企業インタビュー

25周年は「お祝い」ではない。会社の未来を創る「期限」。CAM代表・須田瞬海の“悲願”とは

25周年は「お祝い」ではない。会社の未来を創る「期限」。CAM代表・須田瞬海の“悲願”とは

『CAMedia 25』~いまのCAM、これからのCAMを担う25人~

新R25編集部

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2000年5月にサイバーエージェント第1号子会社として誕生した株式会社CAM(旧 株式会社シーエー・モバイル)は、まもなく25周年。

節目で所属しているメンバーは、いまどんなことに取り組み、これからどんな事業をつくって“第二創業期”を迎えるのか?

ということで、自社の“記念日”までの奮闘を、そんなに聞かれてもないけど手前みそに発信していきたく、CAM発の「社員紹介連載」をはじめます。

記念すべき初回のコンテンツは…

2022年にCAMの代表取締役CEOに就任し、4代目社長として奮闘する須田瞬海に「今何に取り組んでいて、これからどんな会社にしていきたいか?」を聞いてみました。

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉

【須田瞬海(すだ・しゅんかい)1990年生まれ。立教大学体育会硬式野球部出身。2014年、サイバーエージェント入社、メディア事業本部へ配属。入社3年目に株式会社CA Young Lab設立、代表取締役に。その後株式会社Cyber Nowを設立。Webメディア『新R25』などを手がける。2022年、複数のエンタメコンテンツ、ライフスタイルメディアを運営する株式会社CAMの代表取締役に就任

――社長に「何をやっているか」って聞くのも変ですが…株式会社CAMの4代目の社長となってから、どんなことをしてきたかというのをお伺いしたくて。

超ひとことで言えば、この2年は「CAM=○○」を確立することをテーマにやってきました

CAMは歴史もあって、たくさんの事業やサービスがある。それ自体は素晴らしいことなんですが、あれもこれもになってしまうと当然投資効率が悪くなる。親会社であるサイバーエージェントも「いろいろやってるんだけど、今みんなで伸ばすのは『ABEMA』だよね」という明確な投資ポイントがある。

CAM社としても、軸となるサービスを確立することが未来においてとても大切になってくると考えて、たとえ反対意見があったとしても、それを推進して成功に導くまで粘ってやり切ることが僕の役割だと思っています。

――たしかに、よく「CAMは何の会社かわからない」っていう声があると聞きます。

そうですね。市場でも「コングロマリットディスカウント」(複数のサービスを持っている企業よりサービス単体のほうが市場価値が高くつき、企業全体の価値が低く見積もられること)という表現があったりしますが、複数事業をやってることが問題というよりは、「どこが軸か? 何が強みか?」を明確化していくことが大事かな、と。

それで言うと、CAMはやっぱり「技術の会社」だと僕は思っています。

――『新R25』とか人気アイドルのモバイルサイトを手がけたりしてるので「コンテンツの会社です」っていう感じなのかと。

「技術」のなかに、エンジニアを主体とした開発って意味合いはもちろん強いんですが、デザイナーやコンテンツのクリエイティブ力っていう意味も含んでいます。天野さんとかも「技術者」だと思っていて。

そんな「技術力」を生かして、自分たちの軸となるサービスを作って当てるっていうことをやらないと未来がないな、と。

そう思って、自分たちのサービスを自分たちで作って自分たちで伸ばしていこうっていうカルチャーをつくるために、いろんな手を打ってきたのがこの2年間でした

――いま主軸となっている「パートナービジネス」ではなく、自社プロダクトをメインにしていくということですか?

かつてサイバーエージェントも、広告代理事業で基盤を作りつつ、未来を見据えて自社プロダクトの『Ameba』に相当な投資を行いました。

その際、藤田社長を筆頭にかなりの人数のキーマンが『Ameba』に移ったにもかかわらず、広告代理事業はサイバーエージェントの本陣として会社を支え続け、結果として日本を代表する広告代理店の一つへと成長し続けています。

