企業インタビュー
留学でも転職でもない。人生を「試す」新しいキャリア選択「ノマドニア」

留学でも転職でもない。人生を「試す」新しいキャリア選択「ノマドニア」

連載「“はたらくWell-being”を考えよう」

新R25編集部

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リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。

現場ではたらくビジネスパーソンのなかには、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。

そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。

今回紹介するのは、1カ月で10の職種を体験する海外ワークショップ「ノマドニア」を運営する株式会社ノマドニアの代表取締役のルイス前田さんKOHさんです。

世界120カ国を旅しながら暮らしているルイスさんと、世界5拠点で暮らしているKOHさん。お2人とも、インターネットを活用して、場所に縛られずに旅をしながらはたらく「デジタルノマド」でもあります。

コロナ禍の2020年10月にジョージアで始まったノマドニアは、デジタルノマドや海外移住を目指す人々からの支持を集め、参加者は800名(2025年10月時点)にのぼります。

新たな地での1カ月の「試住」、新たな自分と出会う10の「試職」。それらを通じてノマドニアが提案したい「キャリアの選び方」とは? また、お2人自身のデジタルノマドとしてのはたらき方や“はたらくWell-being”を聞きました。

15歳から美容師としてはたらき始め21歳で独立、海外を旅しながら美容師をしていたKOHさんと、「旅」を軸に事業を展開する会社で旅系メディアの編集長をしていたルイスさんが出会い、当時は寄稿ライターとメディア編集長という立場で一緒にはたらきはじめる。同じプロジェクトへの参画や交流を続けるなかでKOHさんがジョージアに移住しコワーキング事業を始めようとしたタイミングとルイスさんの独立が重なり、共同事業を検討し始めることに。時期がコロナ禍であったことからじっくりと進め、ノマドニアの構想を思いつく

「人生を夢中で生きていく」ための試住試職を、エンタメに

この取材で1年半ぶりに対面したというお二人

飯室

ノマドニアについて、教えてください。

ルイスさん

ノマドニアは、世界各地に1カ月滞在しながら10種類の職業体験ができる、ワークショップです。

「リモートで好きな場所からはたらきたい」という理想を持つ方が、納得感を持ってキャリアを選べるように設計しています。僕らは、多くの人が自分の人生に夢中で生きていける社会を目指しています。

現在、7カ国で開催

飯室

ワークショップって、いわゆるスクールとは違うんですか?

KOHさん

ノマドニアは、なにかひとつのスキルを教えるスクールではなく、職業体験を通して「自分に合う仕事やはたらき方を見つける」場として設計しています。

ルイスさん

コロナ禍以降、はたらき方は大きく変化しましたよね。リモートワーク、副業、そしてデジタルノマドという言葉も広がり、世界のデジタルノマド人口は4,000万人を突破したとも言われています

「好きな場所ではたらきたい人」が一気に増えたことで、その需要に応えるように、Webデザインやライティングをはじめとした、デジタルノマドになりやすい職種を教えるスクールが増えました。

KOHさん

実は、僕たちもノマドニア設立前にフィリピンで開催するエンジニアスクールの運営に携わっていました。なので、スクールのよさも十分に理解しています。

ただ、いざ自分たちで事業をつくろうと思って市場を追っていったときに、未経験者が「なんか楽しそう!」という感覚で、数万円〜数十万の投資をするデメリットもあるなと思うようになって

飯室

私も50万円かけてスクールに入ったけど、途中で挫折しちゃったことがありますね…

代表取締役のKOHさん

KOHさん

引き返せるならまだいいと思うんですけど、「せっかくお金かけて学んだし」という気持ちでそのまま仕事についちゃうと、好きでもない、得意でもないことを続けることになって、あまりウェルビーイングなはたらき方じゃないと思うんです。

たとえるなら、料理をしたことがない人がいきなり料理人を目指して専門学校に通うようなもの。まずは料理教室で体験してみて「自分に向いているか」を確かめてから本格的に学ぶほうが、ずっと健全じゃないですか。

飯室

たしかに、「お試し」って大人こそ必要かも。

ノマドニアで体験できる10種類の職業

ルイスさん

そうなんです。だからノマドニアでは、10種類の職業を体験できるプログラム設計をしています。

体験を通じて、自分の強みや興味を相対的に理解していく。Aの仕事とBの仕事を比べるからこそ「自分に合っているもの」が見えてくると考えていて。

KOHさん

とくに社会経験が少ないと、今の仕事と自分の間にかぎった絶対評価になってしまいますよね。だからまずはたくさんの種類の職業を体験して、「しっくりくる仕事」を見つけてほしいんです。

