キーワードは「自己分析again」。「会社員は最強の職業!」と語る、世界中を旅する「リーマントラベラー」の“はたらくWell-being”とは
連載「“はたらくWell-being”を考えよう」
新R25編集部
リモートワークの浸透などと相まって、「はたらき方改革」が世間の潮流となって久しい昨今。
現場ではたらくビジネスパーソンの中には、「本気で仕事に打ち込もうと思ったらはたらき方改革なんて無理」「自分らしいはたらき方なんて難しい」と感じている人もいるはず。
そこで、パーソルグループとのコラボでお送りする本連載「“はたらくWell-being”を考えよう」ではモヤモヤを感じているあなたへ「令和の新しいはたらき方」を提案していきます。
今回紹介するのは、平日は会社員としてはたらきながら、週末に世界中を旅する「リーマントラベラー」の東松寛文さん。日本ではたらく期間を「トランジット」と定義し、2016年に世界一周を達成しています。
1児の父となった現在も世界中を飛び回り、自身のSNSにて発信。その生き方がメディアからの注目を集め、新卒入社した広告代理店での会社員を続ける傍ら、TV出演や講演、本の出版など多方面でも活躍されています。
今回は、「会社員は最強の職業!」と語る東松さんに、会社員の魅力を通した“はたらくWell-being”についてお聞きしています。
「会社内にやりたいことがない」「最近はフリーランスも増えて、会社員を続けていいのか悩んでいる」という読者の方、必見の内容です。
1987年生まれ、岐阜県出身。新卒から広告代理店勤務。社畜寸前の生活を送っていた中で、社会人3年目に行ったロサンゼルスでのNBA観戦をきっかけに、週末旅に目覚める。2016年には、会社員をしながら世界一周を達成。12年間で89ヵ国・222都市に渡航。“週末海外”のスペシャリストとして、TV出演・講演・執筆など多数。1児の父
「働きながら、どこへでも行ける!」
— リーマントラベラー 東松 寛文| Hirofumi Tomatsu (@ryman_traveler) April 6, 2024
会社を辞めずに世界一周を達成した話など7つの旅のエッセイを収録した最新刊『リーマントラベラー 週末だけで世界一周』がいよいよ全国の書店&Web書店にて発売!お手に取っていただけましたら泣いて喜びます😭
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リーマントラベラー誕生の瞬間は、会社員であることを「決め直した瞬間」
くぼちゃん
新卒で広告代理店に入社され、在籍15年目とのこと。就職活動のときから「旅ができる仕事がしたい」という軸があったのでしょうか?
東松さん
いえ、就職活動のときは特にありませんでした。
というのも、銀行員の父と専業主婦の母という家庭環境で、大学の友人もみな当たり前のように会社員になる環境だったため、当時は会社員以外の選択肢を知らなかったんです。
広告代理店を受けた理由は、父が何気なく言った「向いていそう」という言葉を覚えていたから。それぐらいフワっとした感じでした。
当時は、海外もほとんど行ったことがなかったんです。
くぼちゃん
ええ!? 今は、“週末海外”のスペシャリストとして活躍されているので意外です...!
東松さん
僕の海外旅行への目覚めは、割と遅咲きなんですよ。社会人になってしばらくは、社畜寸前の日々を過ごし、楽しみは週末の合コンや飲み会という生活が続いていました。むしろ、それが会社員のあるべき姿だと思い込んでいました。
そんな中で、社会人3年目のときに、ロサンゼルスでのNBA観戦のチケットが手に入ったんです。
仕事も忙しく、行けるわけがないと思っていたのですが、一度トライしてみようと何とか有給を申請し、初の海外ひとり旅に行ってみたんです。
くぼちゃん
そこで旅に目覚めたのでしょうか?
東松さん
そうなんです! 英語も話せず日程も短い中でしたが、すごく楽しめたんですよね。
旅が合コンや飲み会よりよっぽど楽しいことに気づき、そこからは週末を利用して海外へ旅するようになりました。
週末旅をしたいがために、業務時間内に仕事が終わるよう生産性が高いはたらき方を心がけるようになりました。その結果、会社内での評価も上がったんです。
くぼちゃん
仕事にまでいい影響が出ている!
東松さん
そうなんですよ。でも困ったことに、ようやく仕事にも慣れてきたけれど、旅ほど夢中にはなれないなと、モヤモヤし始めました。
くぼちゃん
初めてならワクワクしていた業務にも、徐々に慣れていったと。モヤモヤした気持ちと、どう向き合ったのでしょうか?
