企業インタビュー
【開催間近】スタートアップと既存企業を、瀬戸内で“融合”。エリア最大級のカンファレンスが見逃せない!
11月17日・18日、岡山県岡山市で開催!
新R25編集部
来たる11月17日・18日の2日間、大規模なビジネスカンファレンスが行われます。
その名も「BLAST SETOUCHI」なる“スタートアップアトツギベンチャーカンファレンスイベント”。会場は東京…かと思いきや、まさかの岡山県!
このイベントをリードしているのは、岡山をはじめとした瀬戸内エリアに根ざしたベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」。
失礼ながら、“瀬戸内”と“スタートアップ”はあまりイメージが結びつかない気がしますが…どうしてまた、瀬戸内でこんなイベントを?
さらに気になるのが、“スタートアップアトツギベンチャーカンファレンスイベント”という見慣れない文字列。
スタートアップはいいとして、アトツギベンチャーってなんだ…?
いろいろクセがすごいこの企画。一体どういうことなのか、「Setouchi Startups」の共同代表・山田邦明さんと藤田圭一郎さんに聞いてみました。
〈聞き手=鳥山可南子(企業トピ編集部 )〉
地域に不足しているのは、起業家ではなく「シード投資家」
鳥山
本題に入る前に、まずは「Setouchi Startups」について教えてください!
山田さん
「Setouchi Startups」は、創業期のスタートアップへの投資に特化した、独立系VC(ベンチャーキャピタル)です。
岡山県を中心に、瀬戸内エリアに根ざしたファンドなんです。
鳥山
瀬戸内エリア限定ってめずらしい気が…!
藤田さん
「地域に投資」という縛りを設けているVCは少ないですね。
都心部に本社があって、スタートアップが盛り上がっている地域に拠点を置いているというのは聞いたことがありますが…
少なくとも岡山県くらいの規模では、僕らも聞いたことがないです。
鳥山
地域産業に投資している、ということでしょうか?
山田さん
第1の投資条件は、起業家自身が瀬戸内エリアにいる、もしくは瀬戸内出身者であること。
でも、事業領域については地域色が強くなくてもいいんです。
地域事業だと、どうしても一次産業や地元大学の研究室などが多くなってしまいますが、そうではない事業でも「応援したいな」と思った起業家に投資しています。
AI関連企業や就活サービスなど、“地域事業っぽくない”投資先もたくさんあるようです
鳥山
失礼ですが…瀬戸内の地域経済で、地域産業ではない新規事業を起こすのは難しいのでは?
藤田さん
地域限定のVCがほとんどなかった理由は、まさにそこで。
「企業するなら、東京へ行け」とよく言われるのは、投資家のほとんどが東京や都市部にいるから。
それが地域格差になっているんです。
山田さん
僕たちは、地域に不足しているのは起業家ではなく、創業期を支える「シード投資家」だと思っているんです。
金融系VCや、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)は、事業の目処が立っていないものにリスクを張って投資するのは難しい。
「Setouchi Startups」は“創業期を支える”をコンセプトに、シード期やプレシード期の起業家に投資をおこなっています。
そうして、瀬戸内エリアにスタートアップエコシステム*を作りたいんです。
*スタートアップエコシステム…企業、公的機関、研究機関などがネットワークを作り、スタートアップを生み出しながら発展していくシステムのこと
鳥山
若手の起業家にはうれしい考えですね! ただ、出資者を集めるのが大変そうです。
山田さん
ありがたいことに岡山中心に、瀬戸内エリアの名だたる企業が出資してくれているんです。
「地域の起業家のためのファンドを設立したい。一緒の船に乗ってください」とお願いしに行きました。
上の世代の事業家の方々は、「興味はあったけど、これまでどう関わればいいのかわからなかった」とおっしゃることが多くて。
「面白そう」と前向きに捉えてくれた方ばかりで、本当に感謝しています。
スタートアップと“アトツギ”を、瀬戸内からつないでいく
山田さん
そんな僕たちが実行委員を務めるのが「BLAST SETOUCHI」。今年で2回目となる、エリア最大級のスタートアップカンファレンスイベントです。
今年は岡山県の岡山市・倉敷市でおこないます。
2022年、愛媛県・松山市でおこなわれた「BLAST SETOUCHI」の様子
山田さん
今回はテーマとして「スタートアップ×アトツギベンチャー」を掲げています。
鳥山
そこも気になっていたんですが、“アトツギ”というのは…? “跡継ぎ”とは違うのでしょうか?
藤田さん
それについては、実際に岡山県の酒屋の“アトツギ”である僕が説明します!
