企業インタビュー

「着ない服」きっかけで社会貢献! 手軽に染め直しができる“アップサイクルプラットフォーム”

「着ない服」きっかけで社会貢献! 手軽に染め直しができる“アップサイクルプラットフォーム”

クローゼットに眠っているアイツを生まれ変わらせよう

新R25編集部

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アパレルロス(衣類廃棄)」という社会課題をご存じでしょうか?

SDGsが叫ばれる昨今、「捨てられる衣類」にも注目が集まっており、各所で課題解決の必要性が叫ばれているのだとか…。

そんななか、インパクトあるサービスを提供しているのが、“洋服染め直し”プラットフォーム「somete」。

ユーザーと、工房・クリエイターをつなげ、衣類の「染め直し」をしてくれるのだとか。

環境に配慮したい気持ちはそれなりにあるけど、「染め直し」っていったい…。

ということで、同サービスを提供する株式会社プレイブルー代表 青野祐治さんに、話を聞くことにしました。

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉

天然素材を使って、「飽きた衣類」を伝統的な“染物”に

天野

服を買うのはけっこう好きなんですが、染め直しとは…

「somete」のサービスをざっくり教えてもらえますか?

青野さん

眠っている服を、ずっと着たい服に」をキャッチフレーズに、全国約40の工房やクリエイターと連携し、洋服の「染め直し」サービスを提供しています。

全国の染め工房とネットワークを結び、プラットフォーム化しているのは、かなり珍しい試みだと思いますよ。

天野

「工房」とネットワークをつくってるんですね。

たしかに飽きた服とか、衣替えのタイミングで捨てがちだな…

どんなふうに生まれ変わらせてもらえるんでしょうか?

青野さん

こだわりは、化学染料は使わず天然素材の染料で染めを行うなど、環境を重視した工房さんと連携している点。

廃棄予定の食品などを染料に用いるなど、フードロス削減に貢献する工房さんも多くいるんですよ。

廃棄される珈琲豆のかすや、茶葉で染めるらしい

天野

ほう…。渋くてイイ感じの色になるんだな…

青野さん

定番のブラックなども人気ですし、ほかに、春桜色(はるざくらいろ)、鉄朱色(てつしゅいろ)、鈍色(にびいろ)、漆黒(しっこく)、タイダイ色(たいだいいろ)、藍色(あいいろ)、藍泥色(あいどろいろ)など、伝統的な染物の色を楽しんでいただけます。

色が選べない! という方向けに、50名限定の「染めガチャ」というキャンペーンも行っているんですよ。

青野さん

何色になるかは、届いてからのお楽しみ

初めてsometeを利用される方には、お試し価格(税込1,980円〜)にて染め直しを体験いただけます。

天野

あえて色を決めないのもいいな…!

最近はフリマアプリで服を送るようなことも多いですが、同じようなイメージでやり取りできるんですかね?

青野さん

そうですね。サイト上で色をお選びいただき、チケットをご購入いただいた後は、お洋服を封筒・ショップバッグ・ダンボールなどに梱包いただいて、発送してください。

検品、染め直しを経て1カ月〜2カ月程度でご自宅へお送りできます。

それこそ、フリマアプリで売ろうとしたものの売れ残り、そのままになっている服たちを再生させる…なんてこともおすすめしていますよ。

天野

最近めちゃくちゃあるシチュエーション。

青野さん

ほかにも、シミや黄ばみで汚れてしまった白シャツ、色あせなどで着る機会が減ってしまった思い出の一着などを染め直す…といった利用方法もあるかもしれません。

「伝統文化継承×地球環境への貢献」。someteが掲げるふたつの社会貢献

天野

そもそも、なぜこのようなサービスを始められたんですか?

青野さん

目的のひとつは、失われつつある染めという技術の「文化継承」。

もうひとつは、家庭のアパレルロス削減を通じた持続可能な地球環境の実現への貢献です。

日本が誇る染物文化の継承に焦点を当てると同時に、クローゼットに眠る服を染め直すことで衣類廃棄を減らす…そんな活動ができればと考えているんです。

天野

なるほど、一石二鳥で社会に貢献しているんですね。

ただ、ちょっとツッコませていただくと、地球環境のためを考えるなら、大手企業などのアパレルロスに切り込んだほうがいいんじゃないか?と思ってしまったんですが…

青野さん

いえ、じつは、企業よりも家庭から出る廃棄衣類のほうが、圧倒的に量が多いんですよ。

天野

マジですか

青野さん

ちなみに、日本の家庭で廃棄される衣類は、年間約50万トン。つまり30億着にもなるんです

また、現在クローゼットに眠っている“休眠衣類”も多く、これから大量に廃棄されてしまう可能性も…

廃棄された衣類は埋め立てや焼却により処分され、環境にも悪影響を及ぼします。

年に30億着も…これはさすがにもったいないです

天野

今後はどういった展開を考えているんでしょうか?

青野さん

アパレルブランド、商業施設、クリーニング店とのコラボを通じて、より染め直しを当たり前のものとして、定着させていきたいと考えています。

展示などを行い、“染め直し”の認知拡大につとめているそう

青野さん

国内需要だけでなく、インバウンド観光客向けのサービス展開も予定しています。

たとえば国内の民泊事業者と連携し、滞在者に染め直しサービスを利用してもらい、“ジャパンカルチャー”と旅行の思い出を持ち帰っていただくようなサービスを展開したい…そんなことを企画中です。

天野

インバウンド需要は大きそうだし、何より世界規模でアパレルロスが削減される可能性があるのは夢がひろがりますね…

青野さん

株式会社プレイブルーは、「カルチャープレナー×環境テックカンパニー」として、社会課題の解決や地域活性化の一助につながる事業の展開を目的に、2022年に設立されました。

立ち上がったばかりの会社ではあるんですが…今後より一層重要になってくる領域だと思いますので、洋服好きのR25世代のみなさんには、ぜひ着目していただきたいです!

…「眠っている服を、ずっと着たい服に。

someteのサービスについてうかがって、“買ったはいいものの意外と着なかった”“一時期着すぎてもう飽きてしまった”などなど、さまざまな理由でクローゼットに眠っている服たちのことを思い出しました。

どうしても距離を感じてしまう「伝統文化」や「環境」との接点を、身近な衣類から持つことができるサービス。服をばっさり捨ててしまう前に、ぜひ一度チェックしてみてください

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