企業インタビュー

企業の垣根を超えて、日本の「食」をもっと豊かに。“冷凍経済圏”の拡大に取り組む協会の野望とは

企業の垣根を超えて、日本の「食」をもっと豊かに。“冷凍経済圏”の拡大に取り組む協会の野望とは

ご家庭の冷凍庫から、冷凍文化を変えていく

新R25編集部

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最近、冷凍食品がひそかなブームになっている気がしませんか?

スーパーで売られている冷凍食品のクオリティの高さは言わずもがな。

おいしい食材が冷凍で届くサブスクを見かけたり、街でちょっと変わった冷凍自販機に遭遇したりする機会も増えてきた気がしますよね。

今回紹介するのは、そんな“冷凍ブーム”を支える「フローズンエコノミー協会」という団体。

冷凍業界を取り巻く課題を解決し、世の中にもっと魅力的な冷凍品を届けるべく奔走しているようなのですが…その実態とは?

同協会の代表理事を務める山口翔さんに、“知られざる冷凍の世界”を語っていただきました。

〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉

「パンパンなので今月はスキップで…」協会発足に至った“2つの課題”

石川

冷凍食品、最近ちょっと流行ってませんか?

冷凍自販機とか、冷凍で食材が届くサブスクが増えてきた気がします。

山口さん

そうですね。消費者の買い物頻度が低下するなか、長期保存できる家庭用冷凍食品の需要が急速に伸びています。

また、近年は冷凍技術の進化がめざましく、本当においしい冷凍食品も増えてきました。

おっしゃる通り、個人宅に直接商品を届けるEC・D2Cの食品事業者が冷凍領域に参入するケースも多いですね。

石川

やっぱりそうなんですね。

山口さん

そんななか、冷凍業界を取り巻く“2つの課題”があって…

ひとつは「冷凍庫パンパン問題」です。

石川

語呂がいいな…

山口さん

これは読んで字のごとくなんですが(笑)。

これだけ魅力的な冷凍品が増えているのに、その受け皿となる家庭用冷蔵庫の冷凍スペースが足りていないんです。

僕は以前、冷凍パンの定期便の事業に携わっていたんですが、「冷凍庫がパンパンなので今月はスキップで…」という声が相次いでしまって。

どの事業者さんも、みんな同じ課題を抱えてしまっています。

みなさんの家の冷凍庫も“これ”じゃないでしょうか

石川

せっかく魅力的な商品を作っても、本末転倒になっちゃうんですね。

もうひとつの課題というのは?

山口さん

これは食品業界全体の課題でもありますが、「企業間に垣根がありすぎる問題」です。

たとえばIT業界だと、いろんな企業が集まるカンファレンスやイベントがたくさんありますが…食品業界はそういった機会があまりなく、企業同士の横のつながりが希薄なんです。

企業同士で情報交換したらすぐに解決するような課題に、ずっと頭を悩ませてしまうケースもたくさん起こっています。

石川

たしかにありそう…

山口さん

「冷凍食品=おいしくない、手軽で手抜き」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが…

そのイメージを覆すべく、おいしさを追求するために素材や冷凍方法にまでこだわった食品を提供する事業者がたくさんいらっしゃいます。

それなのに、これらの課題のせいで冷凍品の魅力を知ってもらえないのはもったいない

企業種別や規模にかかわらず各事業者が連携し、それぞれの知見の共有や交流を深めることが重要だと考え、2021年に前身となる「フローズンエコノミーラボ」を立ち上げました。

山口さん

スローガンは「おいしくてサステナブルな生活を」。

2022年5月には「一般社団法人 フローズンエコノミー協会」となり、現在では生産から消費までのサプライチェーン全体にかかわる約90社のパートナー事業者にご参加いただいてます。