東松さん
まず、「なぜ自分は、こんなに旅をするのか? どうして旅が好きなのか?」を徹底的に自己分析してみたんです。
旅をしている中で僕がもっとも楽しい瞬間は、観光地に行くことより、色んな国の人と色んな話をしているとき。たとえ貧しくても、はたらいていなくても、毎日笑顔で楽しそうな人が世界にはたくさんいると知るのが楽しかった。
社会人6年目で訪れたキューバの人の温かさは、今の活動の原体験にもなっています。
東松さん
世界中のさまざまな人と出会い、話すことで「自分はどう生きていきたいのか?」に、徐々に意識が向い始めました。
くぼちゃん
旅で、価値観が広がったのですね。
東松さん
僕にとって、旅を通して得た一番の奇跡は「生き方には選択肢がある」と気づけたことなんです。価値観も大きく広がり、会社員という選択肢に縛られずにキャリアを考えられるようにもなりました。
そして、「世界は広い。いくらでも選択肢はある」ということを、僕だけではなく、多くの人に知ってほしいと思ったんです。
そんな自己分析の結果、自分がやりたいことは、「会社員をしながら世界一周に挑戦をして、生き方には選択肢があることを広く伝えるリーマントラベラー」だと気づきました。
くぼちゃん
リーマントラベラー誕生の瞬間!
東松さん
僕は、なんとなく会社員になって、なんとなく広告代理店を選びました。それまでの人生もとくにこれといって、やりたいことはなかったんです。
そんな僕が、人生で初めて「やりたいこと」を見つけた瞬間。同時にそれは、僕が会社員であることを「決め直した瞬間」でもありました。
最強の職業「会社員」の安定した給料と心の余裕をもとに、外で挑戦することが“はたらくWell-being”
くぼちゃん
会社員であることを決め直した。
東松さん
そうなんです。今は、会社員でいることを自分で選んでいます。
くぼちゃん
東松さんが考える、会社員のメリットは何でしょうか?
東松さん
何より、毎月安定して給料が入ること、それを資金に旅に行けることです。
安定した給料や居場所があることで心の余裕が生まれますし、だからこそ新しいことにも挑戦しやすい。もし外で失敗しても、戻ることができる会社員という土台がありますからね。
最強の職業「会社員」をしながら、外でやりたいことに挑戦することが僕の“はたらくWell-being”を実現するには欠かせないんです。
そして、会社員であり続けることを決め直したら、会社でもはたらき方にも変化がありました。
くぼちゃん
どういった変化ですか?
東松さん
以前は正直、仕事に対してどこか「会社からやらされている」と感じていました。でも、自分で決め直したことで、仕事に対し能動的に取り組めるようになったんです。
また、それまでは、仕事が人生の中心であり、会社の評価が自分の評価のすべてになっていました。けれども今は、自分の人生の中の一つの要素として会社が存在し、会社の評価だけが自分の評価ではないと考えられるようになりました。会社と自分の主従関係が逆転したんですよね。
くぼちゃん
ちなみに、会社員を辞めようと思ったことはなかったのでしょうか?
東松さん
なかったです。辞める必要がなかったんですよね。
以前出版した本を今年文庫化したのですが、その帯に編集者さんが、「働きながらどこにでも行ける」とつけてくれて。まさにその通りなんです。
くぼちゃん
大好きな旅を本業にしたいとは思わなかったのでしょうか?
東松さん
旅を本業にしてしまうと、自分が行きたくないところに行ったり、商業的なつまらない旅になってしまったりする気がしたんですよ。
自分が旅に求めることは、現地の人と話をして、知って、「生き方には選択肢があると伝える」ことですからね。旅はそのための手段であり、かつ大好きな趣味という位置づけです。
僕は、やりたいことを必ずしも仕事にしなくてもいいと思うんです。
やりたいことが会社の外にある可能性は大いにあり、僕の場合はまさにそうでした。会社員という土台があるからこそ、やりたいことに挑戦できる。やりたいことが見つかった相乗効果で、会社員の仕事も楽しくなっている。
やっぱり、「会社員」は最強の職業だと思います。
できないと決めているのは自分。生き方の選択肢を広く伝え、思い込みを外したい
くぼちゃん
東松さんのやりたいことである「生き方の選択肢を広く伝える」ということについて、詳しく教えてください。
東松さん
なにごとも「できないと決めているのは自分」であり、その思い込みを外せるような発信をしたいと思っています。
僕は会社員をしながら世界一周していますが、これは一見無謀だと思われがちなんですね。
でも実際は工夫することによって実現可能だった。リーマントラベラーという方法自体は少しクレイジーかもしれないけど、僕が発信することで、誰かの「できない」という思い込みが「できるかも?」に変化するきっかけになったらうれしいですね。
くぼちゃん
それらのお取り組みによって、東松さんが得られる喜びややりがいは何でしょうか?
