企業インタビュー

パワハラ・セクハラを“なかったこと”にしないために。企業に匿名で声を届ける「coe」の仕組みとメリット

パワハラ・セクハラを“なかったこと”にしないために。企業に匿名で声を届ける「coe」の仕組みとメリット

あなたの“声”が、誰かを救うかも…?

新R25編集部

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「上司のあの発言、パワハラじゃないのかな?」「気づいたらサービス残業ばっかり…」

そんな違和感を覚えても、円満に働くために周囲には言わず、グッと飲み込んだ経験はありませんか?

今回紹介するのは、企業側も労働者も“見て見ぬふり”しがちな「ハラスメント」や「人権問題」に切り込む「coe(コエ)」というサービス。

運営元の株式会社Drop 代表取締役CEO 米田真介さんに、働く人が安心して声を挙げるための“画期的な仕組み”を解説していただきました。

〈聞き手=石川みく(新R25編集部)〉

ハラスメントが“なかったこと”になってしまうのはなぜ?

米田さん

ハラスメントや不当な労働時間、危険な労働環境、差別、不正など…

企業では人権を脅かすような問題が多数発生しているにもかかわらず、被害にあった際に相談できる先は限られています。

石川

社内窓口を設置する企業も多いと聞きますが…

米田さん

残念ながら、“なかったこと”にされるケースが後を絶たないんです。

社内窓口があっても不当な扱いを受けたり、もみ消されり、状況が何も変わらなかったり…

せっかく相談したのに、解決に向かうどころかさらに不利益を被ることも多いのが現状です。

そうすると、個人の特定や報復が怖くて“危険信号”を発さなくなったり、聞かれても真実を言わなくなったりしてしまいます

みなさんやまわりの方も、こんなお悩みを心に秘めていませんか?

米田さん

もちろん、問題を早期に発見・対応することで、解決に結びつけたいと考えている企業もあります。

ただ、ビジネスにおける人権リスクへの対応は「正解」がないのが難しいところで。

個別で細やかな対応に加え、専門的な知識も必須。きちんと対応するには、時間とお金がいくらあっても足りません。

そのため、問題意識こそあれど、結局解決に向けた行動を起こせていないという企業も多いんです。

石川

進めたくても進められない状況なんですね…

米田さん

まさに。労働者・企業の双方が問題を解決したいと願っているにもかかわらず、真逆の状況が引き起こされています。

そんな状況を打破するために開発したのが、「coe(コエ)」というサービス。

これは簡単に言うと、労働者が抱える本音や苦情を拾い上げ、企業へ対応を促すサービスです。

労働者の声を拾い上げ、企業に届ける「coe」の仕組み

米田さん

「coe」には、労働者の声を拾い上げるアプリ「coe worker」と、企業側の人権リスクを可視化するAI/webサービス「coe company」があります。

米田さん

まず「coe worker」では、自分やまわりの人が辛い状況にあることを、企業に匿名で送ることができます

会社の相談窓口を使うのは怖い、電話での相談はしんどい、本音が言えないという方も、安心してお使いいただけます。

自分のことだけでなく、家族や同僚の声も送ることができるそう

石川

匿名はありがたいですが、本当に会社にバレないのでしょうか…?

米田さん

個人を特定できる情報は取得していません。

もし、お寄せいただいた相談内容の中に個人が特定できうる情報が入っていたとしても、企業へ送る際にはマスキングを実施します。

米田さん

「coe worker」には“みんなの声”というカテゴリがあり、ほかのユーザーが企業に送った声を参考に見ることができます。

その場合も、企業名は表示されませんのでご安心ください。

石川

たとえばどんな声が多いんですか?

米田さん

「同僚が上司からパワハラを受け、心を壊した」「セクハラやパワハラが日常的に行われている」などなど…

リリースして約1ヶ月で、coeに届いた相談の件数は1,598件です。

この数は、状況が改善されてほしい、もっとよくなってほしいと考え、願う数だとも考えています。

こんなcoe(コエ)が集まっています!

米田さん

深刻な訴えはもちろん、「空調が整ってない」「自分が成長できているかどうか不安」など、愚痴や不満のような内容も意外と多いんですよ。

coeでは内容問わず、できるだけ多くの方の声を企業に届けて、状況が改善されていくことを目指しています。

「これは送っていい内容なんだろうか」と悩んだ場合は、ぜひ“みんなの声”を覗いてみてください。

目指すのは“ビジネスが人権を侵害しない世界”

石川

「coe worker」で集まった声が、「coe company」で企業側に届くということですか?

米田さん

はい。企業向けサービス「coe company」では、企業宛に集まった声をAIで分析します。

愚痴や不満のレベルから、調査が必要なもの、実際に侵害が認められるものまで…その相談に隠れているリスクがどれほど深刻なのかをAIがスコアリング

個人情報をマスキングしたうえで、潜在的な人権侵害のリスクを判定し、企業に届けます。

米田さん

“ビジネスと人権の対応を推進する企業“でよくあるのが、情報の収集・処理・スコア化だけで終わってしまうこと。

ですが、人権問題における本来の目的は「被害者の救済・状況の改善」であるべきです。

「coe company」があれば、時間や労力、コストをかけずに状況の深刻度の把握が可能。

企業のすばやい意思決定を後押しすることで、本質的な問題解決にリソースを割いていただけるのが大きなメリットです。

米田さん

私たちが「coe」で創り出したいのは、「ビジネスが人権を侵害しない世界」。

豊かさを得るために仕事をしているのに、その仕事のせいで命を断ってしまったり、社会に復帰することができなくなっている方々がいる。

そんな現状をなんとかしたいという一心で、「coe」という仕組みとサービス開発に至りました。

「coe」に声を届けたからといって、すぐにすべてが解決する、というわけではないかもしれません。

でも、匿名だからこそ、思い切って声を出せる。そんな状況を作ること自体が、よりよい世界に近づくきっかけになると信じています。

あなたの声が企業を変えたり、誰かを救ったりするかもしれません。問題の根本解決のためにも、多くの相談が寄せられることを願っています。

自分や身近な人の心身を大切にして、誰もが豊かに生きる社会を創るために。

coeは従来のホットラインが担う「悲しみの出口」ではなく、「自分を大切にする入り口」になることを目指して設計されているんだそう。

まずは、ちょっとしたことからでも。未来のために、あなたも“声”を挙げてみませんか?

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