽しいですか」「周囲のヒトとの関係はどうですか」「健康状態はどうですか」の4問を調査しています。
数値の変化を単なるデータとして終わらせず、不調の兆しがあれば迅速にサポートに入る。一人ひとりのコンディションに「組織として気づく」ための仕組みです。
ほかにも、「斜めの関係構築」を重要視しています。

田邉
斜めの関係構築?

川俣さん
部署やチームの垣根を超えてなんでも話し合える関係づくりのことで、「FAM」という取り組みがあります。
たとえば、アウトドアなど共通の趣味を持っている社員が集まって、FAMごとに企画を立ててプライベートで出かけたりするんですよ。


田邉
部活動やサークルのようなイメージでしょうか?

川俣さん
そうですそうです! 直属の上司(縦)や同僚(横)の関係性だと言いづらい、けれど社外の方だと理解しにくい仕事上の悩みや本音の相談などを言える場所になっていますね。
程よい距離感の斜めの関係があることで、会社内にメンター的な存在が増えることが好循環をつくり出しています。会社もFAMの活動を重要視していて、活動費として会社から補助があります。
FAMの由来は、「ファミリー」です。家族のような、安心できる関係性を目指しています。

田邉
斜めの関係もつくりながら会社の居心地のよさを高め、それぞれのヒトにフィットする職場を目指しながら、事業としても個人としても成長していく。“はたらくWell-being”ってこうした仕組みで育むことができるんですね!
究極は、「本人がどうしたいか」。ヒトとヒトが向き合う覚悟が、強い組織をつくる

田邉
川俣さん自身が“はたらくWell-being”であるために、大切にしていることを教えてください。

川俣さん
不義理をはたらかないことですね。私は、仕事にはそのヒトの人生を変える力があると思っています。事業の成果追求と並行し、個人の人生観やキャリアを最大限に尊重することが大前提であると考えています。
事業として結果を出すこと、周りがそのヒトの成長を考えることはもちろん大切ですが、それ以上に、究極のところ「本人がどうしたいか」を最大限に重視しないといけない。その選択権は、本人だけが持っていると考えています。

田邉
「自分で選択すること」、まさに“はたらくWell-being”ですね!

川俣さん
私自身、これまでのキャリアは、自分で選択してきました。「ああすればよかった」と思うこともなきにしもあらずですが、でも、納得感はちゃんとある。
私は自分自身を常にアップデートし続ける「未完成のプロトタイプ」だととらえています。その姿勢を見せることで、後進が自分なりの正解を描くためのヒントになれば嬉しいですね。


田邉
今後は、どのような構想を持たれていますか?

川俣さん
今、AIが凄まじいスピードで成長していますが、ヒトとヒトの関係性は今後も切っても切り離せないと考えています。これからは、ヒトに向き合う覚悟を持ち、ヒトとヒトがつながり、そこから生まれる化学反応が価値を発揮していく時代です。
「楽しいね」だけではなく、一人ひとりと対話して壁を乗り越えて生まれる成長が、強い組織の土台を安定させると思っています。「ヒト・ファースト」で強い会社を築きたいですね。
<取材・構成=田邉 なつほ/文=メリイ潤>
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