ビジネスパーソンインタビュー
転職すれば解決するの…?
働きたくない5つの原因と対処法をプロが解説。向いてる仕事はどう見つける?
新R25編集部
「働きたくない」と思ったこと、ありますよね。
だからといって、すぐに仕事を辞めるわけにはいかないのが現実。
ぐるぐると考えた挙句、「ただの甘えでは…」と落ち込んでしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、のべ5000人の転職サポートをおこなってきた人材コンサルタントの小林毅さんいわく、これは当たり前の感情なんだとか。
悩んでいるビジネスパーソンに向けて、「働きたくない」と思ってしまう原因や、楽しく働くモチベーションを取り戻すための方法を教えていただきました。
〈聞き手=篠原舞〉
【小林毅(こばやし・たけし)】人材コンサルタント。外資系ヘッドハント会社を経て、2010年にホライズン・コンサルティング株式会社を設立。法務系人材を中心に約15年、のべ5000人のサポートをおこない、日系大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援にも従事。2013年より厚労省認定「職業紹介責任者講習」講師として、人材紹介事業者に対する法定講習をのべ2500社に対しおこない、不健全と言われる人材業界全体のボトムアップに尽力している。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)、『成功する転職「5%」の法則』(自由国民社)がある
どうしても働きたくない場合は、転職という選択肢も
「働きたくない」と感じるなら、新たな環境に身を置くことも考えてみてはいかがでしょうか。
少しでもいまの環境を変えたい気持ちがある方におすすめなのは、無料でプロに転職の相談ができる「転職エージェント」です。
もちろん、結果的に転職はしなくてもOK。悩み相談に乗ってもらうだけでも、気持ちの整理がつくかもしれません。
新R25が独自におこなった調査や専門家への取材をふまえて、特におすすめできる転職エージェントを一部ご紹介します。
もっと詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。
おすすめ転職エージェントランキング!プロと利用者が30社以上を徹底比較|新R25転職
選び方や活用法も解説
こちらではご自身の年齢に合った転職エージェントや業界に特化したものなど、目的別におすすめの転職エージェントを紹介しています。
転職エージェントの比較はムダ。プロたちがおすすめサービスと選び方を伝授|新R25転職
自分の市場価値を確かめるためにも利用すべき
こちらの記事は転職エージェントを初めて利用する方のために、活用するメリットや登録後のフローなどについて詳しく解説しています。
「働きたくない」と思うのは当たり前?
篠原
「働きたくない」と思ってしまう社会人も多いようですが、これってダメなことなんでしょうか…?
小林さん
いやいや、誰しも一度は思ったことがあるはずですよ。転職の相談を受けているとよく聞きます。
僕だってたまに思いますから(笑)。
篠原
小林さんも…!
仲間だった
小林さん
ただ、ネガティブな気持ちが続く場合は注意したほうがいいですね。そのまま放置してしまうと、心身に支障をきたす場合もありますから。
篠原
それは嫌だ…。「働きたくない」と言いつつ、いざ本当に働けなくなったら焦ってしまいそうです。
小林さん
そうならないために、まずは「なぜ“働きたくない”と思ってしまうのか?」を自分の心に問いかけてみましょう。
たいていの場合、これから紹介する5つの原因のどれかに当てはまるはずです。
働きたくないと思う原因①「過度に労働時間が長い」
小林さん
1つめの典型的な原因は「過度に労働時間が長い」こと。働く時間が長くなればなるほど、気力が奪われやすいです。
篠原
あるあるですね…。その場合はどうしたらいいんでしょうか?
小林さん
単純に仕事量が多すぎてなかなか帰れない場合は、一人で抱え込まずに上司や同僚を巻き込むべきです。
ただ、まわりを頼れない状況もありえるでしょうし、そもそも「自分がトロいだけ」な可能性もありますね。
篠原
トロいだけ! そう言われるとツラいけど、あるかも…
小林さん
そこで大事なのが、仕事の効率化です。
まず、自分の仕事内容を思いつく限り書き出しましょう。その中で、特に時間をかけているタスクや、負担に感じているタスクのやり方を見直してみてください。
篠原
でも「見直す」って難しくないですか?
