企業インタビュー
知名度ゼロから、1年でフォロワー17万人に。老舗百貨店が「インフルエンサー事業」で見つけた”勝ち筋”
百貨店が「TikTok」に挑むワケ
新R25編集部
一億総発信時代と言われる今、企業も例外ではありません。
もっと魅力的に、自社のサービスや商品を伝えたいけど…SNSの知見があるわけでもないし、世の中には情報が溢れすぎているし、どうしたらいいかわからない!!
…と、サジを投げそうになっている広報・PR担当の方も多いのではないでしょうか。
そこで頼りになりそうなのが、大丸松坂屋百貨店。そう、みなさんご存じの“大手老舗百貨店”です。
大丸松坂屋百貨店では、昨年から「インフルエンサー事業」を新規で立ち上げ、TikTokを活用したプロモーション支援や、アカウントの運用コンサルをおこなっているそうなんですが…
ぶっちゃけデジタルに強そうなイメージはあまりない百貨店が、なぜTikTokのコンサルを?
そんな素朴な疑問を、株式会社大丸松坂屋百貨店 DX推進部 部長の岡崎路易(おかざき・るい)さんにぶつけてみたところ…百貨店ならではの、意外な強みが見えてきました。
〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉
舞台が変わっても、強みは変わらない
岡崎さん
大丸松坂屋百貨店のインフルエンサー事業は、おもにTikTokをはじめとしたSNSでの企業の情報発信を支援する新規事業です。
石川
「大手百貨店」と「インフルエンサー事業」って、あまりイメージが結びつかないのですが…
岡崎さん
驚かれることも多いですが、私たちがこの領域に挑戦するのは自然なことだと思っていて。
というのも私たちには、長年店舗で培ってきた「いい商品を厳選し、お客さまに発信するスキル」があります。
それぞれの商品分野の専門知識や、商品への“偏愛”を持ったバイヤーや売り場担当者がたくさんいるんですよ。
石川
たしかに、スタッフさんの接客が好きで百貨店に通ってる人は多いですよね。
岡崎さん
そういった“キュレーション力”と“偏愛力”こそが、私たちのコアコンピタンス(他社に真似できない、核となる能力)です。
この強みを活かして何ができるだろう? と思ったときに、人と人とのつながりが重要な「SNS」という新しい舞台にチャレンジしてみようという考えに至ったんです。
舞台が店舗からSNSに変わっても、「商品の新たな価値をお届けする」ことが我々の本質的な使命なのは変わりません。
人の力を介して、商品の新たな価値を伝達していくことをミッションに、さまざまな事業に取り組んでいます。
知名度ゼロのアカウントが、1年でフォロワー17万人に
岡崎さん
じつはすでに、弊社には事例があって…
こちらの「お菓子食べすぎ会社員」というTikTokアカウントです。
石川
あ! 見たことあります。オフィスでお菓子を爆食いしてるやつですよね?
あれは大丸松坂屋百貨店のアカウントだったんですね…!
岡崎さん
じつはそうなんです(笑)。
シチュエーション自体の珍しさもあってか、演者の知名度ゼロの状態からスタートしたにもかかわらず、アカウント開設1年でフォロワー数17万人に(現在は19万人超)。
総再生回数1.5億回を超える、たくさんの方に応援していただけるアカウントに成長しました。
石川
1年でそこまで…! 急速に成長できたのはどうしてですか?
