企業インタビュー
現代インスト界のオールスターが集結。観る者を虜にする「POLYPLUS」の魂のセッション
R25世代が知っておきたい“生きた音楽”
新R25編集部
結成10周年を迎え、3枚目のフルアルバム『COSMIC』を2024年9月4日に発売する4人組インストゥルメンタルバンド・POLYPLUS(ポリプラス)を知ってますか?
“インスト界のオールスター”という異名を持ち、一度聴いたら“沼る”人が続出中だそう。
今回はバンドリーダーのTSUUJII(つーじー)こと辻本美博さんに、バンドの結成秘話と大切にしていることを伺いながら、POLYPLUSの魅力を深掘りしていきます。「まだ知らない」という方は要チェックです…!
〈聞き手=古川裕子(新R25編集部)〉
結成10周年。「ボーカルがない」からこそ大切にすること
TSUUJIIさん
POLYPLUSのリーダー・TSUUJIIと言います。クラリネット&サックス奏者として幅広く音楽活動をしています。
POLYPLUSは、メンバー各々がそれぞれのバンドで活動しつつ、「フロアを躍らせるセッションを」を合言葉に、2014年9月に始動した4人組バンド。ありがたいことに、今年で10周年を迎えました。
インスト界のオールスターが集結する“知る人ぞ知る”実力派バンド
POLYPLUSのプロフィール
Sax/TSUUJII (from Calmera)
POLYPLUSのリーダー。クラリネット&アルトサックスの二刀流で活躍の場を広げている。
『Dr. コトー診療所』 (参加)、『コンフィデンスマンJP』(参加)、「サッポロビール SORACHI1984」(担当) 等、映画・ドラマ・CM の音楽に多数参加・担当。
Ba/YUKI (from JABBERLOOP)
20周年を迎えるクラブジャズバンドJABBERLOOPのベーシスト。その他ADAM at、DJ OKAWARI等のサポート、中山美穂さんのバンドマスターとしても活躍中。
Key/MELTEN (from JABBERLOOP, fox capture plan)
JABBERLOOPのキーボーディスト。人気ドラマの楽曲提供も行うピアノトリオバンド fox capture planのリーダーでもある。
2023 年紅白歌合戦のグランドオープニングの音楽担当・出演。人気ドラマ・映画『コンフィデンスマンJP』音楽担当。
Gt/Gotti (from Neighbors Complain)
R&Bバンド Neighbors Complainのリーダー。プレイングマネージャーとして合同会社も経営している。
Neighbors Complain は、佐藤竹善さんからの指名や、SUZUKI「エスクード」のCMソング起用も。
古川
POLYPLUSのサウンドをひと言で言うと、どんな感じなんでしょう?
TSUUJIIさん
僕たちはその場の空気と、そこに集う人たちのテンションに合わせて自由に音を紡いでいく“セッション”を大切にしていて。
クールな要素もありつつ、ハイテンションな要素もあり、ジャンルやカテゴリを飛び越えたダンサブルなサウンドを展開しています。
2024年9月4日発売の新アルバムより。UR最大のヒット曲にしてテクノの枠を超えた歴史的名曲、GALAXY 2 GALAXY名義の「HI-TECH JAZZ」のカバーだそう
古川
思わずノってしまいます! インストなのにまるで歌が聴こえてくるような…
TSUUJIIさん
インストバンドって、歌詞やボーカルがないんですよね。だからこそ、聴く人それぞれの”自由な感じ方”で音にノってもらえたらうれしいですね。
ジャズ×クラブ×ダンス、垣根なき融合サウンドの“化学反応”
古川
TSUUJIIさんは、もともと「Calmera」というバンドで活動されていましたよね。以前、カンニング竹山さんとのコラボ動画を拝見したことがあります。
TSUUJIIさん
ありましたね。竹山さんとの限定ユニットで、2021年、左とん平さんの名曲『ヘイ・ユウ・ブルース』をカバーしたことが。
古川
竹山さんのボーカルはもちろんですが、TSUUJIIさんの体全体で奏でるサックスの迫力に心が揺さぶられました。
古川
そんな超絶技巧のTSUUJIIさんですが…
POLYPLUSを結成したきっかけって何だったんですか?
TSUUJIIさん
もともとは僕とロックバンド・175R(イナゴライダー)のYOSHIAKIさんの出会いが発端で。
YOSHIAKIさんと初めて会った日に、渋谷で路上ライブをやっていた知り合いのバンドに一緒に飛び入りしたんです。それがめちゃくちゃ楽しくて。「この人とだったら何か面白いことができるんじゃないか」と。
古川
ビビッときたんですね。
TSUUJIIさん
そうなんです。それがきっかけで、面白いことをするバンドをつくりたいと思って、僕が最高だと思う人に1人ずつ声をかけて。
YOSHIAKIさんは体調面の事情により、2019年に脱退されています
TSUUJIIさん
メンバーはそれぞれ別のメインバンドに所属していて、各バンドごとにカラーや役割があります。
でもPOLYPLUSでは、「ノータブーでやりたいことをやれる!」がひとつのテーマ。このバンドだからこそ弾けられる解放感が魅力と言えるかもしれません。
古川
メインバンドではできない“遊び方”をされてるってことですかね?