ノマドニアは、職業体験に海外移住体験も組み合わせることで、「好きな場所」の選択肢も世界中に広げています

飯室

子どもが職業体験する施設があるように、大人にも必要な時間ですね。

ルイスさん

まさにそうです。あくまで体験なので、スクールだと勘違いしたまま参加されないように、参加希望者に向けた相談会ではとくに伝え方に気をつけています。

たまに「参加したら月いくら稼げますか?」と聞かれることもありますが、僕はいつも「ゼロです」と答えます。僕たちが提供したいのは収入の増加ではなく、価値観の変化。自分にとって最適な仕事、暮らしを見つける、そのための投資として設計しています。

やりがいは、世界を股にかけた人付き合い。ノマドニアが生む人生の転機

飯室

1カ月という短期間でも、ノマドニアをきっかけに人生が変わる人が多いそうですね。

KOHさん

そうですね。ノマドニアは職業体験のワークショップだけではなく、約1カ月間運営メンバーがメンターとしてサポートに付き、伴走していくスタイルです。

ノマドニア終了後も日本最大の招待制ノマドコミュニティに参加してもらうので、その後の変化を知ることができるのも、うれしいですね。

飯室

たとえば、どのような変化があるんですか?

ルイスさん

ノマドニアに参加する方々は、もともと魚屋さんだったり、農家さんだったり、なかには「免税店ではたらいていました」みたいな現場職出身の方も多いんですね。年齢層も、20代から70代の方と幅広いです。

職場に通ってはたらくことが当たり前だった方々が、デジタルノマドとして生きるようになったり、海外移住したり、なかにはジョージアに移住してジョージア人と結婚する、みたいな変化も生まれています。

KOHさん

僕の拠点のひとつがジョージアなんですけど、先日コミュニティメンバーの結婚式がバリ島であって、40時間くらいかけて行きました(笑)。

ノマドニアが人生の起点になった」と聞くと本当にうれしいですし、その変化があとから訪れるのも、僕らのやりがいの1つなんです。

飯室

今までとは異なる価値観の人生を歩み始めている方がいらっしゃるんですね!

KOHさん

僕らはノマドニアというきっかけをつくっただけ。1カ月の体験によって、ご自身で気づいて、ご自身で変わっていったんですけど、その体験が時間をおいて人生の決断に効いてくる。遅れてくるインパクトを知ったとき、ノマドニアをつくってよかったなと思います。

飯室

デジタルノマドになりたい人って、そもそもIT系とか、パソコンで仕事する、みたいな人が多いのかと思ってました。幅広いご経歴の方が集まるんですね。

KOHさん

僕らも意外でしたね。ノマドニアを始めた当初は、ここまでの広がりは想定できていませんでした。

でも実際に走り出してみると、参加者のキャリアチェンジや移住だけじゃなく、現地コミュニティの形成や地域経済への波及まで見えてきた。想像以上に社会への影響が大きいと感じています。

ルイスさん

僕ら自身は社会構造を変えるとか、そういう意識を優先してやっているわけじゃないんです。

でも、日本人がジョージアをはじめ世界各国に行くようになって、旅先でノマドニアの関係者にばったり会うなんてことも増えてきて。「あ、世界が少しずつ変わってるんだな」と実感します。

飯室

ノマドニアが提供する体験が、世界のどこかを変えている。

KOHさん

僕らの仕事って、あくまで「その人が無意識につくっているコンフォートゾーンを抜け出すきっかけづくり」なんですよ。でも、それが連鎖していった結果、気づけば誰かの挑戦のきっかけや、国を越えたつながりになっている。

その広がりに立ち会えるのが、最高のやりがいですね。

「無言実行」で最高に頑張る。フルリモート・フルフレックス以上のはたらき方

代表取締役のルイス前田さん

飯室

ノマドニアが、一人ひとりのはたらく幸せを見つけるサポートをしていることがよくわかりました。ちなみに、代表取締役であるお2人は、どんなはたらきかたをしているんですか?

ルイスさん

僕たちは、それぞれ自分の会社を持ちながら、ノマドニアを運営する株式会社ノマドニアを2人で経営しています。おもな業務は、世界各地で行うワークショップの企画と運営。たとえば「いつどの国で開催するか」「どんなファシリテーターを招くか」を決めたり、ノマドニアの認知を広げるマーケティング全般も行っています。

業務委託ではたらいてくれているメンバーもいて、彼らはワークショップの運営のほか、参加者とのコミュニケーションをとってくれています。全員デジタルノマドで、海外にいても仕事ができる環境です。僕は先日、1年半の世界一周ハネムーンから帰ってきました。

飯室

これがデジタルノマド!

KOHさん

はたらき方は、いわゆるフルリモート・フルフレックス「以上」だと思います。

カレンダーの共有もないので相手がいまどこにいて何をしてるのか知らないし、決まっているのは週1回の定例ミーティングだけ。それぞれが自由に動いて、伝えるべきタイミングで報告し合う感じですね。

飯室

その環境で、仕事って進んでいくんですか!?

