企業インタビュー
日本が「世界から尊敬される国」になるには? 78歳の経営塾塾長とZ世代経営者が考える“若者の輝き方”
これからの日本を担っていく“三銃士”とは…?
新R25編集部
“ホンモノ”に触れ“ホンモノ”を学ぶ経営塾「一流塾」。
この塾を率いるのは、伝説の政治家・田中角栄さんの元秘書で、株式会社一柳アソシエイツ代表取締役・一柳良雄(いちりゅう・よしお )さん。『応援される人 42の言葉』(日経BP)を上梓したことでも注目されています。
今回はそんな一柳さんと、16年続く一流塾の中でも“歴代最年少”の生徒である株式会社FinT 代表取締役 大槻祐依(おおつき・ゆい)さんの対談をお届け。
ホンモノの経営者を排出してきた一柳さんと、Z世代代表として世界に活躍の幅を広げている大槻さんが思う「日本の明日を担う若者たちの育て方」とは…?
「一流塾」とは?
真の経営者に足りうる人材を輩出し21世紀の日本経済に貢献することを目的として、2008年に一柳さんが創設。
「ホンモノに触れる」「人間力を磨く」「よき仲間たちとのネットワーク」という3つの“場と機会”を提供し、現在の卒塾生は630名を超えています。
講師ならびに特別ゲストは、塾長である一柳さんが尊敬する、政・官・財・学・芸術・メディアの最高峰の友人・知人ばかり。
「立派な経営者を育てたい」という想いと情熱を持った、人間力溢れる“ホンモノ”の人生の達人から、直に経営のノウハウを学べます。
一流塾
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株式会社FinTとは?
大槻さんが早稲田大学在学中の2017年に創業。メルカリ、KDDIなど大手企業200社以上に、SNS起点のプロモーション、グローバル展開支援を行うマーケティングのプロ集団。
運営する若年層女性向けSNS メディア「Sucle」の総フォロワー数は100万人以上を誇ります(2024年1月時点)。
SNSマーケティングを強みに、ブランド事業やグローバル事業を手掛け、現在スタッフ100名まで成長。
代表の大槻さんは2021年に、一流塾14期生として入塾。卒業後は、2023年05月にベトナム拠点を立ち上げるなど、グローバルに活躍の幅を広げています。
株式会社FinT
株式会社FinT
一流塾で痛感した、「日本をよくする」必要性
一柳さん
物事に出会い、そこから“気づき”を経て飛躍するかどうかは、その人次第。
オタマジャクシがカエルになるように。あるいは、さなぎが蝶々になるみたいに。
“変態する”とでもいうのかな。塾での出会いを通して、大槻さんはどう変わった?
大槻さん
一流塾で学んだのは 、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」の精神です。
自分たちだけとか顧客だけじゃなくて、「日本をよくする」というメッセージをすごく強く受け取りまして、なるほどと。
あまりに感銘を受けたので、会社のパーパスまで変えてしまいました。
大槻さん
それまでのパーパスは「世界をまるごとハッピーに」というふわっとしたものだったんですけど、「何に向かって頑張っていこう?」と改めて考えて。
SNSマーケティングを行う日本の会社だから、「日本を前向きにするためにやるんだ!」と思うと同時に、「だからこそグローバルに出ていく企業にならないといけない」とすごく感じました。
そこから今は「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」っていうパーパスに変えたんですけど…
そのぐらい「社会をよくしたい」「日本をよくしたい」ということを考えるようになりましたね。
大槻さん
今まで日本を作り上げてきてくださった一流塾講師の方々の話を聞くことによって、自分たちもそうありたいという気づきを得ました。
「このままじゃダメだ、日本は。もっともっと若者世代が変えなきゃいけない」って、こんなに熱心に、夢を持ちながら言えるのってかっこいいなあと思って。
自分が90歳のおばあちゃんになったときに、次の世代にそう言いたいなと思うようになりました。
一柳さん
一流塾のよさは、専門がないことなのよ。いい意味でぐちゃぐちゃ。
ビジネスのプロから政治家、芸術家までいるけど、みんな“ホンモノ” をもった人。生徒もみんなバラバラでね。
そういう多様性にあふれるなかで、「自分っていうものはなんなんだろう? 何を学ぶんだろう」と考えると、そっからドーンと視点が変わって、景色が変わるんだよ。
大槻さん
おっしゃる通りで、今までの私はスタートアップ業界の中にいることが多かったんですよね。
大企業の社長の方々や、日本の外交の最前線で闘ってきてこられた方々の話を聞いて、「あ、目の前のことだけではダメだな」と痛感しました。
よく「10年後の未来を描く」って言われるじゃないですか?
