企業インタビュー

保育・子育て経験を「ありがとう」に変える。起業家・経沢香保子が手がける「キッズライン」で働く魅力

保育・子育て経験を「ありがとう」に変える。起業家・経沢香保子が手がける「キッズライン」で働く魅力

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新R25編集部

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ベビーシッターや家事代行サービスと聞いて、「めちゃくちゃお金持ちが利用するサービス」とか、「海外の映画ではよく見るけど、日本は別だし…」と思っているあなた。

共働きの家庭が増えてきた昨今、ベビーシッターや家事代行のニーズは増える一方。いまや多くの一般家庭でも広く利用されているんです。

日本人の概念を変えたパイオニアこそ、株式会社キッズライン代表取締役社長・経沢香保子さん

同社が展開するベビーシッター&家事代行サービス「キッズライン」の利用者は年々増え続けるとともに、サポーターとして活躍する人も激増しているそうで…

経沢さんに、サービスへの想いや、「キッズラインのサポーターとして働く魅力」をうかがいました。

〈聞き手=鳥山可南子(新R25編集部)〉

「ベビーシッターをもっと気軽に…」キッズライン誕生の原点

経沢さん

「キッズライン」は株式会社キッズラインが運営する、全国24時間スマホで呼べるベビーシッター&家事代行サービスです。

経沢さん

2024年で、会社設立から10周年。「日本にベビーシッターの文化を」「家事代行をあたりまえに」をスローガンに、累計依頼件数は200万件を突破。

現在、全国47都道府県で4,000名以上の“キッズラインサポーター”が活躍しています。

鳥山

すごい需要の数!

じつは私も大変お世話になったひとりです。最初はいわゆる“古い日本人”的な考えから「預けていいのかな…」という葛藤もありましたが、使ってみたらすごく助けられて…働き方の選択肢が広がりました!

経沢さん

お子さんのいる家庭の皆さんに、“困ったときはまわりに助けを求めていい”と伝えたいですね。 

「キッズライン」は、サポーターさんを地域やユーザーレビュー、価格などで自由に選べるようになっていますし、家事代行サービスもあるので、子育て中の方から、1人暮らしの方、ご多忙な方など、さまざまな方に活用してもらえればと思っています。

鳥山

経沢さんは、そもそもなぜこういったサービスを始めようと思ったんですか?

経沢さん

私は2000年、26歳のときに起業して、31歳で初めての子を授かったのですが、幼くして亡くなってしまい…

翌年2人目、35歳で3人目を産んだのですが、仕事と育児の両立がすっごく大変だったんです。

鳥山

…聞くだけで大変そうです。

経沢さん

もちろん、ひとりでは絶対無理で、頼ったのはベビーシッターさんだったんですが…

当時のベビーシッターさんって超高額で、富裕層向けの内容だったんです。入会金10万円に、謎の月会費とかもあり…

私は経営者の道をとったので、生活は赤字でもいいと覚悟したものの、ベビーシッター代だけで月100万円近く使うこともあって。

鳥山

月100万円!?

経沢さん

そんなの、使い続けるのは無理じゃないですか。何度か人選にも失敗したし(笑)。

鳥山

合わない人に高いお金を払うのは、イヤですね…

経沢さん

それで、自分でネットの掲示板で募集してみたら、たくさんの応募があったんです。

履歴書や経歴書を持ってきてもらって面接して、“お試し保育”をしていただいて、最低時給は1,000円からでシフトを組んで…

というやり方にしたら、費用は抑えられるようになったんですけど、それはそれで今度は手間と労力がかかり…

鳥山

イチから人選するのは、神経も使いそう…

経沢さん

そうなんです。

ベビーシッターさんをもっと誰でも気軽に探せるようなプラットフォームがあればいいのに…と考えたのが、「キッズライン」の原点です。

鳥山

ベビーシッターや家事代行って、海外では当たり前な印象がありますが、当時の日本ではなかなか…ですよね。

経沢さん

社会全体が、育児や家事は家で女性がやるもの、という固定概念が強かったこともあると思います。

実際「キッズライン」を始めた当時は、女性が出産を機に7割も辞めてしまうような時代でしたから。

鳥山

では「キッズライン」は、リリース当初から好調だったんですか?

