企業インタビュー
「勘」や「経験」だけに頼らない。徹底的なデータ分析&Alで、ベーカリーの未来をつくる
老舗食堂発、経営再建のメソッドを詰め込んだBIツールが大活躍
新R25編集部
売上や客数などの数字データをデジタルで可視化・分析することで、店舗の状況を正しく把握できるBI(Business Intelligence)ツール「TOUCH POINT BI」。
売上UP、廃棄削減、働き方改革まで!? 奇跡の復活を遂げた老舗飲食店から生まれた「BIツール」が心強い
こちらの記事で詳しく紹介しています
このツールを活用したDXに成功している企業のひとつが、東京都江戸川区でベーカリーを展開する「株式会社プラスパン」です。
そこで今回は、株式会社プラスパン代表取締役・滝沢光男さんと、老舗店舗「ゑびや」の復活ノウハウをもとに「TOUCH POINT BI」を開発した株式会社EBILABの代表取締役・小田島春樹さんにお話を聞きました。
〈聞き手=森田志穂(新R25編集部)〉
「売る力」と「管理する力」が不足していたベーカリーの打開策
滝沢さん
「株式会社プラスパン」は東京都江戸川区で、ベーカリー「リヨンコッペル」「リヨンスイーツ」「リヨンソレイユ」の3店舗を経営しています。
まるで自分の子どもを育てるときのように、真剣に考え抜いて作ったパンが自慢です。
森田
「TOUCH POINT BI」を導入したきっかけを教えてください。
滝沢さん
きっかけは、東京都江戸川区から受託して「DX学校」が開催した「江戸川区DX実践ゼミ」への参加です。
小売業ってやっぱりDXに関しては無縁だと思っていて…製造業さんとかが導入するんだろうなと勝手に思い込んでいたんですよね。
でも、DX学校のうめけん校長からEBILABさんの話を聞いて、もしかしたらうちでも使えるかもしれないってなったんですよね。
森田
「TOUCH POINT BI」導入までの課題は、何だったのでしょう?
滝沢さん
私は18歳で高校を卒業してからパン屋一筋で、パン作りは得意だと自負していたんですが、店舗を経営していくうえで、作る力だけでは未来はないなと。
未来を見据えていくために導入を決めました。
森田
作る以外に何が必要だと?
滝沢さん
「作る力」に加えて、「売る力」と「管理する力」の3つがないと、立ち行かなくなります。
ただ私たちは、「売る力」と「管理する力」が弱いのも自覚していました。どうにかしなくちゃということを考えていたときに、アパレル業界にいた息子が跡を継ぐと言い出して。
森田
アパレルから!? まったくの異業種ですよね。
滝沢さん
息子は現在修行中で、職人としてパン作りに専念していますが、経営まで細かく見るにはまだ時間がかかります。
お店を経営・管理するには「管理する力」だけでなく、「作る力」と「売る力」も必要で、この2つの力が求められる状況です。
森田
現在のお店の状況においても、息子さんが将来お店を継いだ
場合においても、3つの力のいずれかが欠けてはいけないということですね。
滝沢さん
そうなんです。しっかりと未来をつくるためには、やはり売上が必要です。
今の売り上げは3店舗で年商3億5,000万円ほどなのですが、今後売上を2倍、3倍にしていくことを考えると、このままでは限界があることはわかっていました。
そこで、「作る力」以外の2つの力を強化するために「TOUCH POINT BI」を活用して、現状を見据えながら、しっかりと未来を作っていきたいと思ったんです。
チャンスロスをなくして、注力ポイントへの集中が可能に!
滝沢さん
それまでも、POSレジで売上順位や、何が何個売れてるか、といった販売状況は各店の店長が把握してはいたんですが…
それらの数字を見ることはできても分析する機能はなく、店長がそれぞれの勘と経験則で、その日に作るものと数量を決めていて。
森田
店長さん、大変…!
滝沢さん
その後、店舗管理システムも入れて、売上や発注管理ができるようになったものの…
結局、店長が売上情報を現場に落とし込めていなかったり、せっかくのデータを分析できていなかったりして。
森田
現場にとっても、売上情報の共有は大事なんですか?
