ビジネスパーソンインタビュー
初心者向けの“完全マニュアル”
転職エージェントとは? 仕組みや転職サイトとの違いをプロたちが伝授
新R25編集部
目次
- 転職エージェントの仕組みは? 無料で使える理由は?
- 転職エージェントと転職サイトの違いとは?
- 転職エージェントを利用するメリットとは?
- メリット①:転職活動の相談に乗ってくれる
- メリット②:内定獲得のためのノウハウを教えてもらえる
- メリット③:面倒なことをアドバイザーに一任できる
- メリット④:非公開求人を紹介してもらえる
- メリット⑤:自分の市場価値を把握し、キャリアプランを整理できる
- 転職エージェントの利用方法
- STEP1:転職エージェントに登録する
- STEP2:面談でキャリア相談や求人案件を紹介してもらう
- STEP3:選考の準備をサポートしてもらう
- STEP4:内定後は給与交渉や退職のサポートをしてもらう
- 転職エージェントを利用する際の注意点(デメリット)
- デメリット①:「転職ありき」で話を進められるかも
- デメリット②:希望とかけ離れた求人案件を提案されるかも
- デメリット③:内定受諾を急かされるかも
- プロがおすすめする“転職エージェントの選び方”
- 1128人が評価した“おすすめの転職エージェント”
- 精通者たちの詳細プロフィール
【知りたい情報はなんですか?】
①転職エージェントとは?どんな仕組み?
②転職エージェントと転職サイトの違い
③転職エージェントが無料の理由
④転職エージェントのメリット/デメリット
⑤転職エージェントの利用方法
⑥おすすめ転職エージェント
⑦転職エージェントに関するQA
※クリックで該当箇所に飛びます
転職エージェントとは、専属のアドバイザーがつき、マンツーマンで転職支援を受けられるサービスです。
わからないことだらけの転職活動において心強い存在…とは聞くものの、「どんな仕組みなの?」「転職サイトとの違いは?」「デメリットはないの?」など、不安はつきませんよね。
そこで新R25では、転職エージェントに精通した専門家2名に取材を敢行。転職エージェントにまつわるギモンを徹底的にぶつけてみました!
今回ご協力いただいたのはこちらの2名です。
※詳細プロフィールは記事の下部に記載しています。
〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉
転職エージェントの仕組みは? 無料で使える理由は?
石川
転職エージェントとはどんなサービスなんでしょうか?
松本さん
ざっくり言うと、無料でアドバイザーがキャリアの相談に乗ってくれるサービスです。
相性のいい求人案件を提案してくれるのに加えて、過去の実績などをもとに選考のサポートもしてくれます。
石川
アドバイザーが付くなら人件費がかさみそうですが…どうして無料で使えるんでしょうか?
松本さん
その理由は転職エージェントの仕組みにあります。
転職エージェントは、1人の採用が確定した時点ではじめて報酬が発生する「成果報酬型」。採用した人の年収の3〜4割を、企業が“紹介手数料”として転職エージェントに支払う仕組みです。
石川
年収の3〜4割となると、結構な金額になりますよね。
松本さん
はい。1人の転職が決まるたびに企業からまとまった報酬が転職エージェントに入るので、求職者は無料で使えるというわけです。
転職エージェントと転職サイトの違いとは?
石川
転職に役立つサービスというと、ほかにも「転職サイト」がありますよね。転職エージェントとはどう違うんですか?
松本さん
転職サイトは、さまざま企業の求人案件が集まっているサイトです。
気になる求人案件を自分で探してスピーディに直接応募できるのがメリットですが、選考対策などは自分でしなければなりません。
なので転職エージェントとの一番の違いは「サポートをしてくれる仲介者の有無」ですね。
転職活動は慣れていないと自分ひとりで進めるのは難しいので、転職エージェントのアドバイザーに相談したほうがスムーズに転職できるかもしれません。
転職サイト | 転職エージェント | |
---|---|---|
求人数 | 転職エージェントと比べると多い | 転職サイトに比べると少ないが、 非公開求人がある |
理想の求人との 出会いやすさ | 自分で探す手間がかかる | アドバイザーが相性のいい 求人案件を提案してくれるので 出会いやすい |
選考の サポート | サイト上の説明を見ながら 自分で進めないといけない | 職務経歴書の書き方や 面接対策などを アドバイスしてくれる |
年収交渉 | 自分でやらないといけない | アドバイザーが代行してくれる |
退職 サポート | 自分でやらないと いけないケースが大半 | アドバイザーがサポート してくれるケースもある |
転職サイトと転職エージェントの違いって?業界のプロに聞いたそれぞれの特徴と活用法|新R25転職
ぶっちゃけ、どっちが有利なの?