経沢さん

それが、当初は苦難続きでしたね。私としては画期的だったんですけど…

でも2015年に、あるビジネスプランコンテスト*で、男性経営者たちに向けてプレゼンをしたら優勝して。

それから一気に注目していただけて、いま…という感じです。

*スタートアップのプレゼン大会「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(IVS)2015 Spring Launch Pad」

ベビーシッターだけじゃない! 家事代行の需要が急増中

鳥山

キッズラインサポーターには、どういった方が登録しているんですか? 資格や経験などの条件を教えてください。

経沢さん

まず、サポーターになるためには選考があります。

ベビーシッターの場合は、保育士など特定の資格証または研修修了証のご用意が必須となります。

ベビーシッター登録に必要な資格証・研修修了証*

【資格証】

・保育士(旧姓・保母資格不可)

・看護師(旧姓不可)

・准看護師(旧姓不可)

・全国保育サービス協会(ACSA)認定ベビーシッター

【研修修了証】

・子育て支援員研修(地域保育コース)

・家庭的保育者等研修

・全国保育サービス協会(ACSA)ベビーシッター養成研修+現任研修

・全国保育サービス協会(ACSA)居宅訪問型基礎研修

*資格証・修了証は、卒業証書や合格通知不可。また原本が必要です。
*研修修了証は旧姓のままで問題ございません。 但し本人の研修修了証であることが確認できるよう、新旧姓併記の本人確認書類が必要です。
* ベビーシッターについては現在男性のご登録受付は停止、再開時期は未定です。再開の際にはHPで告知致します。

経沢さん

家事代行サポーターは、資格の有無は問いません。管理栄養士や整理収納アドバイザーなどの資格保有者のほか、子育て経験や主婦歴の長い方など、さまざまな方が登録しています。

ベビーシッターになるための資格取得に時間を要する場合、家事代行サポーターとして先に活動しながら取得を目指し、資格取得後にベビーシッター登録を行うこともできます。

家事代行の主なサービス内容

・家庭料理

・作り置き(数日分のお食事を準備する)

・掃除(水回り、掃除機がけなど)

・片付け、整理整頓

・洗濯

経沢さん

じつは、ベビーシッターのサポート先から「家事もサポートしてほしい」という希望が年々増加しているんです。

鳥山

たしかに、子育てしていると手が回らない家事ってあります。

それに「家事をする時間さえなければ、もっと我が子と触れ合えるのに」というジレンマに悩むときも…

経沢さん

ですよね?

ベビーシッターと家事代行、両方に登録しているサポーターさんには、ユーザーさんの要望に合わせて、それぞれ提供していただくことができます。

同時にはお受けできませんが、「今日はベビーシッター、次回は家事代行」と、日時を変えて同じサポーターに依頼することも可能です。

「慣れている方に来てほしい」という声は結構多いので、両方に登録されているサポーターさんへのニーズは高いんですよ。

経沢さん

ユーザーさんには、サポーターさんの資格や保育歴、サポート歴、他のユーザーのレビューのほか、自己紹介文、お住まいの駅、受け入れ条件などが表示されます。

サポーターさんは、サポート可能な日にちや時間を登録しておけば、お願いしたいユーザーさんから「予約リクエスト」が届くので、詳細をキッズライン上でやり取りしていただき、条件が合えばお仕事が決まる、というシステムです。

鳥山

ユーザー側から見ても、安心して「この人にお願いしたい!」という方を見つけやすいのはいいですね。

「キッズライン」サポーターとして働く魅力、メリットは?

