企業インタビュー
英語力向上にコミットする、日本一熱い英語コーチ・ごん。“はたらくWell- being”の鍵は、「無謀なリスクを取らないこと」
連載「“はたらくWell-being”を考えよう」
新R25編集部
リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。
現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」 「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。
そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。
「英語を勉強したいけど、続かない」 「勉強しても英語力が上がらない」そんなお悩みを熱血伴走で吹き飛ばす、英語コーチングのごんさん。
TOEICコース・英会話コースと提供するふたつのコースにおいて、クライアントさんは自分の目指す英語力取得のために着々と力をつけていきます。
中学時代からの夢であったという高校の英語教員を辞め、フリーランスとして英語教育事業を展開するごんさん。安定した職から一歩踏み出すことに、不安はなかったのでしょうか?
選択の過程で見えてきた、ごんさんにとっての“はたらくWell-being”とは何かを聞きました。
元高校英語教員。高校時代、英語学習で挫折したものの大学時代にフィリピンへ留学し、「英語で」人生が大きく変わる。カナダ留学で「TESOL(英語教授法)」を学び、帰国後に高校教員に。バックパッカーで学んだ「世界の素晴らしさ」を高校生に熱弁。在職中に「英語で日本人の可能性を広げたい」の想いでX(元Twitter)を始め、現在フォロワー1万9,000名。担任として初の卒業生を出すと同時に、夢に挑戦するために教員を退職し、英語コーチとして独立。TOEIC935点。サンクチュアリ出版にて「ゼロからできる英会話学習法」講演会実施、「POLYGLOTS」特別コラボセミナー実施、「90English」発音コラボセミナー実施。妻と2歳の息子が大好き
24時間365日稼働も、キツくならないコツ
飯室
ごんさんの英語コーチングを受けると、どのように英語を学べるんですか?
ごんさん
僕が提供しているのは、英会話コースとTOEICコースの2コースです。
3カ月を1クールとして、英語力を伸ばしたい方に対して目標を定め、現状の英語力を把握した上で、そのギャップを最短で埋めていくためのカリキュラムをつくります。完全マンツーマン・オンライン完結という形で、着実に英語力を高めていけるよう日々伴走しています。
飯室
英語を学ぶ場って数多くあると思うのですが、ぶっちゃけ、ごんさんのクライアントさんはどれくらいの成果を挙げられているんですか?
ごんさん
TOEICコースで言えば、3カ月で200点くらいは上がる方が多いですね。最高は265点アップ、1.5カ月で865点をマークした方もいます。英会話コースだと、3カ月で発話量2倍など、短期間でも成果をあげてくださっていますね。
飯室
なぜみなさん、そんな成果が出るのでしょう?
ごんさん
一番大切なのは、生活のなかでの英語学習の優先順位を上げてもらうことなんです。
飯室
優先順位をあげる?
ごんさん
英語学習が続かない理由はいくつかありますが、課題としてよく聞くのは「時間の確保が難しい」なんですよね。それはそうで、今の社会人はみなさん本当に忙しいです。
でも、だからこそ英語学習の優先順位を上げると決めないと、いつまでも英語が身につかずに月日だけが流れてしまうと思うんです。
飯室
ゴールが見えないままだらだらズルズルしてしまうのは、何においてもモチベーションが下がっちゃいますね。
ごんさん
そうなんです。英語を学ぼうというからには、やっぱり英語力を伸ばした先に目標や憧れの未来があると思うんです。英語学習の優先順位をあげるために、僕はその目標やゴールをクライアントさんと一緒に明確にすることから取り組んでいます。
たとえば、「留学したい」という方がいらしたら、「なぜ留学したいのか?」 「なぜ英語なのか?」 「留学した後自分はどんなふうに過ごしているのか?」などと深堀していきます。ご本人が「絶対にこの目標を達成したい」と実感するまで、繰り返し、繰り返し。
「本気で達成したい」とご本人の覚悟が決まることで、「じゃあその目標を達成するための最短の英語学習の道筋は僕が示すので、一緒にやっていきましょう!」と始まる感じですね。
飯室
自分で覚悟を持つところからがスタート! 英語力を得た後の「なりたい自分像」を認識するところから関わってくださるんですね。
「本気でやる!」となってからは、どのように3カ月を過ごすんですか?