小林さん
そんなときは上司や同僚と比べてみましょう。もしかすると、まわりの人が10分で終わらせるタスクに1時間かけてしまっている…なんて場合もあるかもしれません。
篠原
「これで当たり前」と思っているタスクの進め方が、実はものすごく非効率かもしれないってことですね。
小林さん
そうですね。もし自分だけで改善するのが難しければ、上司に相談しましょう。
資料のひな型をつくって作業時間を減らしたり、そのタスクが得意な人にコツを教えてもらったり…といった解決策もあります。
本を読むなどして、知識を増やすのもおすすめです。
篠原
なるほど。
小林さん
要は「いかにラクに仕事をするか」を考えればいいんですよ。
真面目な人ほど“時間をかけることが正義”と考え、仕事を抱えがちですが、そのままではストレスが溜まる一方。
周りを巻き込み、うまく『ラクに仕事ができるポイント』を仕組み化すれば、一気に仕事の効率が上がるがはずですよ。
働きたくないと思う原因②「給与が低すぎる」
小林さん
2つめは、金銭的な不満でやる気を失っているケースですね。この場合のおすすめは「とりあえず転職活動をしてみること」です。
篠原
もっと給与が高い会社に転職したほうがいいということですか?
小林さん
篠原
客観的に自分の価値を判断できるいい機会になるってことですね。
小林さん
はい。そのあとは、本当に転職に踏み切ってもいいですし、今の会社の上司に交渉してもいいですね。
単に「もっと給与を上げてくれ!」と言うだけでは聞いてもらえないかもしれませんが、根拠があれば交渉もスムーズにできますよ。
働きたくないと思う原因③「やりたい仕事ができていない」
小林さん
3つめは「やりたい仕事ができていない」パターンですね。仕事にやりがいを見出だせず、モチベーションが下がってしまっている場合です。
篠原
この場合も、やりたい仕事を狙って転職活動をするのがいいのでしょうか?
小林さん
それもひとつの手ですが、まずは今の職場で “やりたいこと”を主張できているか、振り返ってみましょう。
たいていの場合、あなたがやりたいと思っていることは知られていません。
篠原
つい「察して!」と思ってしまいますが、それは都合がよすぎってことですね。
小林さん
そうですね。あなたにとって上司はひとりかもしれませんが、上司にとってあなたは部下のひとりにすぎません。
臆せず、思い切って上司にやりたいことをアピールしてみましょう。その一言だけで、意外と簡単に状況が変わるかもしれませんよ。
働きたくないと思う原因④「思うように成果を出せていない」
小林さん
やりがいはあるものの、思うように成果を出せずに焦っているパターンもあります。
篠原
ああ〜わかります。どんどん自信がなくなってしまうんですよね…
小林さん
この場合は、まわりで成果を出せている人のマネをしてみましょう。心理学の用語では「モデリング」と言います。
小林さん
すでに成果が出ている方法をマネることで、自己流で頑張るより何倍も早い成長が期待できます。
篠原
具体的には何をすれば…?
小林さん
まずは参考にする人を決め、その人の行動や発言などをあらゆる面から観察しましょう。
そして「取り入れたい」と思ったことをマネしてみてください。
篠原
それならすぐにできそうです!
小林さん
モデリングによって一度でも成功体験を得られれば、自己効力感が上がり自信も持てるようになります。
「成果が出ない→自信がなくなる→成果が出ない…」の負のループから抜け出せるはずですよ。
働きたくないと思う原因⑤「人間関係がうまくいっていない」
小林さん
人間関係がストレスになっているケースもよくありますね。
篠原
嫌いな上司や同僚がいると、それだけで会社が憂鬱になります…。ガマンするしかないのかと思ってましたが、解決策はあるんでしょうか?
