企業インタビュー
東大卒元外資系コンサルが選択した「地域」というキャリア。「LOCAL CAREER FORUM 2024」登壇者に注目
「希望の総和を増やしたい!」
新R25編集部
地方企業が都心部のプロ人材を採用するためのダイレクトスカウトサービス「チイキズカン」。
中途限定だったチイキズカンが、8月20日に学生向けののイベント「LOCAL CAREER FORUM」を開催するそう。
今回は、実際に地方で活躍し「LOCAL CAREER FORUM」に登壇する株式会社NEWLOCALの代表取締役・石田遼さんと、第4期NewsPicks Student Pickerの3人の学生の対談をお届け。
横山椋大さん、大野明日香さん、石光悠真さんの3人が、キャリアについて、地域ビジネスについて…学生の素朴な疑問をぶつけます!
NewsPicks Student Pickerとは
NewsPicksでの積極的なコメントやオリジナル企画、番組企画、定期的なユーザーインタビューへの参加、学生コミュニティの共創などを行っている。任期は約6カ月で国内外からさまざまな視点を持った学生が参加。※2024年3月末で第5期まで続いたStudent Pickerは一旦終了
株式会社NEWLOCALとは?
“地域からハッピーシナリオを共に”をミッションに、不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指す。
パートナーと共に、各地域の課題やアセットに合った事業を行う地域会社を設立し、複数の地域の事業を経営。現在は長野県野沢温泉・御代田町、秋田県男鹿市の3地域でビジネスを創出・展開している。
【石田遼さん】1986年東京生まれ。新卒でMcKinsey & Companyに入社し、その後は建築設計、経営コンサルタント、不動産IoTスタートアップと様々な立場からまちづくりに関わる。2022年株式会社NEWLOCAL創業。「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに日本各地で不動産開発を中心としたまちづくりを行い、人口減少社会における持続可能な地域モデルの実現を目指す。半分は東京、半分は各地を飛び回る生活
東京出身、元外資のコンサル出身が地域に注目するきっかけ
石田さん
私は東京生まれ東京育ち、いまも東京在住で完全な都会っ子。
外資系コンサルティングファームにいたあと、2017年に都市不動産向けのIoTプラットフォームを提供するベンチャーを起業し、数年経営したのちにコロナ禍が発生。これが転機になりました。
海外に行けず国内を旅行しまくっているときに、面白いことをやってる人たちと出会い、いてもたってもいられなくなって…気がついたらNEWLOCALを立ち上げていました。
石田さん
地域の方と接するのが単純に楽しくて、そのまま仕事にした感じなのですが、人口が減少する世の中で、どうやって人類は21世紀をハッピーに生きるのか、そのストーリーを作りたいなと。
日本における地域の課題先進エリアにおいて、その“解”を出すことができると、世界的にもインパクトがあるんじゃないかと思っているんです。
大野さん
なぜ、地域に関わりたいと思ったんですか?
石田さん
私はもともといろんな街に行ってそこの生活に触れるのが好きで、大学も建築畑出身です。キャリアを通じてもずっと街づくりや建築、不動産といった領域には何らかの形で関わってきているんですね。
自分のキャリアパスを考える中で地域でまちづくりをしたいという思いは常にありました。初めは市長になることなども考えたのですが、いろいろな方と会ううちに、プレイヤーとして地域を変えていきたいという想いが強くなりました。
コロナ禍、平日は東京でオフィスビルの稼働率や商業の売上を考えつつ、週末には地域へ行っていろんな人と会っているときに、東京よりも地域の人たちの方が“未来”を感じる瞬間があって。
大野さん
未来…ですか?
石田さん
はい。行くたびに「人生かけてやってる」という、ライフスタイルと仕事が一気通貫している姿がカッコイイなと思うようになったんです。
大野さん
海外とのビジネス経験が豊富だと思いますが、そのままグローバルやIT系という選択肢はなかったんですか?
石田さん
今の私たちのパートナーも、実は海外経験がある人、世界レベルを見てきたという人が多くて。そのうえで、日本の良さを再認識しています。
世界と戦うパターンには2種類あって、世界のどこでも通用するグローバル人材として生きる方法と、日本人であることを生かして戦う方法とがあると思うんですね。
大野さん
なるほど…
石田さん
地域に関しては、グローバルな観点も持ちつつ、ローカルにいろいろアクションできるのが面白いと思っていて。
その地域しか知らないんじゃなくて、より広い、外の視点を持って、自分の意思と戦略を持って地域に関わるというのは非常に重要だと思いますね。
石光さん
海外と日本のまちづくりで大きく違う点はありましたか?