ごんさん
はい。まずはじめにカウンセリングで大体の英語力を測るんですね。TOEICなら点数、英会話なら発話力や会話力を図ります。
たとえば英会話の場合は、1分間の英語の発話量がひとつの目安になります。もし留学がゴールだとしたら「現状はこれくらい、留学目指すなら1分間これくらいの発話量のレベルを目指さないといけないよ」と、ギャップを数字で表すんです。
勉強量に対してこれくらい伸びるというデータはすでにあるので、そこから逆算して「毎日勉強して、計○カ月あれば達成できます」と最初にお伝えしています。
飯室
英語学習もかなり数値化されているんですね...! テキストに沿って進める、みたいなイメージがあったので驚きました。かなり個々人に寄せたカリキュラム作成が必要そうですが、正直大変なのでは?
ごんさん
教員時代から僕の目標は「英語で人の可能性を広げる」こと。より多くの方に英語の魅力を届けたいとは思っていますが、英語力を本気で伸ばそうと思ったらマンツーマンが一番だなと思っているんです。
だからこそ、個々人に合わせたカリキュラムづくりは僕にとっては当然のことなんです。
なので基本的に、勉強はカリキュラムにそって毎日してくださいとお伝えしています。日々のやりとりはLINEで、基本的には土日も祝日も関係なくいつでも質問もお受けしています。
飯室
毎日!?
ごんさん
はい。英語学習は発音が大事なので、毎日発音を録音してもらって、添削してフィードバックしています。
また、面談を週に1度、固定の曜日時間でオンラインで行っていて、その内容も単語テスト、英会話なら英会話レクチャー、TOEICコースなら苦手問題の分析など、一人ひとり勉強の進捗状況によって変えています。
飯室
お話を聞いてると、24時間365日はたらくことになりません!? それって、いくら好きなことでもしんどくならないですか?
ごんさん
そうならないように、クライアントさんの数には上限を設けているんです。自分自身が疲弊しないラインを決めて、その範囲内でお受けするようにしていて。
そうしないと、自分自身のコミットメントが下がって、きちんとクライアントさんに価値提供できなくなってしまうのが嫌で。
飯室
そのラインは、どうやって知ったんですか?
ごんさん
英語コーチングの仕事を始めてから、少しずつキャパを増やしていきました。最初は3人でも頭がいっぱいになってしまったのですが、慣れたら少し増やして、という感じで。
「最初はもう、1人でもいっぱいいっぱいでしたよ」
飯室
(自分のキャパを正しく見積もるって大事...)
ごんさん
確かに完全オフの日というのはないのですが、9:00〜17:00の間で面談を組めるクライアントさんのみお受けしていることと、週2日は面談を入れない日を意識的につくることで、そこまで忙しいとは感じていないんですよ。
もちろん、多くは社会人のクライアントさんなので、平日夜や土日の稼働を増やした方が良いことはわかっています。だけど、僕は英語コーチングの仕事で英語の魅力を広めるのと同じように、家族との時間をしっかりと取りたいんです。なので、このルールは徹底しています。
飯室
営業時間をしっかりと決める、大事ですね...!
ごんさん
無理して疲弊してしまって、それこそこの仕事が嫌になって辞めてしまったら元も子もないですからね。
やりがい・収入・安定があっても、手に入れたかったもの
飯室
そもそも、なぜそこまで英語の魅力を伝えたい! って思うんですか?
ごんさん
教員になりたいというのは、中学生からの夢でした。学生時代応援団をやったり学年委員長をやったりするタイプで、人前に立って人を鼓舞して一緒に頑張る、みたいなことが好きだなと感じていたんですね。
そう思うと、教員はぴったりな仕事だなと。高校に入って英語の勉強が好きになり、英語教員になろうと決めました。ただ、めちゃくちゃ勉強したんですけど、修学旅行ではじめて英会話したときに、まったく喋れなかったんですよ(笑)。
「あんなに勉強したのにって感じで(笑)」
飯室
あらま!