滝沢さん
すごく大事です。
何が売れているのか、把握しないでパンを作るのは、やっぱりお客様にとっても得にならないし、我々の商売としても得にならないですね。
森田
職人の勘、という感じですね。
小田島さん
実際に、老舗の飲食店を営んでいた私たちもそうで…そろばんで売上管理をしたり、肌感覚で仕入れたりと、アナログかつ属人的な経営スタイルでした。
「ゑびや」でさまざまなDX化に取り組み、経営再建を達成した知見を体系化し、ビッグデータをもとに来客予測や店舗の状況を分析できるシステムが「TOUCH POINT BI」です。
滝沢さん
どうしても売上予測と実際の売上の誤差が大きくなることもあって。
売上が未達になってしまったり、逆に商品が足りない状況になったりしたことがあったので、そのあたりを最小限にするのが今後の課題の一つです。
小田島さん
着実に売上を上げるためには、商品開発と、あとは欠品を回避することに尽きるなと僕も思っているところですね。
滝沢さん
小田島さんが言っていたように、売上の機会損失をしないためには、商品の品切れをいかに少なくするかがすごく重要になってきます。
ですから、店長にはぜひ売り上げ予測を使ってもらい、それにもとづいたムダのない生産体制を整えてほしいと思っています。
来客予測とそれに対する生産予測がしっかりできれば、チャンスロスをなくせますから。
小田島さん
一つひとつ、丁寧に分析をすれば、生産予測も立てられると。
滝沢さん
そのとおりです。また売上は客数×客単価なので、客数を伸ばしながら、いかに客単価を上げていくかが、本当に売り上げを上げる策。
「TOUCH POINT BI」を導入したことで、さまざまな分析が瞬時にできるようになったので…今後は客単価を上げる努力に集中できたらと思っています。
リアルな数字で、社員の行動意識も変わる
森田
「TOUCH POINT BI」を導入して、どう活用できていますか?
滝沢さん
現在「TOUCH POINT BI」は、店舗のPOSレジと接続して使用しています。
これにより来客数と個別商品の販売予測ができるのですが、正直まだ導入したばかりなので、一年間ぐらいはまだまだデータを蓄積する段階かなと。
ただ、10年以上のデータがある「リヨンスイーツ」に関しては、ほぼ的中率100%の売上予測となっていて、その日に作るパンの数もきっちり管理することができています。
昨年開店したばかりの「リヨンコッペル」は、まだまだデータが少ないので、本当の意味で“使える”のは、来年ぐらいかなと思っています。
森田
導入したことで、社員さんたちの反応や変化はいかがでしたか?
滝沢さん
明らかに数字に興味をもってくれるようになりました。
先日の店長会議の際、BIに表示されているグラフの情報をもとに話をしたんです。
来客予測を見てみると、一日で作るパンはもう午後3時前に売り切れてしまうことになる。 だったらどのぐらいつくったらいいのかなど、“何時に何がどのぐらい売れているか”という具体的な話をして。
「TOUCH POINT BI」でできること
滝沢さん
やはり数字の説得力は大きくて、割とすんなり理解してくれましたし、そこから改善のための行動意識にもつながって。
「数字のデータをもとにしてパンを作る」ことの大切さを痛感しています。
DXを当たり前にして、未来のパン屋さんを増やしたい。
森田
今後解決したい課題ややりたいことは、ありますか?
滝沢さん
今後実現したらいいのに、と思うのは「AI部長」ですね。
森田
AI部長?
滝沢さん
「TOUCH POINT BI」の実績データと予測分析を踏まえて、店長に生産アドバイスをしてくれたらいいなと。
「昨日はこの時間、この商品が足りなかったですね。今日はこの時間におそらくこれが売れると思うので、品切れしないように頑張ってください」というメッセージが、自動で通知されるイメージです。
森田
いいですね!
滝沢さん
「AI部長」があればいいなと思うのは、AIが発達しているからというのもありますが、働き方が昔と変わっているから、というのも実は大きいんです。
森田
というと…?
滝沢さん
たとえば昔だったら朝4時から夜8時までぶっ通しで店に立っていて、商品がどのように出ているかを目の当たりにしていたんですよね。
でも今はそのような働き方をする時代ではなくなったので、仮に朝4時に出勤したら、昼の1時にはもう帰ってしまいます。
お店はその後も開いていますから、夕方の状況がわからない日が出てくるんですね。
森田
なるほど…
滝沢さん
でも、翌日の生産体制は考えなくてはならない。そのギャップを、 AI部長が「昨日こうでしたよ、ああでしたよ」って教えてくれたらいいなと。
小田島さん
AIを活用したそのような仕組みは我々も研究中で。
AIが作成した「本日の分析の概要」が日報として自動で送られる仕組みも作っています。
滝沢さん
そういうの、とても憧れます…!
小田島さん
AIとわかってしまっているからかあまり反応してくれないので、見てもらえてるかわからないみたいな懸念点もあるんですが…
本当に忙しい方が電車の帰りとかに“まとめだけでも見られる”状況づくりみたいなことも、進めていけたらと思っています。
滝沢さん
私はプラスパンの未来をつくるべく、今頑張っていますが、今後後継者がいなくて、お店をたたまざるを得ないパン屋さんはどんどん出てくると思います。
ただ、それはもったいない。
パンを作りたい人、好きな人はたくさんいるので、まずは管理ハードルを下げられるツールとして、EBILABさんのシステムを導入すると、パン業界が活性化し、未来のパン屋さんが増えていくんじゃないかなと思っています。
データを活用することで、無駄なコスト削減や利益の拡大につなげる「TOUCH POINT BI」。
滝沢さんのように「TOUCH POINT BI」という強力な味方をつけることで、未来への歩みも確実に進められるかもしれません。
店舗経営に行き詰まりを感じている経営者の方はもちろん、DX課題があるという方は、ぜひ気軽にEBILAB社まで問い合わせてみてくださいね。
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