企業インタビュー
「編集力」はメディアの枠を越えられる。“才”が集まる編集のプロ集団「かくしごと」の挑戦
Z世代の「学生エディター」も始動!
新R25編集部
「編集者」といえば、企画を立て、取材をし、原稿を調整する…といった業務で、雑誌やWEBメディアにかかわる人を指すのが一般的。
しかし、その枠を超えて「編集力」を幅広い業界に活かそうと取り組むプロ集団がいます。
編集者による言葉起点のクリエイティブエージェンシー・かくしごとです。
代表の黄孟志(こう・たけし)さんは、早稲田大学在学中から『MEN’S NON-NO』(集英社)などのファッション誌を中心に、フリーランスで編集・執筆活動を開始。
2015年にかくしごとを設立し、プロジェクトごとに異なる編集チームを統括しながら、小学館による10代メディア『Steenz』や、表参道&ローカルメディア『OMOHARAREAL』の立ち上げなどをおこなってきた敏腕編集者です。
かくしごとの「編集力」はどのように培われていて、企業の課題をどんな発想で解決しているのでしょう?
この取り組みを知れば、「編集」の印象がガラッと変わるはずです。
〈聞き手=石川みく(企業トピ編集部)〉
雑誌・WEBメディアの“外”で「編集力」をどう活かす?
石川
じつは黄さんには、駅に『R25』のフリーペーパーを置いていた時代からお世話になっているとのことで…
黄さん
はい!フリーランスでライター活動をしていたときからお世話になっていました。
その後、2015年にかくしごとを設立。メディアの立ち上げやコンテンツ制作、SNS運用といった編集業務を通して、企業の課題解決に取り組んできました。
雑誌やWEBメディアなど実績多数
黄さん
近年では、一見「編集」とは思われない範囲の実績も増えてきていて…
ここでいくつかご紹介させてください。
ケース①:編集者・ライター向けの「リアルイベント」
黄さん
たとえば、リアルイベントの開催。
つい先日も、天野さん(新R25副編集長・天野俊吉)と一緒に、編集者・ライター向けのセミナーをひらきまして。
石川
それ、私も参加させていただいたんですが…チケットは即完でしたし、ゲストもすごい豪華でしたよね。
黄さん
そうなんです!
コンテンツ制作会社ヒャクマンボルト代表・サカイエヒタさんと、小説家・カツセマサヒコさんをお迎えして、「AI時代に生き残るための編集力」についてお聞きしました。
ふだんは聞けないお金のことまで聞いて(笑)。
ゲストに月商と原稿料を聞くセミナーって何ですか
石川
このイベントはどういう流れで決まったんですか?
黄さん
天野さんとは同い年だし「ぴょん吉」と呼ぶ間柄で、たまにお茶もするんですが…
「編集者やライターのスキルって、これからの時代どこで求められていくのかな?」みたいな話になって。じゃあ「決してAIに代替されない人たち」に聞いてみようと。
それでこんなイベントが生まれました。今後もシリーズ化して展開していく予定です。
今回参加できなかった人も、またチャンスがあるみたいです
ケース②:“読むチョコレート”のブランド立ち上げ
黄さん
ほかに「編集力」を活かした取り組みでいうと…
マーケティングブランディング会社・Kokuhakuからの依頼を受けて参画した、チョコレートブランドの立ち上げもそうですね。
石川
チョコレートブランドの立ち上げ…そこで「編集力」をどう活かすんですか?
黄さん
まずは、企画から入りました。
依頼の時点では「特別なチョコレートブランドをつくりたい」という一点しか決まっていなかったんです。
そこで考えたのが…チョコレートに詩的なエッセイを添えて、「読むチョコレート」というコンセプトにしたらどうかなと。
本のかたちをしたパッケージを開くと、チョコレートとエッセイが書かれたカードが入っていて、“心の頬が落ちる”ような新体験ができるというものです。
こちらが読むチョコレート「Chocolate Library」。なんと素敵なコンセプトなんだ…
黄さん
そこからは、雑誌づくりの思考プロセスが活きてきます。
パッケージデザインや、起用するエッセイストの方向性などを決めて。添えるエッセイが完成するまで、書き手の表現者さんと併走するという部分は、ふだん通りの仕事ですね。
発売後「すぐにソールドアウトした」と聞いて、「編集力」は雑誌以外の領域でも活用できると確信しました。
必要不可欠な「クリエイティブパートナー」という存在
黄さん
とは言っても…
これらの企画はすべて、私ひとりだけではなく、クリエイティブパートナー陣がいるから実現できています。
石川
クリエイティブパートナー?