ごんさん
センター試験でも6割取れなかったので、そのときは凹んでしまって(笑)。大学に入ったはいいものの、数年は別のことに夢中になり…大学3年生になってやっと「とはいえやっぱり英語教員になりたい」と思い立ち、少しでも話せるようになりたいという気持ちで行ったフィリピン留学で、人生が変わったんです。
飯室
人生が変わった!
ごんさん
それまで自分がしていた英語学習とは仕組みが違ったこと、それによってたった2カ月でも「話せるな」という実感が湧いたんです。
さらには、現地の人との交流を通じてあらためて英語の魅力に気づかされました。
だって、僕がフィリピンの方と話そうと思うとそもそも母国語が違うわけですよ。それが、英語という共通言語を使えばお互いに想いや文化を理解できて、尊重しあえて、「こんなにも心を通わせられるんだ! 英語、めっちゃすごい!」と思って。もはや世界平和のツールじゃん!とまで思いました。
飯室
英語が世界平和につながる!?
ごんさん
この素晴らしさをみんなに伝えたい、やっぱり高校教員になろうと。とはいえ、ちょっと話せるようになったくらいでしたし、海外経験も少ないとなると、つまらない先生になっちゃうなと。
いつか生徒に英語や世界の素晴らしさを伝えるために、まずは自分が世界を見にいこうと大学卒業後にカナダへ留学して、バックパッカーをしました。そして帰国後、高校教員になりました。
飯室
ついに高校教員になったんですね。
ごんさん
6年ほど働きましたが、めちゃくちゃ楽しかった! 生まれ変わっても絶対に教員をやりたい! ってくらい。
どうやったら生徒が授業を楽しんでくれるか、英語を好きになってくれるか。留学やバックパッカー時代の経験を生徒に共有しながら、世界の広さや英語の魅力を伝えられるのは何より超楽しかったです!
飯室
ますます、なぜ独立されたのかが気になってきました。公務員といえば、将来も安定もしていそうなイメージがありますし...。
「安定が、逆に怖かったんですよね」
ごんさん
そうですね。仕事へのやりがいは十分あったし、長期休みには海外旅行にも行けていました。
でも、公務員しか経験していないまま歳を重ねることが、急に不安になってしまったんです。
安定した仕組みのなかで生きていけたとしても、定年後にまたお金を稼がなきゃいけないとなったら、恐らく何かしら新しいことをする可能性がありますよね。世間一般のビジネスを知らないままで、そのときに良いはたらきができるのかな?と考えてしまって。
飯室
確かに...! 何がきっかけでそう思われたんですか?
ごんさん
Xで英語に関する情報発信を始めたことがきっかけでした。
最初はただ「英語の魅力を発信したい!」と始めたのですが、約1年でフォロワーが1万人になり、企業からPR案件の相談がくるようになったんです。
僕としては、「こういうお金の稼ぎ方があるんだ!」という発見でぜひ挑戦してみたいと思ったのですが、公務員は副業できないというルールがあったんですね。
守ってもらっている分、制限のなかでやりたいことをやっていくことは難しいなと実感して、でも新しい選択肢に挑戦したいなという気持ちが大きくなってしまったんです。結婚して息子が産まれたことで、夢も増えていましたしね。
飯室
夢が増えた?
ごんさん
「英語で人の可能性を広げたい」。そして、「大好きな奥さんと息子と一緒に、時間とお金に縛られず世界中を旅行したい」です。
これらの夢を叶えるために2023年3月、担任として初めて卒業生を見送ったタイミングで教員を卒業しました。
飯室
その後、フリーランスに?