TSUUJIIさん
そういう部分は大きいかもしれません。さまざまな音楽性が背景にあるメンバーがひとつになって、“ノータブーの精神”でやっているからこそ、化学反応を起こせると思ってるんです。
古川
そのなかで、「こうでありたい」という理想のイメージはあるんでしょうか?
TSUUJIIさん
セッション性を大切にしつつ、ライブ好き、クラブ好き、ダンス好きな人たちも盛り上がれる“バンドサウンド”でありたいとは思っていますね。
古川
そういえば、合言葉は「フロアを踊らせる」でしたもんね。
フロアが踊ってるの…伝わってきませんか
転機はドラマ音楽。目標は4年後の武道館
古川
活動10年ってかなり長いですが…そのなかで転機ってあったんでしょうか?
TSUUJIIさん
2回あって。最初の転機は2018年4月に『release』をリリースしたときです。発売日にはタワーレコードジャズランキング第1位、総合ランキング第3位にランクインするなど、うれしい評価をいただけました。
リードトラック「limiter」。純粋にカッコいい…
古川
結成して4年経ってからのリリースだったんですね。
TSUUJIIさん
あくまでも、メインバンドがあってのサブ活動だったので(笑)。その年からライブ活動も本格始動して、9月にはデビューアルバム『debut』を発売したんです。
TSUUJIIさん
そして2回めの転機は、ドラマ音楽を担当したときですね。
2022年に、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『クロステイル~探偵教室~』の音楽を担当しました。さらにこの年はカンテレ・BSフジ『コンビニ★ヒーローズ~あなたのSOS、いただきました!!~』の劇中音楽もやらせていただいて。
古川
“自由”なスタイルのPOLYPLUSにとって、ドラマ音楽は挑戦だったのでは…?
TSUUJIIさん
そうですね。でもそこで実感できたのが、ドラマの世界観という枠組みがあっても、4人が集まれば必然的にPOLYPLUSの音になるということ。それを証明できた貴重な経験でした。
古川
どんな楽曲であってもPOLYPLUSの音に…無限大の可能性を感じます。
TSUUJIIさん
それぞれが、それぞれの「音」を持っているので。
このドラマの音楽をつくる経験をしたことで、よりグループの可能性が広がりました。
で、その勢いで「日本武道館でライブをする」と宣言しちゃったんですよ。今のところ、2028年を目標にしています。
武道館を満員のファンで埋め尽くすのも、時間の問題かもしれません
一度聴いたら虜になる、“変幻自在”な魅力の源泉
古川
ほかにはどんな活動をされてるんでしょう?
TSUUJIIさん
昨年はゲッターズ飯田さんのサントラ*も担当させていただいて。トークライブにもお邪魔したんですよ。
*累計1,000万部突破の書籍『ゲッターズ飯田の五星三心占い2024(朝日新聞出版)』のテーマ楽曲をPOLYPLUSが担当
古川
かなりビッグなコラボですね!
TSUUJIIさん
疾走感と爆発力が魅力の「showtime」や、甘いソプラノサックスと情熱的なギターが交わる「magnolia」、80年代音楽のような「liberation」など個性豊かな6曲。開運サウンドトラックというお墨付きです(笑)。
古川
正直インストって、「なんか爽やかで耳心地よくて、BGMにちょうどいい音楽でしょ?」みたいなイメージがあったのですが…POLYPLUSはその型にはまらない印象です。
TSUUJIIさん
「あっちも好き、こっちも好き!」はできない、“偏愛”型なんですよね。「僕たちはこれ!こんな音をつくりたい!」というか。やっぱり熱量やこだわりって大事だと思ってるので。
古川
だからなのか…体全体から湧き上がってくるエネルギーが伝わってきます。
TSUUJIIさん
エネルギー、と言っていただきましたが…セッションはステージ上のメンバーだけでは完成しません。
会場に集まってくれる方たちがいて、その熱気のやり取りがあって初めて成立するもの…ということを、ライブをやる度に痛感しています。
古川
いつもどんな心構えでライブに臨んでるんですか?
TSUUJIIさん
ライブは“生き物”です。一回一回が最初で最後なので、毎回“神回”を出さないといけないという気持ちで臨むんですが…
これまですべてのライブが「神回」だと自信をもって言えますね。
そんな時間、空間を共有したお客さんは、POLYPLUSにとってみんなファミリー。よかったら皆さんも、ぜひ僕たちのファミリーになってください!
クラブ音楽のようで、ときにはロックのようでもあるPOLYPLUSの音楽。パワフルだと思ったら突然甘い表情になったりと、まさに変幻自在です。
彼らの奏でる音に触れればエネルギーをもらえるはず。気になった方はもちろん、「普段インストは聴かない」という方も、一度“生きた音楽”の極地へ足を踏み入れてみてください。
〈執筆=吉河未布/編集=古川裕子〉
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