KOHさん

ノマドニアが目指すゴールさえ一致していれば、問題ないと思っています。

ルイスさん

そうそう。なので、明確な役割分担もありません。もともとスキルセットが似ていて、人とのコミュニケーションや企画立案、実行、クリエイティブまでお互い一通りできます。

KOHさん

唯一2人とも苦手意識のある経理は、ルイスさんが引き受けてくれているくらいかな(笑)。

かれこれ10年くらい一緒に仕事しているので、グループスポーツみたいな感覚ですね。どっちかが攻めるなら、もう一方はカバーに入る。いちいち相談せず、相手の動きを見て動ける。以心伝心というより、経験値と性格の理解で動いている感じです

飯室

とはいえ、フルリモートで信頼関係を保ち続けるのって、難しくないですか?

ルイスさん

僕らにとっては逆なんです。リモートのほうが、余計な情報が入らない分信頼が揺らぎにくい。たとえば同じオフィスではたらいていて、KOHさんがふとテレビを見だしたら、「サボってるのかな?」って思っちゃうかもしれない。でも、実際は超仕事したあとにちょっと休憩してるだけかもしれないし、仕事のヒントを得ようとしているかもしれない。その意図は、どうしても僕にはわかりにくいんです。

リモートだと、そういう“余計な想像”をしなくていいから「KOHさんは今もベストを尽くしてるはず」と素直に信じられる。だって同じ船に乗ってるわけだから、沈みたくないのは当然ですしね

KOHさん

以前バリでノマドニアを開催したときに、同じ空間にいたのにZoomで定例ミーティングしたことありましたよね(笑)。そのほうが慣れているから集中できるって理由もあるんですけど。リモートって、「ちょうどいい間合い」をつくってくれる気がします。

飯室

その関係性が実現できたら、健全にはたらけそうですね。

KOHさん

僕らは2人とも代表取締役で、同じ責任割合を負っているっていうのがいいんだと思います。事業が伸びるかどうかは半分が自分の力にかかっているので、まず自分が頑張ることが大事じゃないですか。最高の状態になるために、お互いが最高の頑張りをしている

そして、好きで仕事をしている人には監視なんて必要ないです。放っておけばやる方向に進みますから。

飯室

なるほど。

ルイスさん

僕にとって今のはたらき方は、自分の人生のハンドルを自分で握っている感覚があります。だから、うまくいかなくても人のせいにしないし、嫌なことがあっても不幸を感じにくい。

その自由こそが、僕たちにとっての“はたらくWell-being”なんだと思います。

“試職試住”がつくる未来─はたらき方の自由を次の世代へ

飯室

これから、ノマドニアをどんなかたちで広げていきたいですか?

ルイスさん

僕らが目指しているのは、「留学」「ワーホリ」に続く第3の選択肢としてのノマドニアです。

先日、新たに台湾での開催をリリースしたのですが、ジョージアのように「いつか行きたい場所」だけでなく、たとえば1カ月の休職期間でも「踏み出しやすい場所」を増やしていきたい。また職種に関しても、たとえば「占い師体験」のような、より多様な職業にも挑戦できるプログラムを準備しています。

飯室

職業体験の幅も、どんどん広がっていくんですね。

KOHさん

そうですね。僕らがやりたいのは「試職試住」。はたらくことと暮らすことを同時に体験してから選ぶという、新しいキャリア選択の形を社会に根づかせることなんです。

今は社会人向けの設計になっていますが、今後は若年層にもこうした体験機会を広げていきたいですね。たとえば大学進学とかって、数百万円という費用を払うにもかかわらず、「なんとなく」で選んでいるケースが多い。でも、若いうちに少しでも職業を体験できたら、もっと自分に合う道を見つけられるはずですよね

飯室

体験してから選ぶ社会。

KOHさん

僕らの理念はすごくシンプルで、“その人にとって最適なはたらき方・暮らし方を見つけること”です。

仕事・はたらく場所・生き方の選択を通じて、個々の人生が最適化される社会をつくりたい。

日本は憲法でも“職業選択の自由”を掲げているけれど、実際には「選び方を学ぶ機会」が少ないと思うんです。だから、選べるうちに選ぶ力を育てる。そのための「起点」としてノマドニアが存在したいですね。

ルイスさん

僕は世界を旅してきて、職業が選べない国が本当に多いことを痛感しました。貧困や教育格差、政治的な制約で、職業を選ぶ自由がない人たちがたくさんいる。

一方で日本は、少子高齢化やDXの進展によって、今後ますます「仕事を選べる社会」になっていく。だからこそ、選ぶ力がなければせっかくの機会を活かせない。僕らのプログラムが、選ぶ力を育てる場になればと思っています。

<取材・文=飯室佐世子(声音)>

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