黄さん
人気メディアの編集長や、第一線で活躍するフリーランスの編集者さんたちを中心に…
ライター、フォトグラファー、映像ディレクター、デザイナーなど、メディア業界で活躍するプロフェッショナルをクリエイティブパートナーとして迎えているんです。
さらに、メディア業界外の空間演出家、音楽家などのビジネスパートナーもいて、編集者とのコラボレーションをおこないながら、「編集力」をより広い領域で展開できるような体制をつくっています。
時代を築き上げたカリスマ誌から、新世代や外国人に支持されるWEBメディアまで、レジェンド編集長が勢揃い
黄さん
僕がもったいないなと思うのは…
こういう新たなカルチャーを世の中に定着させてきたレジェンド編集長の“職人ワザ”って、雑誌・WEBメディア業界のなかに閉じがちじゃないですか。
石川
たしかにそうですね…
黄さん
企業案件でこういった方々の“編集力”を活用すれば、新しい形の課題解決方法がたくさん生まれていくと思うんです。
たとえば、東京の都市カルチャーを海外に向けて発信するメディアのクリエイティブディレクターが、外国人向けに老舗和菓子店をリブランディングしたら面白そうだよな…とか。
コラボで“ユニークな化学反応”が生まれて、話題化も狙いやすくなるんじゃないかと考えています。
等身大の言葉を届ける「Z世代エディター」
黄さん
あと…ここ1〜2年で力を入れていて、需要も明確に増えていると感じているのが、編集者・ライターを目指す学生インターンの力を活かす「Z世代エディター」プロジェクト。
Z世代の「学生エディター」と編集長クラスの「パートナー」をミックスした特別チームをつくり、時代性とクオリティが両立したアウトプットを実現しています。
「学生エディター」のみなさん(※写真は2022年度メンバー)
石川
「レジェンド編集長」とは真逆のアプローチに感じますが…
なぜ学生インターンに力を入れようと思ったんですか?
黄さん
私自身も、学生時代にチャンスをいただいたことがきっかけで、言葉を武器に仕事をする道に進むことができたので…同様の機会を、自分も若い世代に提供できたらと思ったのもあります。
あと単純に、学生の感性ってやっぱり新しいんですよね。
2021年12月に、小学館が多様性時代の10代メディア「Steenz」をローンチし、その立ち上げに弊社の学生エディター約10名が協力したんですが...
Steenz
かくしごとの「学生エディター」が主軸となってスタートした、大手出版社・小学館によるWEBメディア
黄さん
「どんな方法で魅力ある10代の出演者を見つけ出すか」とか「どんな企画で出演者の魅力を届けるか」とか、僕には思いつきようがないアイデアがどんどん出てくるんです。
さらに、新世代のリアルな意見は、企業のPRにおいても力を発揮します。
石川
…というと?
黄さん
今は企業が「メディア化」している時代ですが…
企業から若年層に向けてメッセージを発信する際に、大人が「こういうのがZ世代っぽいよね」とつくったコンテンツって、受け手が違和感を覚えることも多いと思うんです。
でも、新世代の等身大の視点・感性と、ベテラン編集者による経験・スキルを兼ね備えている弊社なら、受け手に深く共感される質の高いコンテンツを届けられます。
石川
なるほど…Z世代に刺さるメッセージを届けられると。
黄さん
現在「学生エディター」を中心とした企業へ解決提案もおこなっているのですが、各社から大変ご好評いただいています。
若年層に自社商品を届けたいときも、ぜひかくしごとを頼っていただきたいですね。
執筆せずメディアをつくらずとも活きている、かくしごとの「編集力」。
「編集者はAIに取って代わられる」とも言われていますが…考え方次第で、編集の可能性はどこまでも広がりそうです。
レジェンド編集長の監修や、Z世代エディターのリアルな意見を取り入れたスペシャルなコンテンツをつくりたい企業のみなさんは、ここからお問い合わせしてみてください!
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