企業インタビュー
「書類送検」もトラブルもすべて売り込む。箕輪厚介が“ビジネスの主人公”になれたメディア活用論
新連載「メディ活アワード」
新R25編集部
あなたの企業は、「メディ活」できてますか?
企業からの情報が消費者に届きにくくなっている時代に、“企業発信”も変革する必要があるはず。「メディアから取材されたらラッキー」 「取り上げられて終わり」のような受け身ではなく、能動的にメディアを活用し、掲載事例を事業成長につなげていくべきなのでは?
新R25の新連載「メディ活アワード」では、メディアを活用したアクティブ企業発信「メディ活」を取り上げ、企業発信のありかたをアップデートしていきます。
今回は、編集者の箕輪厚介さんに、お話を聞いてきました。
出版社・幻冬舎に所属しながら、個人会社も立ち上げ、スタートアップのコンサルなどを幅広く手掛けてる箕輪さんは、まさにメディアの力を利用してビジネスを拡張してきた第一人者。
個人的にもキャリアのヒントになりそうなお話を聞きたく、珍しく幻冬舎オフィスで打ち合わせ中の箕輪さんのもとを訪れてみました。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
「メディ活のメリットは、“ビジネスの登場人物になれる”こと」
天野
箕輪さんは、メディアを上手に活用して著名になられた方だと思うんですが、“ビジネスの世界で、メディアに露出するメリット”ってどんなところにありますかね?
箕輪さん
メディアに出ると、まず「登場人物」になれること。
箕輪さん
僕がまだ駆け出しで『ネオヒルズジャパン』(双葉社)っていう与沢翼の雑誌をつくったときに、『KAMINOGE』(プロレスを中心としたムック本)に“日本一下品な雑誌をつくった男”っていう企画で載せてもらって。
天野
当時からそんなイジられ方を…
箕輪さん
そうすると、近い業界の人がみんな読んでるから、“仕事の場における登場人物の1人”になれるわけ。
飲み会に呼ばれたり、「箕輪君って知ってる?」みたいに紹介してもらえたり。
天野
メディアを使ってビジネスシーンで名乗りをあげられたんですね。
箕輪さん
そうそう。登場人物になり、主人公の1人になる。
そうなれば、あとはラクよ。
最近おれのYouTubeの切り抜きがよくバズるんだけど、その内容が「30代からは人とのつながり。誰を知ってるか? 誰に知られてるか? で仕事するしかない」っていうもの。
髪ビショビショでラフに喋ってます
箕輪さん
自分個人が露出しない場合でも、会社として“登場人物”になれてないとキツいよね。
スタートアップへの顧問で箕輪さんがアドバイスすることを教えてもらいました
箕輪さん
同じ話で、いろんな会社の顧問をしてると「いいものをつくってても誰も知ってくれない」っていう悩みが多い。
テレビに出たい、メディアに取材されたい、どうしたらいいですか?って聞かれる。
天野
なんてアドバイスしてるんですか?
箕輪さんのメディ活アドバイス①「ネットで勝手に騒ぐ」
箕輪さん
「フェスをやってください」って。
天野
難易度高くないですか?
箕輪さん
うん(笑)。
でも結局、今はネットで話題になったものをテレビとかのマスメディアが見て、どんどん大きくしていってるわけ。
だから、「ネット上でコンテンツをつくってざわざわ騒いでおけば、みんなネタ探してるんだから取材来ますよ」って言ってて。
箕輪さん
なんか今チョコミントが流行ってるんだって。
チョコミント好きが集まった「東京チョコミン党」っていう人たちに「勝手にフェスとかやったほうがいい」って言ったら、「東京チョコミン党フェス」っていうのをやって、話題になってた。
天野
そんなの流行ってるんですか…
箕輪さん
小さくてもいいから、何かざわつきをつくって、声を掛けやすくされる。
自分たちから取材されるような輪を広げていけるといいよね。
箕輪さんのメディ活アドバイス②「属人的なニオイが大事」
箕輪さん
ただ、無機質なプレスリリースを思考停止で出してるだけだと微妙で。
メディアの人ならわかると思うけど、プレスリリースってめちゃくちゃ来るじゃん。誰が読んでるんだろう?ってぐらい。
天野
ノーコメントでお願いします。
箕輪さん
だいたい編集部のバイトが仕分けとかしてるじゃん。俺も最初の仕事がそれだったんだけど。
でもやっぱり、もう少し人間性にひもづいた、属人的な匂いがするほうがいいんだよね。
天野
言ってる意味はわかりますけど…どうやって発信を「属人的」にするんですか?
箕輪さん
俺の場合はめちゃくちゃ露骨よ。
あらゆるトラブルをネタにする。それをメディアに話しちゃう。
箕輪さん
『ネオヒルズジャパン』の表紙撮影で、有名カメラマンのレスリー・キーが与沢翼の表紙を撮影するってことになってたんだけど、前日に「怪しいからイヤだ」ってなって(笑)。
天野
前日に…
箕輪さん
なんとか撮影してもらって、発売までこぎつけたんだけど、発売当日に与沢翼が書類送検されるっていう(笑)。
天野
ヤバすぎるだろ。
箕輪さん
でも、こういうあらゆるトラブルを、「全部売り込もう」って決めたわけ。
とにかくメディアに話しまくったら、「すごいすごい」って話題になるようになって。
あんまり参考になりませんでしたが、属人的な情報発信を心がけるべきとのことでした
天野
ちなみに、新R25は“メディアを能動的に活用してビジネスを推進する”「メディ活」という概念を提唱してるんですが…
箕輪さんも新R25の新サービス「企業インタビュー」を活用してくれてますよね。
箕輪さん
そうそう。実際に村をつくろうっていうプロジェクトで、“村人”を募集してみたわけ。
これ(企業インタビュー)は読み物として面白いし、すごいよね。マジで思ったもん。
いろんなメディアでできることだけど、実際にやろうとするとすごく無機質なものになっちゃうと思う。いつもの“新R25のトンマナ”があるから良いものに仕上がってるよね。
天野
ニオイや手触りのある企業発信ツールとして、活用してもらえればと思ってます…!
箕輪さん
さっきも言ったように、プレスリリースって誰でも出せるのにすごいオフィシャルなニュースに見えるじゃん。
でもこっち(企業インタビュー)のほうが、「メディアに載ったんだ」っていうことで、さらに箔がつくよね。
アリだと思います!
メディアを使いこなすことで、「主人公や登場人物になれる」。
メディアに登場して数年、時の人となった箕輪さんのキャリアを体現するような言葉でした。
企業発信でも、そもそもビジネスシーンの登場人物になれているか?という視点は重要かも。
アクティブに発信し、“勝手にどんどん騒いでおく”ことで、多くの露出が得られるかもしれません。
連載「メディ活アワード」では、これからも、アクティブな企業発信を事業につなげている人々を取材していきます!乞うご期待。
〈取材・文=天野俊吉〉
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