でも、未来は描くだけではダメで、10年後に「これを達成したい」という目標の積み重ねでできていくもの。目線が長くなったのが、一流塾での大きな学びだなと思います。
一柳さん
そういってもらえると、うれしいね。
“変態になる”のは、学んだだけじゃダメ。学びと気付きを活かして、夢に向かって実行していかなあかん。
行動すると、失敗も起こったりもするけど、だんだん身体が覚えてくれて、 知恵に変わる。
この“知恵”が、今度新しいイノベーションを起こす輝きになるんちゃうかな。
いまの若者に必要なのは「海外に出て、異なる視点を身につけること」見える景色が変わる!
「日本を世界を前向きに」との宣言通り、大槻さんは一流塾での学びを活かし、グローバルな活動にも進出。
ベトナムで日本企業のASEAN進出支援をしたり、ASEANと日本のZ世代のリーダーたちが集う「ASEAN JAPAN Generation Z Leaders Community」に日本代表として選出されたり…。
グローバルな視野を持ち活動しつづける大槻さんに、一柳さんが問いかけます。
2023年12月の「ASEAN・Z世代ビジネスリーダーズサミット」にて。最前列右端が⼤槻さん 出典:首相官邸ホームページ
一柳さん
いまの若者たちは、SDGsや環境問題にも関心が高くて、とてもいいことやと思うんだけど、ある意味すごい優しいなあと。
優しさはとても大事。だけど優しさだけじゃ強くならないどころか、ますます弱くなる。
いまの若者には優しさはあるけれど、「私はこれをやりたいんだ!みんなを巻き込んでこんなことを起こすんだ!」って覚悟がないように感じる。
もう一度、日本が世界から尊敬される国、若者たちが目を輝かせる国になるために、次代を担う若者たちには何が必要だと思う?
大槻さん
私は海外に出ることが大事かなと思います。
私自身、学生時代の留学や研修で海外に行ったことがとても大きな経験になっていて。
「日本の中で思ってる日本と、世界からみた日本ってこんなに違うんだな」と痛感したし、それをもっと認識する必要があると思うんです。
いま、パスポートの取得率が約17%*と、すごく下がっているんだそうですよ。
*2022年末時点 外務省 旅券統計
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/passport/index.html
一柳さん
そんなに低いの?
大槻さん
韓国とかと比べても、日本はやっぱり低いんです。もったいないですよね。
もちろん現地で働いたり、バックパッカーのように長期滞在することも大切ですけど、まずは短期でもいいから海外に行ってみてほしいんです。
私自身海外に出たことで「いま日本でこれだけ国際競争力が下がってるんだ」って実感しましたし、外に出ていく必要があるんじゃないかなって思いますね。
一柳さん
いや、もうおっしゃる通り。僕も聞いてて思ったんだけど、若い人たちには修羅場を経験してほしいね。
僕自身も通産省(現:経済産業省)に入省して、宮澤喜一・田中角栄通産大臣の秘書をやって、先生たちに生きるための気づきとヒントをもらった。
そこから海外に出て、ハーバード大学に留学したり、パリの国際エネルギー機関(IEA)で勤務したりした。
一柳さん
視点が変わるとね、本当に景色が変わったんだよ。
そういうのを体験すればするほど世界は広くなるし、物事ってのはいろんなことが混ざり合って起こるんだって分かるしね。
大槻さんは、ベトナム進出やASEANとの関わりを経て、見える景色がどう変わった?
