企業インタビュー
地域の誇りを、もっと多くの人に伝えたい。「No.12」プロジェクト参画企業が描く、カシマの新たな未来像

地域の誇りを、もっと多くの人に伝えたい。「No.12」プロジェクト参画企業が描く、カシマの新たな未来像

【連載インタビュー】カシマの変遷と「No.12」プロジェクトが生む新たな風

新R25編集部

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茨城県鹿嶋市は、鹿島アントラーズのホームタウンとして知られるサッカーの聖地であり、地域が一体となって支える町でもある。

この地に新たな賑わいを創出するプロジェクトとして、地域の魅力を発信する宿泊施設「No.12 Kashima Fan Zone(以下「No.12」)」が2025年3月にオープンを迎えた。

プロジェクトを推進するのは、ツキヒホールディングス株式会社と、鹿島アントラーズFC代表取締役社長を務める小泉文明氏率いる株式会社KX。「地方創生」×「スポーツ」×「リカバリー」をテーマに、スポーツを軸とした新しい地域の活性化モデルを打ち出し、ファンや地域住民が心から楽しめる場を提供することを目指している。

鹿嶋市の歴史や魅力を守りつつ、次の世代が誇れる町づくりをしたい

そう語るのは、株式会社和城産業・副所長の犬塚正一さんだ。

昭和46年創業の同社は、鹿嶋市に根ざし、水回りの清掃・浄化槽管理などを通じて地域を支えてきた。犬塚さんが、「No.12」に込めた想いやカシマの未来について語ってくれた。

浄化槽管理と土木工事で地域を支える株式会社和城産業の事業について

川島

和城産業さまの事業内容について教えていただけますか?

犬塚さん

当社は創業以来、浄化槽の清掃・維持管理を主力事業としています。

現在も従業員の半数がこの分野を担当しています。加えて、土木工事や排水設備のメンテナンスなど、地域の水環境に直結する幅広い事業を手がけています。

たとえば、2011年の東日本大震災時には、下水道が機能不全に陥った際に緊急対応を行いました。災害時にも迅速に対応できる体制を整えているんです。

川島

浄化槽管理を中心に、地域密着型の幅広い業務を展開されているんですね。

犬塚さん

そうなんです。北浦などの湖や川が多いこの地域では、水質管理が重要な課題なんです

浄化槽の維持管理を通じて、その一端を担っています。

最近では高性能な浄化槽への更新が進み、水質改善にも貢献できていると実感しています。

川島

浄化槽管理以外にも、リフォームや造園、さらには土木工事も手がけていると伺いました。

犬塚さん

おっしゃる通りです。

リフォームや造園は専任スタッフはいませんが、協力会社と連携して柔軟に対応しています。

土木工事に関しては建設業組合にも加盟しており、市や県の要請に応じて活動することもあります。

川島

地域を支える縁の下の力持ちのような存在なんですね。

犬塚さん

そう言っていただけると光栄です。

普段は目立たない仕事かもしれませんが、私たちの事業は生活インフラを支える重要な役割を担っているんです。

これからも地域の皆さんが安心して暮らせる環境づくりに尽力していきたいと思います。

「外に出たことで、カシマには素晴らしい魅力がたくさんあると気づきました」

川島

カシマについて、昔と今の変化や、この地域の魅力についてお聞かせください。

犬塚さん

昭和46年に祖父たちが和歌山から移り住んだことをきっかけに、私もカシマで生まれ、暮らしてきました。

当時、私たちが住んでいた地域では駅までの道が獣道のようでしたが、2002年のサッカーワールドカップを機に道路が整備され、町の風景が一変しました。

そのころから、鹿島アントラーズと鹿島神宮が地域の象徴的な存在として根付いていったように感じます

川島

鹿島神宮やアントラーズは全国的にも知られていて、地域の大きな財産ですね。

犬塚さん

そうなんです。私たちにとって鹿島神宮は身近な存在で、日常の一部です。

しかし、遠方から訪れる方々が鹿島神宮を特別な場所として認識しているのを聞くと、あらためてその価値に気づかされます。

鹿島アントラーズについても同じです。当たり前に存在するものだからこそ、地域としてもっとその魅力を引き出していくべきだと感じます

川島

当たり前に感じているものが、実は大きな魅力だったと気づくことができたんですね。

犬塚さん

ええ。若いころは気づかなかったんですが、一度地域を離れたことでその良さに気づきました

私は大学時代を京都で過ごし、和歌山にも少し住みましたが、カシマに戻ったときにこの地の気候の穏やかさや、食べ物の美味しさに驚きました。

とくにお米の美味しさは格別です

川島

カシマのお米の美味しさに気づかれたエピソード、ぜひ教えてください。

犬塚さん

京都に住んでいた時期にはじめて地元のお米の味の違いを感じたんです。

さらに、母方の祖母が淡路島でつくったお米を送ってくれることもあって、そのときにも地元産の美味しさを実感しました。

カシマのお米を食べた瞬間、すごく幸せな気持ちになるんですよね

川島

まさに地元の良さを再発見された瞬間ですね。

犬塚さん

そうなんです。こうした食文化や自然環境は、地元で暮らしていると当たり前すぎて見えなくなるものです

でも、外に出たことで、カシマには素晴らしい魅力がたくさんあると気づきました

川島

カシマの魅力をもっと発信できれば、訪れる人も増えそうですね。

犬塚さん

そのためには、地域の観光資源や食文化を活かし、来訪者が滞在したくなる仕掛けをつくることが大切です。

カシマには穏やかな自然や深い歴史があるので、それらを再発見し、地域全体で盛り上げていけたらと思っています。

川島

地元の魅力を外に伝えることで、未来のカシマの活性化につながりそうですね。

犬塚さん

ええ。私たち地元民自身がその魅力を再認識し、誇りを持って発信していくことで、よりよい未来を築いていけると信じています。

「地域にとって新しい風を吹かせるきっかけになると感じて参加を決めました」

川島

今回「No.12」に参画された理由についてお聞かせください。

犬塚さん

当社は50年以上この地域で事業を展開してきましたが、地域への具体的な貢献活動は実施してきませんでした。

何かしたいという思いはありつつも、誰かが取り組んでくれるだろうと、他人任せにしてきた面があります。

そんななかで「No.12」の話をいただき、これは地域にとって新しい風を吹かせるきっかけになると感じ、参加を決めました

川島

これまで何かをしようと思いつつも動き出せなかったなかで、参加する決め手は何だったのでしょうか?

