企業インタビュー
なぜ、株主総会で「私は、孤独な存在です」と吐露? 豊田章男のスピーチに学ぶ“話し方の戦略”
逆境のコロナ禍。そんなときに語るべきこととは
新R25編集部
「もっと話し上手になりたい」「トーク力を身につけたい」
そう思う人も多いのでは?
そこで「企業トピ」にて展開する「新R25書籍トピックス局」では、千葉佳織さん著『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』(プレジデント社)に注目。
ビジネスシーンから私的な場面まで、さまざまな状況で活用できる“話し方・伝え方”のアドバイスを全3回にわたってお届けします。
1回目では、指原莉乃さんが総選挙1位に返り咲いた際の例を挙げ、「弱みの開示」についてお伝えしましたが、今回は、トヨタの豊田章男前社長が「弱み」を見せた手法を一部抜粋してご紹介。
また、指原莉乃さんは「強みの開示」も上手に使っているんだそう。そのテクニックとは…?
声を詰まらせながら吐露。“豊田章男”流「弱み」の戦略的活用法
※以下、『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』(千葉佳織)より
「弱みの開示」は、芸能界だけでなく、ビジネスの世界でも多く使われます。
トヨタの豊田章男前社長は、この手法を得意としています。
2020年、コロナ禍で開催されたトヨタの株主総会でのこと。それまで自分が「台数や収益を一番に考えるのではなく、もっといいクルマをつくろうよ」と、業界の常識や会社の慣習と異なる言動をとってきたことを涙ながらに述べ、彼は自身の弱みを開示しました。
振り返りますと、私がしてきた決断は、時代の潮流にも、トヨタの保守本流にも、逆行することが多かったと思います。会社の中で、社長は「孤独」な存在です。特に、私は、就任当初から歓迎された社長ではありませんでしたので、いろいろな意味で、「孤独」を感じることが多くありました。そんな私が、大きな流れに逆らいながらも、なんとか前に進むことができましたのは、株主の皆様のおかげでございます。
(中略)
最後に皆様にお伝えしたいことがございます。ご安心ください。トヨタは大丈夫です。リーマン・ショックの時と、今の我々は違います。
豊田さんは「自分は歓迎された社長ではなかった」と赤裸々に話しました。
株主総会という場の性質を考えれば、自分の落ち度や失敗を話すことはむしろ逆効果だろう、と思う人もいるかもしれません。
壇上に立つ社長は、株主に対して事業の責任を負っています。「リーダーたるもの完璧であれ」という株主からの圧力が、往々にしてかけられているものです。
しかし、ここで自分の失敗や落ち度を出すからこそ、そのあと努力で這い上がっていき、結果的に今の良い会社ができている、というメッセージが人間味を帯びて伝わってくるのです。
もし、ここで豊田社長が「良いこと」しか言わなかったとしたら、株主は「また、株主相手だから良いことばっかり話して」「いつも通りの総会の話だな」と鼻白むでしょう。
思いきって自分の弱みを吐露した話を聞くと、「この場で勇気を持って話してくれたんだ、応援したい」「努力をしてきているところに好感が持てる」といった反応が寄せられるのです。
とくにスピーチの場面では顕著ですが、人前でなにかを話すという行為にあたり、ほとんどの人は自分をよく見せたがります。つまり、サクセスストーリーなどをベースに前向きな言葉を掲げ〝強そうな〟話をしがちなのです。
しかしながら、聞き馴染みのある功績や自慢を羅列されたとて、共感や応援にはつながりません。
堂々たるリーダーのイメージからは想像のつかない「不甲斐なさ」や「申し訳なさ」など、「本人が発することに勇気が必要な要素」がある話を聞いて初めて、私たちは本人の人格に注目し、ときに共感や応援をします。
弱みの開示が効果的に響くのは、それがまさしく話し手自身にしか話せないことだからです。
社会的に高く評価を受けたことや功績などの強みは、数値上の実績や実際の表彰によって、社会に情報が出ます。
そのため、聞き手にとっては既知の情報であることも多いです。
本人以外知り得ない内容である弱みこそ、話し手自身の言葉として響くのです。
指原莉乃が見せた「弱み」と「強み」の絶妙な使い分け
「弱みの開示」の項で紹介した指原さんは、ファンという「仲間」の存在を強調することで、自らの強みもまた巧みに表現しています。
2016年の選抜総選挙で、過去のどんな人気メンバーも達成できなかった、最多3回目の1位獲得を果たした際のスピーチから紹介します。
おこがましいのですが、一つだけお願いがあります。この1位で三回目になります。どうか、どうか私を1位として認めてください。私は、スキャンダルで仕事が増えましたし、スキャンダル成金と思われてもおかしくないような仕事っぷりなんですが...。
(中略)
だけど今まで1位を取ってきたメンバー同様に、ファンの絆は厚いと思っています。なので、私の1位は当たり前ではありません。私の1位が倒せない。そういうことではなく、私のファンのみんなが、無理に無理に無理を重ねての1位です。ありがとうございます。どうか私に、〝心からのおめでとう〟をお願いします。
1位を3回取ったことを自ら語り、それを認めてほしい、と素直に言っています。
当時の様子はテレビで生中継されていましたが、「認めてほしい」という言葉が発せられた瞬間、スタジオのタレントからはどよめきが起こっていました。
しかし、それはファンの〝無理〟によって成り立っているのだと続けます。
もちろん、認められて当然の圧倒的な成果があることは前提にありつつ、「私はすごい」→「それはファンのおかげだ」とつなげることで、一体感が生まれました。
これも上手な強みの開示方法です。
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