東松さん
「投稿を見て、初めて海外ひとり旅に挑戦します!」「子どもが大きくならないと海外旅行は無理だと思っていましたが、行けるんですね!」など、みなさんのダイレクトな反応が見られることですね。
僕の発信を見て「一歩踏み出した」という声をもらえるのが、一番うれしい瞬間です。
くぼちゃん
願い通り、思い込みを外している人が増えているんですね!
東松さん
常時100人在籍しているリーマントラベルサロンというコミュニティも、思い込みを外すきっかけや、一歩踏み出すひとつのきっかけになればと思って運営しています。
旅好きな人たちが集うコミュニティはいくつかあると思うのですが、リーマントラベルサロンは、はたらくを軸にしたうえで旅をしたい方が多く集まっているという特徴があります。
はたらくことも大事にする方たちの、サードプレイスをつくっていきたいと思っています。
くぼちゃん
会社員の仕事、旅、SNS発信やサロン運営などかなり多忙かと思いますが、両立のために意識していることはありますか?
東松さん
101%:200%の法則は、常に意識しています。苦手なことは101%まで頑張る、得意なことは200%で全力投球しています。
くぼちゃん
苦手なことも101%で頑張るとは、すごいです...!
東松さん
会社以外で好きなことをやっているからこそ、会社員としての責任をきちんと全うしようと考えているんです。そうすることで、同じ会社の人からもリーマントラベラーの活動を応援してもらえるのではないか、と。
それに、会社員の仕事は、苦手なことを頼まれる場面も少なくないですが、チームではたらいているという強みを活かして、協力し合う関係性づくりが大事だと思います。
僕が得意なことは率先して行い、苦手なことは得意な人にお願いする。そういう意味での効率化によって、会社以外でやりたいことに時間を回せるんです。
くぼちゃん
会社員として、組織ではたらくならではのメリットですね。
東松さん
リーマントラベラー誕生以前は、会社員は、オールマイティに活躍できるジェネラリストがいいという価値観を持ち、常に3割バッターを目指していました。
ただ、旅でいろんな生き方に触れたことや、やりたいことがなかった僕がやりたいことを見つけて挑戦したことで、誰しもがホームランを打てる、つまり「得意を活かすはたらき方でいい」と考え方が変わったんです。だからこそ、101%:200%の法則が誕生しました。
キーワードは「自己分析again」。“なりたい像”ד幸せの規模感”で、ゴールから逆算する
くぼちゃん
新R25の読者が、やりたいことを見つけるためにはどうしたらいいでしょうか?
東松さん
「自己分析again」をおすすめします。
就職活動をしたことがある方ならば、一度は自己分析をしたことがあるのではないでしょうか。考えてみれば、社会人になってから自己分析ってしてこなかったなと思って。
徹底した自己分析により、僕は「リーマントラベラー」という生き方を見つけました。
くぼちゃん
自己分析again!
東松さん
一度自己分析をしたら終わりではなく、人生の節目などでバージョンアップすることも大切です。
僕は、結婚をし、子育てをしはじめたタイミングでも、また自己分析をやり直しました。その結果、育休期間中に子どもとタイで過ごすことを選択できたり、子連れ旅を発信してお子さんがいる方の思い込みを外したいという願いも見つけたんです。
くぼちゃん
具体的には、どのような方法で自己分析をしたらいいですか?
東松さん
“なりたい像”ד幸せの規模感”を考え、ゴールから逆算をすることですね。
幸せの規模感とは、自分が幸せにしたいのは、数人なのか、数千人なのかということ。規模感がわかることによって、自分のはたらき方や仕事、必要なお金も見えてきます。
僕は「より多くの人に」伝えて幸せにしたいと思ったからこそ、SNS発信という手段を使い続けています。
くぼちゃん
幸せの規模感! あまり意識したことがなかったです。
東松さん
日本の価値観だと、何か大きなことをする方が良いとなりがちだと思いますが、幸せの規模感は人それぞれ。家族だけを幸せにしたいという願いも、素晴らしいことなんです。
僕の場合、“なりたい像”ד幸せの規模感”をゴールから逆算し、最短距離で走るためは「リーマントラベラー」が最適解でした。
今後も会社員を続けながら、子育てもしながら、いつか宇宙に行くことが目標ですね。より一層、みなさんの思い込みを外せるのではないかと思っています!
<取材・文=くぼちゃん>
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