小林さん
まずは仕事だと割り切ることですね。合わせてプライベートを充実させると、案外「仕事だからしょうがない」と吹っ切れるかもしれません。
篠原
たしかに効果はありそうですが、それでもモヤモヤする場合はどうすれば…?
小林さん
勝手に同情するのもひとつの手です。
威圧的な態度しか取れない人には「自分に自信がないんだな」とか、他人の成功を素直に喜べない人には「今まで人に褒められたことがないんだな」とか。
相手の態度の原因を想像すると、理不尽な対応にもさほどイライラしなくなりますよ。
何を試しても「働きたくない」場合は…転職するのが正解?
篠原
もし、いろいろ試しても「働きたくない」としか思えない場合は、やはり転職で環境を変えるのがいいんですかね?
小林さん
もちろん、有効な手段であることは確かです。ただ何も考えずに転職してしまうと、またすぐに“働きたくない状態”に逆戻りしてしまうので注意しましょう。
篠原
そうならないための対処法はありますか?
小林さん
自分の中で条件の優先順位を明らかにすることですね。絶対に譲れない条件と、妥協してもいい条件を整理してみましょう。
たとえば給与が最も大事だとわかっていれば、仕事が多少ハードでも我慢できるはず。
すべてに満足できる状態にするのは難しいですが、絶対に譲れない条件さえ明確なら、「働きたくない」と感じるリスクは避けられるでしょう。
専門家が語る"転職失敗の典型例"6選。すぐ辞めたくなったらどうすべき? 出戻りはOK?|新R25 - シゴトも人生も、も
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思い切って会社を“サボる”のもアリ!?
小林さん
どうしても働きたくない場合の、シンプルな解決策がもうひとつ。
たまには会社をサボってしまえばいいんです。
篠原
おお…!
小林さん
僕も会社員時代、あまりにストレスが溜まって、次の就職先も決まらないまま会社を辞めた経験があるんです。
当時は、最寄駅から出ている逆方向の草津温泉行きの特急を眺めながら「あれに乗って温泉に行きたいな…」と思った日もありましたね。
小林さん
今思うと、そんなにツラいなら会社を休んでそのまま温泉に行けばよかったなぁと。
ちゃんと連絡さえすれば、1日くらい休んだって大きなトラブルにはなりません。
休んでストレスを発散する勇気があれば、飛び出すように会社を辞めずにすんだかもしれないですしね。
篠原
でも、「申し訳なくて有給が取れない」という人もいそうです。
小林さん
まず、有給は権利として会社が付与しているものですから、取得するための理由は必要ないのが前提です。
それでも休むと周りに迷惑がかかると思いがちですが、なんだかんだ言って仕事は回るものです。
そもそも、1人欠けたくらいで支障がないような組織にするのが責任者の役割。切羽詰ったら「悪いのは上司なんだ」くらい開き直ってもいいと思いますよ。
篠原
なるほど。まずは「自分が休んでも仕事は回る」と認識したほうがよさそうですね!
小林さん
真面目な人ほど、仕事がツラすぎてメンタルにまで影響が出てしまう傾向にあります。
そこまでいくと復帰するのは難しい。そうなる前に有給をフルに使って、うまくサボってしまいましょう。
仕事は楽しいことばかりではありませんが、みなさんが楽しく働けるように応援しています。
「働きたくない」という本音が頭をよぎったら、まずは原因を分析。むやみに自分を責めず、改善策を考えてみることが大切だと教えていただきました。
長い人生、どうせなら楽しく仕事をするのが一番。適度に息抜きを挟みつつ、「働きたくない」感情とうまく付き合っていきましょう。
〈取材・文=篠原舞(@maichi6s)/編集=石川みく(@newfang298)〉
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