鳥山

それにしても、登録サポーターが全国約4,000人って、すごい数ですよね。

経沢さん

『令和5年厚生労働白書』(厚生労働省)によれば、たとえば2014年の共働き割合は1,077万世帯と全体の約60%でしたが、2022年には1,262万世帯と70%を占めるまでに増えています。

共働き世帯が増え続けるなかで、ベビーシッターや家事代行のニーズは年々高まっているんです。

出典:『令和5年版 厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会-』より

経沢さん

つまり、それだけサポートを必要としている方が都市部だけでなく、全国的に増えているということです。

じつは47都道府県にベビーシッターさんがいるのはキッズラインだけ。家事サポーターさんもほぼ全国にいらっしゃいます。サポーターに登録すれば、全国どこでも好きな時間に働くことができます。

共働き世帯の増加に対応すべく、国や地方自治体からの補助金・助成金、企業の福利厚生サービスも充実しているので、需要はますます伸びているんですよ。

鳥山

サポーターとして働く魅力はなんですか?

経沢さん

サポーターになるメリットは4つあります。

1つめは、やはりライフスタイルに合わせた働き方ができること。2つめは、得意なことや好きなことを活かして仕事にできることですね。

鳥山

得意なことや好きなこと。どんなレベルでもいいのかな…

経沢さん

たとえば野球が好きな子のシッティングをした場合でも、「一緒に思いっきり練習したい!」という子もいれば、「軽くキャッチボールができたらうれしい」子もいるはず。

ニーズがマッチすれば、それも個々のサポーターの魅力になります。

鳥山

たしかに! そう考えると、どんなことでも自分が活かせるものがありそうです。

経沢さん

3つめは、自分の時給を自分で決められることです。

鳥山

納得のいく価格でしか仕事を受けない、という。

経沢さん

そういうことです。

本業の傍らスキマ時間に副業として、でもいいですし、個人事業主として大きな収入アップを実現した方もたくさんいらっしゃるんですよ。

鳥山

収入アップが可能な時給で働けている、ということですね。

経沢さん

じつは、キッズラインがサービスを開始した2015年と、2024年のベビーシッターさんの時給を比較したら、全国平均では1.56倍、東京都のみだと1.71倍になっているんです。

家事サポーターさんの時給も伸びていて、育児や家事といったスキルが正当に評価されるようになってきたことがとてもうれしいですね。

育児や家事は自宅で自分の家族にしている分には無償労働ですが、ユーザーさんに求められて提供すれば付加価値の高い有償労働になるんです。

鳥山

スキルが評価されて、さらに希望した時給で働けるって、すごくうれしいかも。

ただ、スキマ時間といっても、そう簡単にお仕事が見つかるんでしょうか? たとえば仕事場が遠いとか…

経沢さん

「キッズライン」では、地域や日時の絞り込みができるのですが、今日や明日など急ぎの依頼でもマッチングできる仕組みです。

“ちょっと時間が空いた!”という日時を登録しておけば、場所などの条件にマッチしたお仕事をいつでも入れられます。

また、登録した「お仕事可能な日時」以外にも、ユーザーさんが条件の合うサポーターを探すために投稿する「サポーター募集」という掲示板もあるので、スケジュールの合う募集を見つけたら、仕事を受けることもできます

鳥山

ユーザー側にとっても「いますぐ来てほしい」というときに、対応してもらえる選択肢があるのはうれしいです!

経沢さん

そして最後の4つめは、アプリ上でユーザーさんとのやり取りが完了するため、煩わしい人間関係がないことです。

依頼内容や条件をヒアリングし、お仕事を受けるかどうかの判断も自分で決められます。

経沢さん

いざ副業やWワークをしようとしても、仕事を探すのはなかなか大変。キッズラインでは集客コストがかからないのも大きなメリットです。

また、キッズラインに在籍することでトラブル時に24時間相談できるサポートデスク最大5億円の損害賠償保険を利用することができるため、万が一のときでも一人きりにはさせません。