ごんさん
いえ、実は一度民間企業に転職しているんです。子どもがまだ赤ちゃんだったので、まずは副業から始めようと思いました。ありがたくも年収が上がり、すごくはたらきやすい会社で。そこは副業OKだったので、まずは副業として英語コーチングを始めたんです。
飯室
めちゃくちゃ堅実ですね。
ごんさん
高校教師から独立というと「思い切った決断だね」と言われることも多いのですが、僕自身無謀なリスクは取っていないです。
そもそもXのフォロワーがいたからチャレンジできたことで、さらには副業から始めていますしね。
飯室
年収が上がり、はたらきやすい会社で、副業で英語コーチングもできて、とすれば安定もチャレンジも両立できている気がしますが、なぜそこから独立を?
ごんさん
当たり前のことですが、本業をやりながらの副業となると、就業時間の後、それこそ寝る時間を削ってはたらくことになります。大好きな家族との時間も減ってしまうし、僕自身のパフォーマンスが低ければクライアントさんにしっかり価値提供できなくなってしまう。
あれ、僕は何がしたかったんだ? と立ち止まったときに、ふたつの夢の優先順位を上げようと決めたんです。
この両方を叶えるなら、企業に所属していたら実現できない、自分ではたらくしかない。オンラインで完結できる仕事、かつ自分ではたらく時間を設定できるはたらき方しか選択肢がなかったんです。
夢のために、自己犠牲はしない
飯室
公務員、企業勤めを経ての独立、やりがいは変わりましたか?
ごんさん
前の仕事と今の仕事、やりがいはどちらもあるなと感じています。
教員のころは、僕の授業を生徒たちが目をキラキラさせて聞いてくれたり、笑ってくれたり、大勢に影響を与えられる楽しさがある一方で、全員の英語力を満遍なくは伸ばせないという葛藤がありました。生徒たちのやる気にも、個人差はありますしね。
一方英語コーチの仕事は、大勢には一気に届けられないけれど、英語学習へのやる気があるクライアントさんが多いので、こちらとしても本気でぶつかれる楽しさがありますね。
飯室
教える立場として、相手が成長していくということはすごくやりがいになりそうです。
ごんさん
まさにです。英語力を高めることによって、仕事で昇進したりお給料が上がったり、夢だった留学が叶えられたり。
英語をツールに人生を豊かにしていく人たちを間近で見られるのは、本当に嬉しいですね。
飯室
ごんさんにとって、「はたらく」ってどういうことですか?
ごんさん
はたらくこと、ですか。価値提供ですね。英語コーチという今の仕事で言うなら、クライアントさんの人生を変えることです。
飯室
人生を変える!
ごんさん
もちろん、お金を稼ぐことは大事です。それがなければ、このはたらき方を続けられないし、人の人生なんて変えられない。
だけど、人の人生を変えた結果でのお金なのかな、と今は考えています。
飯室
今日のお話を聞いていて、「本気になる」ためには自分がとらえている目標のもう一歩先をみる必要があるのかな、と感じました。はたらくこと、お金を稼ぐこと、その先。
ごんさん
最終的には「人にいい影響を与えたい」という夢にたどり着くんだと思います。
そのなかで、現状と理想のギャップを把握して、今優先すべきことは何か?を見ながら、はたらき方を決めている気がします。
飯室
クライアントさんにカリキュラムを組むときと同じ感じですね!
ごんさん
確かに(笑)! 今の人生のフェーズでいえば、家族の優先順位は高くて、妻と息子との時間を大切にしたいという想いがあるからこそのはたらき方な気がしています。
自分のなかの大切なことはきちんと守っていきたい。せっかく自分ではたらき方を選べたのですから。
飯室
なんというか、ずっと自分に矛先が向いている感じがしますね。クライアントさんのために一生懸命ではあるけれど、自己犠牲にならない。
ごんさん
言われてみると、そうかもしれないですね。それこそ、僕が疲弊してしまったらWell-beingが成り立たなくなるから。
僕の目標は、英語で人の人生を豊かにしていくこと。これからもコーチングの質をあげて、クライアントさんたちの人生を変えていきたいですね。
<取材・文=飯室 佐世子>
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