石田さん
国内でも海外でも、個人の想いや力からスタートして地域は変わるなと思います。
例えばニューヨークで、もともと廃線だったところを空中庭園にしたハイラインという大人気の観光名所があるんですが、地元の任意団体が「壊すのでなく残して活用しよう」と言い出しのが発端なんです。
石光さん
想いの強さというか。
石田さん
そうですね。そういう例はいろいろあって、日本の地域においても、海外に対して響く事例をつくりたいなと思っています。
今のキャリアへの本音と若者に求めること
石田さん
今の日本って、希望を語れる人が本当に少ないと思っていて。
希望って、単に楽観的なだけではダメで、私は「こういうふうにしたらよくできる可能性がある」ということを語れる人でありたい。
うちの会社のバリューは3つあって、「妄想に色を」 「泥臭くあれ」 「心を共に震わせよ」。
野沢温泉にて、遊休不動産を改築したミュージックバー「GURUGURU」
石田さん
“日本って人口減ってるけど面白いところたくさんあるよね”って、世界中から視察に来るような地域をじゃんじゃん作りたい。
希望を具体的な形にするために泥臭く行動し、関係する人の心を震わせる人でありたいと思っています。
石田さん
だからこそ私らは、その地域での希望の総和を増やすことをいちばん重視しています。
横山さん
希望の総和ですか?
石田さん
商売がうまくいった、人口減が止まったといった具体的なのもあれば、その地域に活気が出てきたみたいな目に見えないものもある。
それらを全部ひっくるめて、“希望”を明確に作ろうと思って活動しています。
大野さん
地域ビジネスに関わる方々は若者をどんどん取り込みたいと思っているケースが多い印象を受けますが、実際はどうですか?
石田さん
ちなみに若者って何歳ぐらいの人を想定しています?
大野さん
私たちと同年代の…大学生から社会人2、3年目の方ぐらいでしょうか。
石田さん
いやあ、地域で言ったら私も圧倒的若者なんですよ(笑)。
というのはさておき…、20代後半から30代前半ぐらいの若くてイケイケの人に来てほしいと思う一方で、自分自身のことを振り返ると、新卒時代は海外で世界に通用する人材になりたいと思っていたし、秋田に出張するよりはニューヨークに出張したほうがかっこいいとか思ってたんですよね。
石田さん
それを一周したからこそ、今地域に興味を持てているのかもしれないとも思うんです。だから、私からは何とも言えないです。
ただ、消極的撤退として地域をターゲットにするのはよくないなと思いますね。
大野さん
消極的撤退ですか?
石田さん
「東京に疲れたから、地元に戻りたい」といったパターンですね。自分のスキルを地域で活かしたい、積極的に高みを目指すパターンならよいのですが…
頑張れる人は東京に残り、頑張れない人は地域に戻るみたいになっちゃうと、ポジティブに戻っていないなと思っています。そもそも、地域で事業を作ることって本質的には多分東京で作るよりむずかしいんですよね。
その上で、そこにチャレンジしているかどうかみたいなことは結構考えた方がいいかなって気はしますかね。
学生だからこそ、地域に飛び込むと面白い
横山さん
地方でのビジネスを視野にいれる若者に対してメッセージはありますか。
石田さん
今地域の第二世代で、面白いことをやっている経営者が増えているんです。
大企業よりもベンチャー企業を選ぶ若くて優秀な人が増えているのに近い現象で、アーリーアダプター的に、今地域に飛び込むと面白いなとは思います。
一方で、いきなり起業するのは相当難易度が高い。よっぽど自分に自信、こだわりがない限りは大変そうだなと思いますね。
大野さん
今まで私は地方にそんなに興味を持っていなかったんですけど、街づくりには何か惹かれるところがあって。
今から数年後でも、30代とか40代になってからでも、道として一つ選択肢として、考えていきたいなというふうに思いました。
石光さん
僕は小さいころから東京の都市の進化や変革に関わりたいという情熱を持って生きてきたんですけど、最近になって地域の魅力とか可能性に目を向けることの重要性にも気づき始めて。
東京で得た経験や知識、スキルを地域活性化にも生かしていけたらと思うようになったので、今後は多角的な視線でものごとを見ていきたいなと思います。
横山さん
私は今24歳で、これから地域に入っていきたいと考えているんですが、私自身がいずれ石田さんのようなイノベーターになりたいという想いもあります。
そして、希望を語れる人間になりたいと思いました。
石田さん
地域って、全人格的に戦う場なので、今後いろいろなところで戦っていく中で、かなり良い経験を積めるタイミングだと思うんですよね。
だから野心があってリスクをとれる学生の方こそ、飛び込むと面白い経験ができるんじゃないかなと思います。一緒に地域を作っていきたい方、お待ちしています!
お話を伺ってみると、地域の未来と地域で働く面白さを感じました。石田さんは、8月20日に開催される「LOCAL CAREER FORUM」にも登壇予定。
イベントページや情報は随時公開予定なので、興味がある方は、ぜひ申し込んでみてください!
地方企業とキャリアの選択肢を広げたい学生をつなぐ“いつでも戻っておいで券”を出すイベント「ローカルキャリアフォーラム」
「LOCAL CAREER FORUM」についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をチェック!
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