岡崎さん
企業アカウントの”勝ち筋”を、私たちなりに解明できたのが一番の成功要因だと考えています。
その勝ち筋の1つが「コンセプト」。
企業や出演者のことをまったく知らない視聴者にも動画を楽しんでもらうためには、一貫したコンセプトが必要です。
動画1つひとつをバラバラに作るのではなく、コンセプトに連動したコンテンツを作ることにより、バズの再現性が高まります。
石川
たしかに「お菓子食べすぎ会社員」も、コンセプトは一貫してますよね。
岡崎さん
もう1つの”勝ち筋”は「フォーマット」です。
TikTokのフォロワー数・再生数を伸ばすためには「テーマ設計×演者の知名度×フォーマット」の3つの掛け算が重要だと考えているのですが…
テーマと演者の知名度を企業アカウントで追求するには、どうしても限界があります。
そこでカギとなるのがフォーマット。演者の強みとTikTokの特徴を鑑みて「独自性」を生み出し、「トレンド」と掛け合わせた企画の”型”を設計することが大切です。
石川
なるほど、トレンドもしっかり意識されてるんですね。
岡崎さん
そうなんです。
「お菓子食べすぎ会社員」の場合も、大企業のオフィスでお菓子を堂々と食べるという「独自性」に、Vlog形式という「トレンド」を組み合わせています。
ちなみに、岡崎さんもめちゃくちゃ出てました
岡崎さん
「お菓子食べすぎ会社員」で得たノウハウや”勝ち筋”は、他社さまにも転用できるものです。
だから私たちは、企業公式TikTokのアカウント運用コンサルティングサービスを提供するに至ったんです。
百貨店ならではの、オフラインとオンラインの融合も
石川
TikTokのアカウント運用コンサル…というと、具体的にはどんな支援が受けられるのでしょうか?
岡崎さん
まずは「PR動画の企画・制作・配信」。
今はTikTokをはじめとしたショート動画の需要が急速に高まっていて、企業の情報発信においても無視できなくなってきています。
そんな、トレンドの“短尺縦型動画”の企画・制作を一手に請け負うことができるのが弊社の強み。
自社アカウントを伸ばしたノウハウを駆使して、商品の魅力が伝わるユニークな企画を提案します。
岡崎さん
ただ動画をつくるだけでなく、アカウントの立ち上げからグロース、運用までをワンストップで支援することも可能です。
第一フェーズでは、弊社のノウハウをフル活用していただくプランを推奨していますが…
第二フェーズ以降では、クライアント様の社内での「内製化」に向けてできる限り支援します。
石川
ゆくゆくは御社のサポートなしでも、社内で動画が作れるようになるかもしれないってことですか…! 太っ腹ですね。
岡崎さん
さらに、弊社は「キャスティング」も強みとしていて…
”クリエイティブエージェンシー”として大手の事務所とも協業関係にあるため、所属・提携クリエイターとのタイアップ企画も可能。
認知を広げるためのコンセプト策定・キャスティング・動画企画の考案をさせていただきます。
石川
へぇ〜! どんな企画ができるんですか?
岡崎さん
たとえば、大手小売事業者さまの事例で…
日本を代表するインフルエンサーが「世界”辛”記録」を目指すという企画を立案しました。
岡崎さん
こちらの事例では、自社アカウントも含めた4名のインフルエンサーを起用し、総再生回数は157万回を突破。
TikTokユーザーのあいだで大きく話題になりました。
岡崎さん
さらに、インフルエンサーの価値を高めるプロダクションエージェンシーを目指す取り組みの一環として、各領域の著名なインフルエンサーとの提携を開始。
第一弾として、夫婦の日常を切り取った等身大の動画投稿で、幅広い層から人気を得ている夫婦モデル兼インフルエンサーの「フミカナ【FUMIYA to KANAMI】」と提携しています。
今後も幅広い企業のニーズに対応できるよう、外部クリエイターを起用することで支援領域を広げていきたいと考えています。
岡崎さん
今後も、サイネージやリアル店舗を活用し、オンラインとオフラインを融合したプロモーションを展開していく予定です。
誰もがクリエイターになれる時代だからこそ、クリエイターのさまざまな収益獲得を支援することによって、よりよいサービスや商品が生まれる社会を目指したいと考えてます。
今後も百貨店で培った“偏愛力”や、正しい情報を伝える信頼感を活かしながら、楽しいコンテンツをたくさん仕掛けていきますので…
企業の情報発信やプロモーションでお困りの方はぜひ、お気軽にお問い合わせください!
「人の力を介して、商品の新たな価値を伝達していく」。
たしかに、人の気持ちを動かすのは結局「人」なのかもしれません…!
プロモーションにお困りの方はぜひ、老舗百貨店の“偏愛力”に頼ってみては?
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