犬塚さん

このプロジェクトが単に施設をつくるだけではなく、地域活性化を目指した挑戦である点に心を動かされました。

「No.12」の提案を受けたとき、地域に貢献したいという気持ちを“かたち”にするチャンスだと感じたんです。

自分たちが中心になって何か大きな動きをつくるのは難しいですが、こうしてプロジェクトがかたちになり、そこに参加できるのは大変ありがたい機会だと思いました。

川島

地域に活気を取り戻すという意図が強く込められているんですね。

犬塚さん

まさにその通りです。

この地域は新日鉄住金(現在の日本製鉄)の工場やアントラーズのような存在に長く依存してきました。

しかし、時代が変わり、高炉が1基になったり、地域人口が減少するなかで、それだけでは支えきれない現実があります。

地域住民自身が「何かしなければ」という危機感を持ち、行動を起こすことが必要だと思っています

川島

「No.12」が地域活性化の第一歩になるという期待ですね。

犬塚さん

はい。「No.12」はただの宿泊施設ではなく、訪れる人にカシマの魅力を体験してもらう場所です。

このプロジェクトを通じて、外から来た人が「カシマっていい場所だな」と感じ、地元の人が自分たちの町の魅力を再発見するきっかけになればと考えています。

川島

具体的にはどのような変化を期待していますか?

犬塚さん

「No.12」が盛り上がることで、周辺の飲食店や商業施設、観光地が一緒に活性化する流れができればと思います。

また、地元の若い世代や外から移住してきた人たちが、この地域で新しいことに挑戦しやすい環境をつくるきっかけにもなればうれしいですね。

最初の一歩は小さくても、地域全体が動き出すような未来を夢見ています

川島

地域を動かすきっかけづくりとして「No.12」が果たす役割が大きいですね。

犬塚さん

はい。まだまだ課題は多いですが、このプロジェクトが地域を活性化する力になると信じています。

そして何より、動き出すことそのものに意味があると思っています

「地元の人たちも一緒に盛り上がれる仕掛けをつくっていきたい」

川島

これからのカシマについて、どのような町になってほしいか教えていただけますか?

また、訪れる方々へのメッセージもお願いします。

犬塚さん

ひと言で言えば、活気のある町になってほしいですね

鹿島アントラーズの新スタジアムや「No.12」など、新たな施設が誕生しようとしているなかで、地元の人たちも一緒に盛り上がれる仕掛けをつくりたいと思っています。

たとえば、試合の日には地元の人が家の前に鹿島アントラーズの旗を掲げるだけでも、訪れる方に「カシマってすごい」と感じてもらえるはずです。

川島

それはいいアイデアですね!

町全体が試合の雰囲気に染まると、訪れる方の印象に残りそうです。

犬塚さん

そうなんです。試合の雰囲気を共有するだけでも、町の魅力が倍増します。

外から来る人たちが「ここは特別な場所だな」と感じられる空気感をつくりたいですね

それに、試合後すぐに帰るのではなく、「次にまた来たい」と思えるような滞在型の観光や町づくりも必要だと感じてます。

川島

たとえば、どのような仕掛けが考えられますか?

犬塚さん

参道をもっと魅力的にできると思います。

鎌倉のように買い食いが楽しめるお店や、地元の特産品を使った軽食を提供するカフェがあれば、町歩きだけでも楽しい時間が過ごせるかと思います。

地元産のシラスやタコを使ったお土産品もいいですし、観光客が立ち寄りたくなるといいですね。

川島

観光の時間を伸ばす工夫があれば、経済効果も期待できますね。

犬塚さん

そうですね。滞在時間が増えれば、飲食やお土産の購入も増え、地域経済も活性化します。

ただ、現状では訪れる方々が滞在できる宿泊施設がまだ少ないのも課題です。

新しい施設の開業が、この町にとって大きなプラスになるとうれしいです

川島

町全体が盛り上がれば、地域の人たちにもより愛着が湧きそうですね。

犬塚さん

そうですね。地元の人たちが自分たちの町の良さに気づき、それを訪れる方に伝えていくことで、さらにいい流れが生まれるはずです。

アントラーズというシンボルを中心に、カシマを訪れる人たちにとっても、地元の人たちにとっても誇れる町になればと願っています。

川島

最後に、訪れる方々へのメッセージもお願いします。

犬塚さん

カシマは、豊かな自然と広がる空、そして歴史と文化が息づく魅力あふれる地域です。

地元産のシラスやタコを使った料理は、カシマならではの味覚だと思います。

これから地域全体で滞在型観光を推進し、参道や観光地がさらに楽しくなるような仕掛けを増やしていきます。

鹿島神宮や鹿島アントラーズのスタジアムで特別な時間を過ごし、地元ならではの食や文化をぜひ味わってください

訪れるたびに新しい発見がある、そんなカシマでお待ちしています!

〈聞き手=川島(デジタルハリウッドSTUDIO by SAKURA 卒業生)〉

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