ビジネスパーソンインタビュー
「ファン3人」から這い上がったバイタリティ
“モテクリエイター”人気の秘密!菅本裕子(ゆうこす)が代弁する「言えない本音」
新R25編集部
ネット上での発信をもとに、自らの可能性を広げる人たちがいる。彼らの発信スタイルは、ボクらビジネスマンにも参考になるはず…。
今回話を聞いたのは、「モテるために生きてる」と公言するモテクリエイター・菅本裕子(ゆうこす)さん。人気アイドルグループ・HKT48を脱退後、一度はニートを経験しながらもSNSとYouTubeをフル活用し、10~20代女子のカリスマへと上り詰めたインフルエンサーだ。
HKTを脱退したら、イベント参加者が3人に。自己プロデュースの必要性を感じ“オンリーワン”を目指した
――SNSをはじめたきっかけって何ですか?
「HKT48脱退後の初イベントに、ファンが3人しか集まらなくて。やばいですよね(笑)。 以前はグループの一員ってだけで握手会にも人が来たし、大きなステージも事務所が用意してくれた。応援されるのが当たり前だったから、『えっ、ファンって自分から行動しなきゃつくれないんだ』って気づいたのが衝撃的で…。そこから自己プロデュースを考えるようになったんです」
――そしてモテクリエイターになった。
「最初は肩書きなんてなかったですよ。『モテたい女の子を全肯定したい!』って思いから、美容やコスメ情報をSNSで発信していただけ。でも、YouTubeの動画編集をはじめたころから『もはやタレントじゃなくない?』ってファンの声も高まってきて」
――その肩書きにもなにか戦略が秘められていたのでは?
「戦略というか、“オンリーワン”になりたかったんです。タレントとかモデルって名乗っちゃうと、競争相手がいっぱいいる。でも、モテクリエイターなら全国に私だけじゃないですか。大きな世界で埋もれてしまうなら、小さな世界でトップを目指せばいいんです」
「思ったことをつぶやく」なんてなかなかできない。だからこそ、女子の「言えない本音」を代弁する
アイドルをやめてゼロから再出発したゆうこす。SNSを使いこなしてからは破竹の勢いで、いまやTwitterのフォロワー数は20万人、インスタグラムでは28万人、YouTubeの「ゆうこすモテちゃんねる」の登録者数は25万人にものぼる。その人気の秘訣って?
「Twitterなら、だれかの気持ちを代弁するのが大事。Twitterってダウンロードしたら最初に『思ったことをつぶやこう』って出てくるけど、思ったことをそのままつぶやくのって、ふつう無理じゃないですか(笑)。フォロワーには職場や学校の人もいるだろうし。じゃあ皆さんどうするかっていうと、リツイート機能を使って『だれかに同意する』ことで、その気持ちを発散させるんです。たとえば以前、こんなツイートしたんですけど…」
といって見せてくれたのは、
「好きな男の子に、一日中『好き』って、『かわいい』って言われて過保護に生きたい」
というかわいすぎるツイート!
「こんなナルシストで恥ずかしいこと、ふつう言えないじゃないですか(笑)! でも、1700件のリツイートと、9500件のいいね! がついたので、これも女子の本音なんですよね。『だれもが思っていても口に出せない本音』を代弁してくる人って、彼女たちにとってはすごく貴重な存在なんだと思います」
「自分だってかわいくなれるんだ!」って気づいてもらうために、昔の冴えない自分もさらけ出す
YouTubeでは「ゆうこすモテちゃんねる」を開設し、モテメイクの方法やコスメレビューを動画にしているゆうこす。チャンネル登録者数も絶好調だが、なにか戦略はあるのだろうか?
「YouTubeには若い子が多いので、女子中高生の気持ちに戻りながら動画をつくっています。『こんな“学校メイク”よさそうだなー』とか『中学生のころはアイシャドーも知らなかったかも』とか。だから、初心者向けのメイク動画がほとんどですね。服装もティーン向けのものを意識して、気軽に視聴できるように動画編集もポップにしています」
ファンに寄り添う等身大の姿勢がすごい。そういえばゆうこすは、過去の自分のサエナイ写真をアップしていたこともあったような…(それでもかわいいけど!)。
「美容やコスメ情報を発信しても、『アイドルだからかわいいんだ』『元がいいだけでしょ』って思われたら説得力がなくなっちゃう。昔の姿を見せることで、『自分でもかわいくなれるんだ!』って気づいてほしいし、私のことも身近に感じてくれると思ったんです。…また私、めちゃくちゃナルシストな発言してますね(笑)」
全員が共感するほうがおかしい。新しいことをやるときは批判も多いけど、自分のためにも気にしない
一方で、ネット上での発信には批判がつきもの。ゆうこすも、多くの“アンチ”から非難の声を浴びてきた。そういった声にはどう対峙してきたのだろう?
「『自分も発信してみたいけど不安です』って相談されること、すごくあります。でも、私は石橋を叩きすぎて渡れないほうが怖くて。叩かずに落ちてしまっても、また登って進めばいいんです。世代が上がれば上がるほど発信に対して消極的になっちゃうけど、動かないとなにも変わらない」
共感されることを大切にしているゆうこすだが、「とにかくたくさんの人に共感されればいい」とは思っていない。
「なにかを発信して、全員が『わかるわかる』ってうなずくほうがヘンじゃないですか。それって万人受けする無難なことを発信している証拠。批判してくる人の理想も叶えようとしてしまったら、結局なんの面白味もない自分になっていると思うんです。『東洋経済オンライン』での連載とか、新しいフィールドに参入するときは批判も多いんですけど、自分のためにも気にしない。発信者としてブレるのは一番ダメですからね」
批判にも負けず、好きなことを発信しつづける強い意思。その原動力はどこからやってくるのか?
「SNSって、なりたい自分になれる場所だと思ってて。アイドルをやめてからの私は、街中を歩いていても半年に一度くらいしか声をかけられない存在でした。でもいまは『モデルのゆうこす』とか『インスタグラマーのゆうこす』とか、自分のなりたかった存在としていろんな人が知ってくれています。SNSで好きなことをがんばっていれば応援してくれる仲間ができるし、仲間がいれば自然と仕事にも発展します。好きなことがなんでも実現できる時代。だからいま、すごく楽しいんです!」
〈取材・文=佐藤宇紘/撮影=森カズシゲ〉

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