いわゆる“跡継ぎ”と聞くと、家族が築いた事業をなんとなく引き継いでいるイメージが強いと思うんですが…
僕らが掲げる“アトツギ”は、ただ家業を継ぐだけでなく、新規事業などでチャレンジしているような2代目・3代目のことなんです。
鳥山
たしかに…実態はともかく、まわりから「跡継ぎは楽でいいよな」みたいな扱いをされることもありそうな気がします。
藤田さん
そうなんですよ! 僕は酒屋を継ぎましたが、“跡継ぎ”のイメージに反して、実態はとても大変で。時給換算したらとんでもないことになると思います(笑)。
でも…すごく言葉を選びますが、全然違う待遇にある、お金があってのんびりしている跡継ぎもいますよね。
正直、僕はそれをかっこいいと思えなくて…だからスタートアップに興味が湧いたんです。
鳥山
そんな背景があったんですね…!
藤田さん
傍ら、“アトツギ”としていろんなことに挑戦しました。
コロナ禍で売上が落ちたときには、ギフトラッピングしたお酒を販売するECを立ち上げました。ITで付加価値をつけて、売上を回復させたんです。
そのほかにも、地方学生のための長期インターンシップ求人サイト 「COMPUS」の運営をしたり、東京で流行っている事業をローカライズさせたり。
「地域×新規事業×アトツギ」で、いまは3足くらいの草鞋を履いています。
藤田さん
活動を始めた10年前は、“跡継ぎ”であることを隠していたんです。反動でスタートアップ寄りの活動をしていたくらいで。
でもいろいろな人と話して、同じように「リスクを負っても新しいことにチャレンジしたい」と思っている“アトツギ”はいっぱいいるって気づいたんですよね。
ここ数年で、コミュニティとして可視化されてきた印象です。
山田さん
新しい領域でチャレンジするという意味では、アトツギと起業家のマインドって近いところがあると思うんです。
その融合が見られるのが、今回の見どころです。
あの“大物ゲスト”も。赤字覚悟の豪華コンテンツが盛りだくさん!
鳥山
「BLAST SETOUCHI」では、どんなコンテンツが見られるんですか?
山田さん
スタートアップカンファレンスではありますが、アトツギベンチャーや地域VCなどのトークセッションもたくさんあります。
地域では知らない人がいないような有名経営者の方々にもパネリストとしてご登場いただく予定で、僕たちも岡山市長とのトークセッションをおこないます。
そして大きな目玉の一つは…2022年に「スタートアップ五カ年計画」を強力に打ち出した、岸田文雄内閣総理大臣のビデオメッセージ!
まさかの日本のトップが君臨
藤田さん
正直、この瀬戸内エリアで、この規模とテーマでイベントをおこなうのは不可能かと思っていましたが…
賛同して手伝ってくれる仲間が集まってくれて、なんとか開催に漕ぎ着けました!
僕らふたりの手弁当で準備をしていて、失敗したら1,000万の赤字に…ぜひ当日はたくさんの方に応援に来ていただきたいですね(笑)。
鳥山
瀬戸内のスタートアップ起業家や、アトツギベンチャーを手がける人には、楽しみなイベントになりそうですね!
山田さん
はい! さらに言うと、いま瀬戸内にかかわりを持っていない方にも来ていただきたいと思っています。
民間の地域VC・金融機関・行政が一緒になる機会って、全国的に見てもすごく少ないんですよね。
たとえば東京にお住まいでも、行政を巻き込んだ取り組みを考えている方にとってはすごく参考になるはず。
“岡山モデル”“瀬戸内モデル”という感じで、別の地域の方に参考にしていただくのもいいと思います。
山田さん
「香川と岡山って対立してるよね」とか「広島が中四国の中ではボスだよね」とか、冗談半分で言い合うこともあるんですが…
“瀬戸内”というくくりだと、そういった垣根がないんです。
スタートアップもいるし、アトツギもいる。既存企業で頑張っている人も、行政も、金融もいる。
このごちゃ混ぜな概念こそ「BLAST SETOUCHI」の魅力です。
スタートアップと既存企業は相容れない部分があるのが常ですが、この分断が消える絶好のチャンスでもあります。
多くの異なる立場の方々の融合。これを精一杯やり切りたいと思っていますので…みなさまにお会いできるのを、楽しみにしています!
スタートアップと、アトツギにより存続する老舗企業。対極にいるように見える両者の“融合”は、瀬戸内エリアに縁がない方にも刺激を与えてくれそうです。
企業を引っ張る経営者だけでなく、あらゆるビジネスパーソン必見のイベントになること間違いなし!
興味が湧いた方は、ぜひイベントHPをチェックしてみてください。
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