転職エージェントと転職サイトでは、ビジネスモデルも異なります。詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
転職エージェントを利用するメリットとは?
メリット①:転職活動の相談に乗ってくれる
小林さん
最初のメリットは、アドバイザーが無料で転職相談に乗ってくれること。
アドバイザーは、企業の担当者と綿密に連絡を取っています。なので、求人案件を紹介されるだけでなく、その企業のリアルな社風や中途採用者の活躍度合いなども教えてもらえます。
石川
なるほど。転職サイト経由では、募集要項に書いてある情報しかわからないですもんね。
小林さん
はい。事前に企業のリアルな情報を知っておくことで、転職にありがちな「入社後のミスマッチ」を防げます。
また、アドバイザーと「キャリアの棚卸し」を一緒にしていくことで、自分では気づかなかった新たな可能性を見出してもらえるかもしれません。
たとえば自分では「営業しかできない」と思い込んでいても、過去の実績から営業以外のスキルが見出してもらえることもあるでしょう。
アドバイザーと一緒に過去の経歴を整理することで、業種・職種の選択肢が広がっていきます。
メリット②:内定獲得のためのノウハウを教えてもらえる
松本さん
提出した職務経歴書や履歴書を添削してもらえたり、面接での好ましい受け答えを教えてもらえたりと、基本的な転職ノウハウを教えてもらえるのもメリットのひとつ。
プロのサポートを受けながら準備できるので、右も左も分からないまま応募するよりも選考に通過する可能性が高まります。はじめての転職活動の場合は特に心強いでしょう。
メリット③:面倒なことをアドバイザーに一任できる
松本さん
面接日程の調整や、内定後の年収交渉、入社前の手続きなど、面倒なことを一手に引き受けてくれるのもポイント。
在職中で転職活動に割く時間がない方、急いで転職を決めたい方にとっては大きなメリットです。現在勤めている職場の退職手続きなど、まわりには聞きづらいことも相談できますよ。
メリット④:非公開求人を紹介してもらえる
小林さん
企業の採用サイトや転職サイトには公開されていない「非公開求人」を紹介してもらえるのもメリットです。
石川
どうしてわざわざ非公開にされているんですか?
小林さん
たとえば、公にしていない極秘プロジェクトの人員募集などは、なるべく外部に情報が漏れないように非公開にされています。
また、応募が殺到しがちな人気企業の求人案件や、専門的なスキルを持った人だけを集めたい求人案件なども、企業側の選考の手間を省くために非公開にされることが多いですね。
いずれにせよやりがいのある求人案件なことが多いので、アドバイザーに聞いてみるといいでしょう。
メリット⑤:自分の市場価値を把握し、キャリアプランを整理できる
松本さん
はじめて転職する方や20代の若手の場合、そもそも転職市場における自分の価値がわからないことが多いと思います。
アドバイザーにどんな求人案件を紹介されるのかを知ることで、おのずと市場価値が把握できるのも、転職エージェントを利用するメリットですよ。
石川
自分の強みや需要を、客観的に見られるんですね。
松本さん
はい。転職エージェントを使えば、アドバイザーに悩みや希望を聞いてもらいながら「自分が今後どうなりたいのか」「そのためにどんな転職をすればいいのか」を整理できるでしょう。
業界のプロに聞いた、転職エージェントのメリット&デメリット。“使えない”って噂はホント…?|新R25
転職サイトとどちらが有利?
