企業インタビュー
諸悪の根源は100年前の「脱穀機」…!? 若新雄純&武田双雲が、日本が“不寛容“になった理由を神解説
「新R25チャンネル」で「不寛容」を考えるトーク番組がスタート!
新R25編集部
2023年の「幸福度ランキング」、日本は何位かご存知でしょうか?
正解は、137カ国中47位*。G7では最下位となっています。
*国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)が発表した、2023年版「
World Happiness Report
(世界幸福度報告書)」より
報告書によると、日本の幸福度が低い原因は、「選択の自由度のなさ」と「他者への不寛容さ」。それらの課題はウェルビーイング文脈だけでなく、挑戦やイノベーションの阻害にもつながりそうです。
そこで「新R25チャンネル」では、“不寛容を撲滅するヒント”を有識者たちと議論する番組「不寛容撲滅会議」をスタートすることに。
初回は、“寛容”を体現されている若新雄純さんと武田双雲さんをゲストにお招きして、「なぜ日本は不寛容になったのか」をテーマに議論を展開。
鼎談は、若新さんのこんな持論から静かに始まりました…
若新雄純「不寛容さは“村”から来てる」
若新さん
僕は、日本の不寛容さは村(むら)から来てると思ってて。
渡辺
村?
若新さん
僕も農家の孫なのに知らなかったんですけど…
100年ぐらい前まで日本人の8割ぐらいは農民で、集落単位で米を作ってたらしいんですよ。
米って収穫したら皮を剥いで「脱穀」しなきゃいけないんですけど…
みんな「脱穀機」を持ってないから、その集落で唯一「脱穀機」を持っている庄屋さん*のところに持っていくんですって。
*庄屋(しょうや)は、江戸時代の村役人である地方三役の一つで、村政を担当した村の首長。おもに関西で用いられる。武士よりも経済的に裕福で広い屋敷に住み、広大な農地を保有していた
若新さん
庄屋さんは預かった米を全部まぜこぜにして脱穀して、「あなたは田んぼが何反(なんたん)*だから何キロね」みたいな測り方でそれぞれの家に返していたらしいんですね。
*反(たん)…田んぼの広さを表す単位。ちなみに1反=約1,000平方メートル(300坪)
若新さん
…ということは、どこかの家の田んぼだけちょっとでも違う作り方をしたら、全員の米の質が変わっちゃうじゃないですか。
そうならないように、みんなが決められた時期に決められた間隔で決められた苗を植えないとダメっていうルールを徹底していたらしいんですよ。
武田さん
クリエイティビティを持って品質改良とかしちゃダメ…みたいな?
若新さん
そういう勝手な行動をしないように、みんなで監視しあってるから…もう絶対にダメなんです。
若新さん
…ただですよ?
本人は決められたルールのとおりに作ったのに「虫に食われて全滅」みたいな“不作の年”ってあるじゃないですか。
そのときは、庄屋さんがみんなに均等に米を分けるらしいんです。
すごくないですか?これ、保険なんですよ。
渡辺
あ〜、「この村にいる限りはセーフティネットもあるよ」みたいな。
若新さん
そう、セーフティネット。
「不慮の事故のときはその分を保証してあげる。でも、この輪の中に入るためには一糸乱れぬ仕事をしないといけないよ」と。
この文化があったのって、たかだか100年ぐらい前ですよ?
8割の人が農家だったと考えると、このマインドは当然いまも日本人の“血”になってると思うんですよね。
大きな組織ほど不寛容が起こりやすい理由
武田さん
…となるとですよ?
僕らの社会っていうのは基本ずっと“反イノベーティブ”だったわけですよね。
でもこれ、今の大企業も同じで。
武田さん
僕はここ10年ぐらい、いわゆる日本を代表する大企業の次期社長候補に“マインドフルネスの授業”をおこなう「リーダーシップ研修」っていうのをやってるんですけど…
お酒が入ると、ぶっちゃけた話もするんです。
すると彼らは、「社員にイノベーションをまったく求めてない」って言うんですよね。
渡辺
え、そうなんですか?