冷凍庫レンタルから工場見学まで。フローズンエコノミー協会でできること

山口さん

フローズンエコノミー協会の会員になっていただくと、このような活動に参加していただけます。

活動計画

・フローズンエコノミー協会会員専用のSlackへご招待

・勉強会/交流会 約1カ月に一度開催

・各種プロジェクトへの参加

・フローズンエコノミーサミット 年1回開催

・セカンド冷凍庫レンタルプログラム(フローズンエコノミー協会特別価格)の導入 

※今後アップデートしていく予定です

山口さん

実例を少しだけ紹介すると…まずは「冷凍品流通のための環境づくり」。

「冷凍庫パンパン問題」を解消するために、家電のレンタルサービスを提供するレンティオ株式会社のご協力のもと、冷凍庫のお得なレンタルプログラムを考案しました。

会員の事業者が提供しているサービスのユーザーは、小型冷凍庫を1カ月500円というお手頃価格でレンタルできます。

山口さん

企業同士の横のつながりを増やすための「セミナー・勉強会」も盛んです。

たとえば、味の素冷凍食品株式会社株式会社パンフォーユーのコラボセミナー。

山口さん

老舗企業の味の素さんならではの「品質管理」と、デジタルに強いスタートアップならではの「IT活用」について、それぞれが知見を提供。

大企業とスタートアップの垣根を越えた学びの場となりました。

石川

大手企業はITに苦手意識がありそうだし、スタートアップは品質管理に苦労してそうだから、お互いのいいとこ取りができるんですね。

山口さん

そうなんです。ちなみに、味の素さんでは工場見学ツアーも開催させていただきました。

“一兆円企業”の品質管理を間近で見られる機会はそうそうないので…非常に盛り上がりましたね。

贅沢な体験。ふつうに行ってみたいな…

山口さん

あとは、年1回の特別なイベントとして「フローズンエコノミーサミット」も開催しています。

昨年度は150名もの方にご参加いただき、冷凍業界の課題や未来について朝から晩まで議論しました。

山口さん

夜のアフターパーティでは、会場の食事をすべて冷凍食品でご提供したんですよ

石川

へえ! 面白そう…!

山口さん

こういうパーティって、どうしても食事が余りがちなんですが…

冷凍食品なら必要なぶんだけレンジでチンすればいいので、せっかくの食事が無駄にならずに済みます。

レンチンを待っている参加者同士で交流ができたのも評判がよく、おかげさまでサミットは参加者の満足度100%で幕を閉じました。

経験を積んだプロのサポートが受けられる、新事業にも注目

山口さん

さらに、この5月から「フローズンビジネスサポート」という新事業も開始しています。

石川

フローズンビジネスサポート?

山口さん

冷凍関連事業を手掛けるプロの知見を、企業の垣根を超えてシェアリングする事業です。

昨今の“冷凍品ブーム”により、異業種からの新規参入・大手企業の新規事業立ち上げなど、冷凍業界にはぞくぞくとプレイヤーが増えています。

会員企業が持っている知見を、セミナーや勉強会だけでなく事業そのものにも活かすことで、“フローズンエコノミー”のさらなる発展につながると思ったんです。

石川

具体的にはどんなことができるんですか?

山口さん

あくまで一例ですが、下記のような支援ができます。

フローズンエコノミー協会には、冷凍品を活用したサービス提供をする企業・団体だけでなく、電気製品・電力供給・資材・物流などのあらゆるステークホルダーがいらっしゃるので…

適材適所のプロフェッショナル”による多様なサポートが可能です。

・冷凍に関する事業戦略/事業計画の策定支援

・新商品開発のサポート

・マーケティング戦略の立案・実行支援

・流通戦略支援

・品質管理/リスクマネジメント支援

・サブスクリプションサービスの導入支援

・冷凍自販機および無人販売戦略のサポート

・加工食品のノウハウ/ラボ機能の提供

山口さん

さっそく良い事例も出てきていまして…

協会の幹部でもある味の素株式会社の石原敏章さんが、冷凍自販機サービス「ヌードルツアーズ」を提供する株式会社丸山製麺の顧問に就任しました。

食品業界の第一線で活躍されてきた石原さんの知見が、ヌードルツアーズのような新しい事業に活かされることで、これまでにない化学反応が起こりそうだなと思っています。

フードロス削減&海外展開…冷凍の力で、日本を救いたい

山口さん

ここまで、フローズンエコノミー協会のさまざまな活動を紹介させていただきましたが…

僕たちが本当に目指しているのは、「フードロスの削減」と「販路拡大の支援」です。

本当に価値あるものが、必要とされている方にしっかりと届く世界を作っていきたいと考えています。

石川

ほう…

山口さん

本来食べることができるのに捨てられる食品は年間約600万tにもおよぶと言われています。

長期保存できる冷凍品がもっと普及すれば、これらの削減に貢献できるはずですし、もっとサステイナブルで豊かな生活が実現するはず。

そんな想いで、農林水産省が推進する食品ロス削減国民運動にも参加しています。

山口さん

さらに現在は、業務用冷凍冷蔵庫を提供し、海外に複数拠点を展開するフクシマガリレイ株式会社による勉強会や、香港向け越境EC「YAICHI」との特別企画など、冷凍食品の海外展開に向けた動きも始動しています。

「食」は、日本が世界に誇れる産業のひとつ

長期保存という特性を活かして、もっと輸出を増やせたら、日本の発展にもつながるはずです。

石川

そんなことまで…思った以上に大きい意義がある活動なんですね。

山口さん

ありがとうございます。今後も各プロジェクトを通じて冷凍経済圏の拡大を目指しますので…

一緒に冷凍業界を盛り上げたいという企業のみなさんはぜひ、僕たちの仲間になっていただけるとうれしいです!

冷凍関連事業に取り組む企業が、フローズンエコノミー協会で得られるメリットは無限大。

…なにより、すべての活動がめちゃくちゃ楽しそうじゃないですか?

日本のみならず、世界に活動の幅を広げていくというフローズンエコノミー協会に、今後も要注目です!

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