転職エージェントのメリット&デメリットについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
転職エージェントの利用方法
小林さん
転職エージェントに登録してからは、以下のような流れで転職活動が進みます。
STEP1:転職エージェントに登録する
小林さん
それぞれの公式ページから登録します。たとえばリクルートは「リクルートエージェント」という転職エージェントのほかに、「リクナビNEXT」という転職サイトも運営しています。
このように同じ運営会社が似たようなサービスを提供している場合があるので、間違えないよう気をつけましょう。
・マイナビエージェントの公式サイトはこちら
・リクルートエージェントの公式サイトはこちら
・パソナキャリアの公式サイトはこちら
小林さん
登録してから数日以内にメールや電話で連絡がきます。ざっくりと転職に関する要望を伝えてから、詳しい話をするために面談の日程調整をします。
場合によっては電話で対応してもらうことも可能です。
STEP2:面談でキャリア相談や求人案件を紹介してもらう
小林さん
アドバイザーとの面談は転職希望者と企業の要望をすり合わせる場です。ヘンに気を遣わず、率直に要望を伝えましょう。
事前のヒアリングもふまえて、合いそうな求人案件を紹介してもらえます。
「リクルートエージェント」など、網羅的に求人案件を抱えている“総合型”の場合は、いろんな可能性を提示するために数十件単位。
特定の業界・職種に強い“特化型”の場合は、厳選して数件の提案となることが多いです。
もちろん、その場ですぐに応募する必要はありません。家に帰ってからじっくり吟味しましょう。
STEP3:選考の準備をサポートしてもらう
小林さん
志望する企業が決まったら、選考に向けた準備をします。
転職エージェントは転職者の年収の一部を報酬として企業から受け取るビジネスです。
なので、求職者をなるべく高い年収で入社させられるよう、できるだけ魅力的に見せるサポートをしてくれます。遠慮せずに頼りましょう。
また、直接の応募と違って、転職エージェント経由だとアドバイザーが企業への推薦文を添えてくれます。
表面的なスペックにとどまらない魅力をアピールしてくれるので、書類選考の通過率は高くなる傾向にあります。
石川
無事書類選考を通過したあとも、アドバイザーがサポートしてくれるんでしょうか?
小林さん
はい。面接対策を手伝ってくれるほか、サービスによっては模擬面接をしてくれることもあります。
面接の前に、アドバイザーから過去の選考情報を仕入れるといいですね。企業との信頼関係が築けているアドバイザーなら、面接官の人柄や好かれる受け答えなどの“裏事情”まで教えてくれます。
どんな面接官が面接に出てくるのか、どんなことを聞かれるのかを事前に知っておけば、本番で焦らずにすむでしょう。
STEP4:内定後は給与交渉や退職のサポートをしてもらう
小林さん
転職エージェントのサポートは、内定が出たら終わりではありません。特に給与交渉の強い味方になってくれます。
入社予定の企業の給与テーブル(年齢や能力に対応する給与の幅)をもとに、実現可能な範囲で高い年収がもらえるように交渉してくれます。
希望すれば、退職についてのサポートも受けられます。上司に引き止められたらどうすればいいのか、退職手続きを進めてもらえない場合の対処法など、状況に応じたアドバイスがもらえるでしょう。
転職エージェントを利用する際の注意点(デメリット)
デメリット①:「転職ありき」で話を進められるかも
松本さん
求職者を転職させることで成り立つビジネスなので当然ですが、単なるキャリア相談のつもりが「転職ありき」で話が進むことをデメリットに感じる方はいるかもしれません。
実際、たくさんの求人票を見せてきて、応募を促してくるアドバイザーがいるのは事実です。
石川
ということは、すぐに転職する気がない場合は登録しないほうがいいんですか…?
松本さん
いえ、そんなことはありません。先ほど解説した「非公開求人」も含め、転職エージェントはたくさんの求人案件を持っているので、データベースとして積極的に活用すべきです。
小林さん
すぐ転職する予定がないと相手にされない場合もありますが、それは一部のアドバイザーに限った話です。まともなアドバイザーほど、転職意向度の低い方もちゃんと相手にしてくれますよ。
もし冷たい対応を受けた場合は、使うエージェントを変えてしまいましょう。どうしてもそのエージェントとやりとりをしたければ、担当アドバイザーを変えてもらうという手もあります。
デメリット②:希望とかけ離れた求人案件を提案されるかも
小林さん
転職に関する意志が固まっていない方が転職エージェントを利用する際は注意が必要です。
たとえば事務職を希望しているのに「一度は営業も経験したほうがいいですよ」などと、希望とはまったく違う求人案件を紹介されることがあります。
そういった異業種・他職種への転職がいいほうに転ぶこともあるので難しいところですが、提案がしっくりこないときには断る意志が必要です。
石川
希望と異なる求人案件を断るべきか、判断する基準はありますか?
小林さん
「なぜこの求人案件をおすすめしてくれたんですか?」と、担当アドバイザーに聞いて判断しましょう。
返ってきた答えが論理的でなく納得できないようなら、単に押し込みやすい求人先を紹介されている可能性が高いので、断ってもいいでしょう。
また、断る際には「なぜその求人案件が気に入らないのか」をはっきり伝えることも大切です。そうやってアドバイザーとコミュニケーションを取っていけば、提案の質も徐々に上がってくるはずですよ。
デメリット③:内定受諾を急かされるかも
松本さん
言ってしまえば、転職エージェントのビジネスは「いかに多くの人を転職させるか」にかかっています。
なので、1社から内定が出た途端にほかの企業を紹介してくれなくなったり、「2週間で返事をしないと企業側に迷惑がかかる」などと内定受諾を急かされたりする可能性は否めません。
石川
もし気乗りしない場合は、内定を辞退してもいいんですか?