武田さん
いわゆる“飛び抜けた人”とか“平均値から出た人”は、そもそも受け入れられないらしいんですよ。
大きなシステムで動いてるところに大谷翔平が出られても、手に追えないっていう。
若新さん
それも庄屋と小作人の関係性と同じですよね。
「僕がなんでこんなに脱穀を語ってるのかわかんないですけど…」
若新さん
集落に「脱穀機」を持ってる庄屋さんが一つしかないと、その庄屋さんが村の重要なことを決めたりして、だんだん権力化していきますよね。
みんなが自分の田んぼで脱穀できるようになっちゃったら、庄屋さんはその権力を発動できなくなるから…
きっとあの手この手を使って、勝手に脱穀させないようにしたんだと思うんですよ(笑)。
武田さん
村で“唯一の脱穀機”じゃないと、権力を持てないですもんね。
若新さん
でも、その“唯一の脱穀機”はもう古いんですよ。
武田さん
みんなが気づいちゃったんですね。
…なんかこれ、今の日本社会に似てません?
若新さん
似てますよね。
みんなが脱穀機の古さに気づきつつも、すぐには切り替えられなかった“空気を読む価値観”みたいなものが、今でも残ったままなんじゃないかなと。
ずっと自民党が強いのも、大企業が社員にイノベーションを求めないのも、この先祖代々から受け継がれた保守的なDNAが根強いからだと思うんですよね。
庄屋さん由来の保守文化が、今の政治や大企業にそのまま根付いている説。脱穀からここまで話が広がるとは…
現代人が“不寛容さ”を感じるのは「情報強者」だから
武田さん
ここまで話を聞いて思ったのが…
昔のほうがよっぽど不寛容な仕組みだったのに、当時はそれを不寛容とは感じてなかったわけじゃないですか。
でも現代を生きる僕たちは“不寛容による生きづらさ”を感じている。
これって、脱穀機の古さに気づいた僕らが変に煽ってるからじゃないですかね?
渡辺
たしかに…
徐々に自分で脱穀する人が現れはじめて、「あれ? 本当はみんな自分でも脱穀できるのに、その権利を与えてくれない庄屋さんって不寛容じゃない?」って思いだす…みたいな。
若新さん
その気づきを与えたのは、やっぱりインターネットの登場ですよね。
Webってもともとは“中央・中心を置かない”って発想から始まって、「無秩序だけど新しく面白く発展していく」みたいな世界観のなかで、みんなが自由に発信していったじゃないですか。
武田さん
多様な情報を得ると、不満が増えますよね。
たとえば「税金の仕組み」を検索して世界中の税制を知ると、日本の税制が急に損して見えたり。
知らなかったらそのまま「知らなかった」で済んでたものが、そうもいかなくなる。
渡辺
それはありますよね。いや〜…いきなり構造理解が進みました。
結局、既存のシステムに“綻び”が出てきて寛容を求める人が増えているけど、上はマネジメントしやすいようにそれを維持しようとしている。
この構図が、“不寛容を体感する人”が増えている大きな原因なのかなと思いました。
現代人が抱える“不寛容”の根源は、まさかの100年前の“脱穀のシステム”にあったことが判明。
このあとも「田舎でタブー視される“問屋問題”」「“権力側になる”とはどういうことか」など、まだまだクリティカルな議論はつづくので…ぜひ動画でご覧ください。
▽ 動画はこちらから!
若新さん・武田さんとお送りする「不寛容撲滅会議」は、さらに中編・後編へとつづきます。
中編の議題は、「日本人の“キャリア観”が不寛容を生み出している/若新雄純&武田双雲はなぜ寛容でいられるのか?」。
▽ 動画はこちらから!
そして後編は、「不寛容社会に『2ちゃんねる』が必要なワケ/日本人が身につけるべき『丁寧道』と『愚道』」という議題で、この鼎談を締めくくります。
▽ 動画はこちらから!
今後の「不寛容撲滅会議」には、どのようなゲストが登場するのか…? チャンネル登録をしてシリーズ展開をお待ちください!
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