鳥山

サポートや保険のシステムがあるのは、働く側はもちろん、利用する側にとっても心強いですね。

経沢さん

このほか、スキルアップのための講座や研修を無料で受講することができる「キッズライン大学」も用意しています。

「新人フォローアップ研修」や「安全サポート研修〜救命救急〜」「はじめての個人事業主講座」など、サポーターとして活動するにあたって必要な幅広い知識を学べる内容で、現在14講座を開講。

保育に必要なスキルを向上させることができます。

経沢さん

ユーザーさんの身元は審査で確認済みなので、安心してお仕事に向かっていただけます。

「ベビーシッターを始めたいけど、面倒そう…」という人への伴走支援もばっちり

経沢さん

2023年度からは、保育スキルを活かす新たな働き方として、ベビーシッターを始める方への伴走支援を本格スタートしています。

鳥山

伴走支援…?

経沢さん

自分らしく働く…といっても、たとえば本業のある方は副業での準備や手続きは何だか面倒な気がしてしまうもの。

事業を開始するにあたって必要な自治体への届出や報告の義務もありますし、いざデビューしても依頼の増やし方を考えたり、ユーザーさんとの初めてのやり取りに試行錯誤したり…時間も手間もかかります。

その一方で、自社調査では“保育スキル保持者”へのニーズは広がっていることがわかっています

経沢さん

保育園や学童保育の代替やさまざまな保育補助はもちろん、送迎、産前産後ケア、英語やピアノなどの自宅レッスン、自宅学習、個別の用事やリフレッシュの間の預かりなど…

ベビーシッターの需要は多岐にわたります。

鳥山

「美容院に行く間だけ見ててほしい」とか「役所手続きで騒がれると大変だから、一緒に留守番してほしい」とか。

経沢さん

そうそう。何時間もガッツリ預けるほどでもないんだけど、家の近くで見てくれる人がほしい、預けるならちゃんと保育関係の資格を持っている人がいい、というニーズは多くて。

経沢さん

そこでキッズラインでは、活動を始めるベビーシッターさんが手続きに困ったり、ユーザーさんとのやり取りに不安をおぼえたりする状況を減らすべく、選考合格後からデビュー後半年間までを支援することにしました。

鳥山

具体的には、どんな支援を?

経沢さん

たとえば予約が入りやすいプロフィールページの記載方法やスケジュール登録方法の案内、自治体への届出提出に関する案内など。

そのほか不明点や不安点を電話・メールでヒアリングも行います。

加えて、「キッズライン大学」で保育スキルのブラッシュアップや個人事業主として活動するためのノウハウを無料で学べるので、積極的な受講をお勧めしてます。

鳥山

起業家の経沢さんならではの、細やかな支援ですね…!

経沢さん

2022年10月より試験的に始めた伴走支援の結果、デビュー後すぐにサポーター活動が軌道に乗ったサポーターさんの事例が増えています

月4回のシッティングで月2〜3万円の収入、月8〜9回のシッティングで月6万円の収入など、副業として継続収入につながっている方も少なくありません。

無償労働を、「ありがとう」の有償労働へ

経沢さん

ベビーシッターの仕事や家事代行に興味がある方向けに、キッズラインでは無料登録説明会を随時開催しています。

保育経験がある方や、元保育士で大好きな子どもに関わる仕事がしたい、子育てもひと段落して社会復帰したいといった方が多く活躍しています。

経沢さん

家事や育児といった“無償労働”が、キッズラインを通じて「ありがとう」「本当に助かりました!」と言ってもらえる有償労働に変わります。その一言が、あなたのやりがいや喜びになるはずです。

キッズラインでは、だれもが生きやすく、子育てがしやすい社会の実現を目指してまいります。

「こんなサービスがあったらいいのに」と「こんな働き方ができたらいいのに」の両方を叶え、“現代社会のインフラ”になりつつある、キッズライン。

オンラインのやり取りが増え、だれかに直接「ありがとう」と言われることも減ってきている昨今、サポーターとして働くと、想像以上に得るものがありそうです!

株式会社キッズライン

〈執筆=吉河未布/編集=鳥山可南子〉

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