大槻さん
日本もベトナムもお互い仏教国なので、すごく勤勉なのが共通点なんです。
逆に「人に任せない」というか、きちんと自分で内製して改善していく力がすごく高いんですけど…そのぶん、やっぱり発信力・プレゼン力が弱い。
アメリカやASEAN各国に行くと、人にうまく伝えることがすごい得意なんですよね。プレゼン力がないと、どんどん低く見積もられてしまいます。
ちょっとしかできないことも「できる」と言って、取っていく。
それが自分の殻を破るチャンスだと思うんですけど、日本人もベトナム人も結構シャイなところがあるので、そこは殻を破っていく必要があるなと思います。
一柳さん
たしかに。日本は“沈黙は金”だ、あんまりペラペラしゃべるなって言うからね。
でも外国に行ったら“沈黙は敗北”。認めたことになっちゃう。
大槻さん
あと、ベトナムの若者はめちゃくちゃ英語喋れます。それを日本人はあまり知らないんですよね。
日本人はこんなに勉強しているのに、英語を喋れない。もちろん私もまだまだだと思うんですけど、これは課題と捉えていて。
言語としても日本は島国なので、英語力は今後乗り越えていく必要があるなと思いますね。
一柳さん
おっしゃる通り、体験って大事。
海外に出て、現地の人の親切さに触れたり、場合によってはトラブルに巻き込まれたり、いろんな体験をしてね。それで自分も磨かれていくっていう。
そのほうが、世界も含めて分かってくると思うんだ。そしたら改めて日本のよさも見えてくるからね。
これからの日本を担っていく“三銃士”とは?
一柳さん
これからの日本を担っていくのは、三銃士。
「よそ者」「馬鹿者」、そして「若者」。これが揃うとものすごい熱量が生まれる。
外の知恵と内部をとりまとめて実行する情熱、それに若者たちが一緒になる。それが、持続可能な社会につながっていくんやろな。
大槻さん
若者と大人って強みが違うと思うんですよね。 若者はそれこそ変化に強かったり、新しいものを知ってたり。なによりもパワーがあって、変わっていける。
大人は先に生きた人としての経験と、今まで培ってきた知識の持ち主で。それを両者が合わさって、調理していくことが大事ですよね。
うまくディスカッションして、お互いにリスペクトしあって、活かしていけたらいいなって。
「これだからいまの若者は」ってなるんじゃなくて、可能性を信じる必要があるんじゃないかなと思います。
一柳さん
若者も大人も価値観はみんな違うから、それぞれの価値観を超えた上位概念で、お互い手を握るのがいい。
目標を決めて可視化して「これを求めてお互いやりましょうね」ってすると、議論からちょっとした会話まで、ものすごく建設的になるはずなんだよね。
それがないから、壁と対立構造が生まれちゃう。「お前ら分かってないな、感性にぶい」「古いことばっかり言って」とかね、そんな対立構造ばっかりになる。
一柳さん
たとえば「お年寄りが穏やかな顔をしていて子供がにこやかに元気でいる豊かな社会」とか、目標はこういうのでもいいんだよ。わかりやすいし誰も反対しない。
よし、一緒にそれに向かっていこうよと同じ方向さえ向けたら、「あなたは何できるの?」って前向きな会話が生まれる。そんな社会がいいね。
経営塾塾長、官僚、そして田中角栄さんの秘書として。78歳を迎えた一柳さんが、貴重な経験の中から得た知見をまとめた書籍『応援される人 42の言葉』が好評発売中。
仕事やコミュニケーションのコツなど…「官僚」という安定を捨てて、天下りもせずにベンチャー起業を成功させた一柳さんのマインドも学べます。
『新R25』では、同著の内容を特別に抜粋した記事も公開中!これからの未来をよい方向に変えていきたい方は、ぜひご一読を。
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