これは本当にすごいことだし、我々もそれを目指したいな、と。

今だってそうですよね。サイバーエージェント内にこれだけいろんな事業があるのに、藤田社長は『ABEMA』のことしか言わない(笑)。

ただ、最初は自社プロダクトの成功例がないから、いろんな声があったはずです。藤田の著書『起業家』にも出てくるように「広告だけでやっていけばいいのに」って散々言われたみたいですし。社内外から冷たい目で見られるなかで、推進し続けるのは想像以上にハードルが高い。

今まさにそうした難易度やプレッシャーに日々押し潰されそうな日々ですが、CAMの未来のためには自分がやるしかないと思っているので、ここが正念場ですね。

――そんな変化を乗り越えて出すサービスが…

今仕込んでいる、『新R25』の一大リニューアルで、やっと1つのブランドのもとに組織一丸で勝負ができる…と思ってます。

社外には初出の情報ですが…『新R25』に関する一大リリースがまもなくありますので、しばらくおまちください

もともとはメディアとしての『新R25』の“派生サービス”くらいの位置付けで静かに温めていたんですが、CTOのfkei(船ヶ山 慶)さんから「張りどころを決めて勝負を賭けよう」と背中を押してもらって。

これによって、いくつかの投資ポイントを『新R25』という一つの自社ブランドに寄せる意思決定ができました。

自社ブランドである『新R25』と、CAMの強みである「技術力」を掛け合わせたプロダクトを成功させ、CAMの新たな軸を作ること。これが僕が実現したいことです。

そのために、今までのコンテンツメディア『新R25』を変革しなければいけないし、CAMという会社自体も生まれ変わらせなければいけなかった

2つを同時に走らせている複雑性のなかでもがいていた…のがここ数年でしたね。

それでも、僕の仕事はCAMの未来を創ること。そのためには今変化をしないといけない。

そのなかで一番勝機があるんじゃないかっていうリニューアルを、ようやく出せるわけです。「伸るか反るか」の戦いがいよいよ始まりますが、苦しんだ分、とても期待しています。

――それと近いタイミングでCAMは来年で25周年ということで、お祝いしようという動きも社内にはありますけど…

僕のなかに「お祝い」の気持ちはまったくないです

それよりは、「25周年までにこの会社をなんとかしてみせる」という気持ちが強い

正直に本当のことを言えば、僕自身がCAMの社長になった2022年度末から、「3年で会社のカタチを作りたい」っていうタイミングが、たまたま25周年でした。

既存事業をベースにしてやっていける期間のイメージと、新しい展開をつくりきらないとその先が苦しくなるっていう僕なりの期限があって。

『新R25』というサービスをやっているので「25」という数字を若干意識した部分はありますが、それはあくまでおまけの部分。

中の人たちが周年でいろいろ企画してくれるのはとてもうれしいし、プロジェクトメンバーのサポートはしていきますが、25周年は、僕にとっては一つの期限であり、今は「時間がないな」って想いが一番強いですね。

――その感覚はもしかしたら社内にはそこまで伝わってないかもしれないです…。メンバーに、もっとどういう意識を持ってほしいとかはありますか?

当事者として、CAMの未来を一緒に創りましょう」と伝えたいですね。

それは既存サービスを支えるチームも、新規チャレンジするチームも同じで、今このタイミングでこの会社にいる僕らで、会社の未来を創りたい。

24年続いてきた会社が今がまさに過渡期を迎えています。

既存サービスを大切に運営しながらの変化はとても大変ですが、2010年代に先輩方が作ってくれたサービスが今のCAMを支えているように、今ここにいる我々が未来のCAMの柱を作る。それが僕らのミッションかな、と。

そしてこれをやり切った先に、歴史だけでなく、「業績」や「ブランド」で、CAMがサイバーエージェントグループ内でリーダーシップを取っている状態を復活させること。

これこそが、僕が今のCAMのメンバーと実現したいことですね。

――正直、ここまでシビアな話になると思ってなかったです。一応「社員紹介連載」としてこのインタビューを続けていく予定なんですが…この後どんな人が出ればいいでしょうか。

未来を創る当事者たち、ですかね。

歴史を紡いでいきつつも、今このタイミングで未来を創るために奮闘している人たちを届けていってもらえるとうれしいです。

まあ、この第1回を読んで、どういうリアクションがあるか全然わかんないんですけどね(笑)

〈取材・文=天野俊吉/撮影=森田志穂〉

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