小林さん
もちろんです。無理に承諾して短期離職してしまうと、自分の職歴に傷がついてしまうリスクもあります。もし気乗りしない場合や、ほかに気になる企業がある場合ははっきり断りましょう。
そして、内定獲得後も転職活動を続けられるように、あらかじめ複数の転職エージェントに登録しておくといいですね。
プロがおすすめする“転職エージェントの選び方”
石川
ここまで仕組みがわかれば、あとは登録するのみ…ですが、転職エージェントってとにかくたくさんありますよね。どうやって選べばいいんですか?
松本さん
そもそも転職エージェントは、登録前の段階ではそれほど絞り込まないことをおすすめします。
石川
えっ…なぜですか?
松本さん
まず1つの理由は、お話しした通り無料で使えるサービスだからです。もちろん途中で退会してもお金はかからないので、とりあえず登録してみてから考えても遅くはありません。
さらに、担当アドバイザーが転職の成否を分けるので、複数のサービスに登録してから厳選するのをおすすめしています。
特に大手の場合は抱えている求人案件が似ているので、どれもそれほど大きく変わりません。登録前にスペックをあれこれ比較して悩むのは、あまり意味がないと思いますよ。
石川
なるほど。とりあえずいくつか登録して、担当してくれるアドバイザーとの相性などを見るといいってことですね。
具体的には、どれぐらい登録すればいいんでしょう?
松本さん
網羅的に求人案件を抱えている“総合型”と呼ばれている転職エージェントを2〜3個ほど。
さらに転職の希望が明確なら、特定の業界・職種に特化している“特化型”の転職エージェントも1〜3個併用するのがおすすめです。
石川
でも多すぎると、やり取りが大変じゃないですか?
松本さん
今の話はあくまで登録までの話です。アドバイザーと会ってみて相性などを確認してから、最終的に2人ぐらいに厳選すれば大丈夫ですよ。
アドバイザーの選び方については別の記事でお話ししていますので、合わせてご覧ください。
転職エージェントは複数登録すべき?何社使うのがベスト? プロに聞いた“選び方の正解”とは|新R25転職
「複数使ってます」と伝えたら嫌がられるの…?
こちらの記事では転職エージェントの選び方について詳しく解説してします。
転職エージェントで失敗しないアドバイザーの選び方。登録前に比較するのはムダ!?|新R25転職
相性のいいアドバイザー出会う5つの方法
こちらの記事では、転職の失敗を防ぐためのアドバイザーの選び方を解説しています。
実際に複数の転職エージェントを利用したことがある方に、アンケートをとりました。(サンプル数:807人)
1128人が評価した“おすすめの転職エージェント”
新R25転職は、転職サービスの実態に精通した専門家にご協力いただき、実際に利用したことのある約1000人を対象におすすめの転職エージェントについて調査しました。
この記事では、新R25キャリア総研の調査結果や過去におこなった専門家への取材をふまえて、特におすすめできる転職エージェントのみをご紹介します。
これ以外にも、詳細な評判やほかのおすすめサービスが知りたい方は、ぜひ下記のリンク先の記事もご覧ください。
Embedly〈取材・文=石川みく(@newfang298)〉
精通者たちの詳細プロフィール
【松本利明(まつもと・としあき)】人事・戦略コンサルタント。大手外資系コンサルティングファームに24年勤務しプリンシパル(部長級)を経験。人材マネジメントの支援をした企業は600社以上。HR総研の客員研究員も務めている。著書に5万人のリストラと6500名以上のリーダーの選抜と育成をした人の「目利き」。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)『稼げる人稼げない人の習慣』(日経新聞出版)などベストセラー多数。BBC、TBS、日本経済新聞、東洋経済などメディア実績多数
【松本さんの関連リンク集】
・松本利明@人事・戦略コンサルタント(累計15万部)|Twitter
【小林毅(こばやし・たけし)】人材コンサルタント。外資系ヘッドハント会社を経て、2010年にホライズン・コンサルティング株式会社を設立。法務系人材を中心に約11年、延べ4400人の相談、サポートをおこない、日系大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援にも従事。2013年より厚労省認定「職業紹介責任者講習」講師として、人材紹介事業者に対する法定講習を延べ2000社に対しおこない、不健全と言われる人材業界全体のボトムアップに尽力している。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)、『成功する転職「5%」の法則』(自由国民社)がある
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