企業インタビュー
“企業が言えば言うほどウソになる”時代にすべきことは一つだけ。みずほ銀行のCM&キャンペーンが話題
「“企業が何かを言う”構造自体を変えなきゃいけない」
新R25編集部
みずほ銀行が、「新生活応援キャンペーン」をスタート!
渋谷の街でのリアルイベントから、あのYOASOBIを起用したテーマ曲のCMなど、複数の施策が走っているよう…。
若者に向けられたメッセージということで、R25世代に向けて、どんな意図を持って仕掛けられたのか、同行執行理事・柳田晃嗣(やなぎだ・こうじ)さんにくわしく聞いてきました。
なんと、最大1万8,000円が現金でもらえる※とのことなので、金欠気味の若手はぜひ。後半では、あの方が広告・PRの最先端持論を語っておりますので、そちらもあわせてお楽しみください!
※詳しい条件や留意事項はみずほ銀行WEBサイトでご確認ください。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
2月から渋谷で注目を集めていた「やさしい電話ボックス」ってなに?
天野
いろいろウワサを耳にする、みずほ銀行の新キャンペーンの真相を聞きにきました。
柳田さん
みずほ銀行では、2月から「新生活応援キャンペーン」として、取り組みをスタートしています。
まずは、2月1日から11日にかけて、SHIBUYA109前広場とMIYASHITA PARK遊歩道において、体験型イベント「やさしい電話ボックス」を展開しました。
皆さん、渋谷で見ましたか?
天野
109前に“みずほカラー”の電話ボックスが設置されてるの、見ましたよ!
柳田さん
「やさしい電話ボックス」は、人に言えない、新生活への意気込みや悩みを打ち明けることができる“当行オリジナルの青い電話ボックス”。
受話器を取って悩みを話していただくと、内容に応じた応援メッセージが記載されたカードがその場でボックスから出て、プレゼントされます。
柳田さん
「やさしい電話ボックス」に寄せられた新生活への意気込みや悩みには、3月4日から『渋谷のラジオ』において期間限定オリジナル番組としてスタートした「やさしいラジオ」内でパーソナリティが答えてくれるという企画を実施しました。
天野
『渋谷のラジオ』、聴いたことあります。
柳田さん
鈴木おさむさん、なかやまきんに君さん、ハリセンボンさん、平野綾さん、山科ティナさんの5組が、3月4日~3月8日の毎朝9時からの放送で答えてくださったんです。
また、みずほ銀行のLPA(ライフプランアドバイザー)も出演し、新生活のお金の悩みにプロとして寄り添うコーナーもありました。
YOASOBI、山科ティナ起用のオリジナルムービーや新CMを放映。そして現金プレゼントキャンペーンもありがたすぎる…!
柳田さん
さらに、あのYOASOBIの新曲「HEART BEAT」をテーマ曲としたメッセージの発信も実施。
私自身、歌詞に深く共感しまして…
2月1日のキャンペーン幕開けのタイミングでは、渋谷駅前の大型画面にて、YOASOBIの新曲と漫画家の山科ティナさんとコラボレーションしたイラストで構成された、キャンペーンの開始を告げるオリジナルムービーを放映しました。
柳田さん
また、さまざまな方の悩みに寄り添う5パターンの動画を制作しているのですが、そのうち「新入生篇」をテレビCMとしても放映しています。
柳田さん
そして、5月31日までに新規口座開設などを条件を達成した方に5,000円、さらにみずほ銀行のサービス利用など各種条件を達成された場合には最大1万8,000円(※前述の5,000円を含む)を現金でプレゼントします。
各種条件の詳細についてはキャンペーンページをご参照ください。
天野
なんと! それはかなり応援されてしまいますね…。新生活でお金についていろいろ相談したいこともあるし、R25世代にはよいタイミングかもです。
なぜ“電話ボックス”である必要があった? GO三浦「現代の広告の構造そのものを変えたかった」
天野
ちなみに、今回の施策はThe Breakthrough Company GOが携わっているとか。ということで企画を提案したクリエイティブディレクター・GOの三浦崇宏さんもまじえて聞いていきたいんですが…
三浦さん
やっと俺の出番が来たね。
【三浦崇宏(みうらたかひろ)】博報堂を経て、2017年にThe Breakthrough Company GOを設立。クリエイティブディレクター・PRプランナーのほか、情報番組のコメンテーターやラジオパーソナリティーとしても活躍中。今日はだいぶ春らしいカラーでの登場ですね
三浦さん
今回の施策で、すごく考えたのは「“企業が何か言えば言うほど嫌われる時代”にPRとは何をすればいいのか?」っていうこと。
天野
またデカいテーマですね。
そこから、まずどんなコンセプトを考えたんですか?
三浦さん
みずほさんってほかのメガバンクに比べて「47都道府県、支店が津々浦々にあります」ということが強みのひとつとしてあったんだよね。
生活者からすると「いろんなところに窓口があって、僕たちに寄り添ってくれる」と言える。それをしっかり価値として伝えていくことが最大の戦略だった。
天野
たしかに僕も、NISAとかiDeCoとかよくわからなくてみずほの窓口に行ったことありますね。
三浦さん
でも、それを「俺たちは寄り添うぞ!」ってデカい声で言うだけじゃ、まったく寄り添えてないよね。
根本的に“企業が生活者に何かを言う”って構造そのものを変えられないか?と考えたんだよ。
けっこう広告の根本を揺るがすことを言ってますね
三浦さん
「社員の声を聴かせてくれ!」とか言うくせに、いざスケジュール見ると「打ち合わせ、会食、会食」で埋まってて、聴く気ないだろ!っていう上司、いるじゃん。
天野
いますね。
三浦さん
まあ俺のことなんだけど(?)。
実際に聴くアクションをしないと嘘つきなんだよ。でも、世の中の広告って多くがそう。
だから、本当に「話を聴く」ものをつくろうと思ったの。
天野
それで「電話ボックス」や「ラジオ」のアイデアにつながったんですね。すごい納得感。
PR施策を成功させるために必要な…2つの「PRバリューをつくる仕掛け」
天野
今回、ニュースなどでかなり取り上げられてましたが、PR施策としての成功理由はどこにあるんでしょうか?
柳田さん
「面白い」って、第三者が共鳴してはじめてニュースになるということを痛感しましたね。発信者だけじゃなくて第三者の声が複数あって、ニュースになる。
三浦さん
まさにそうです。テクニカルに言えば、「継続的なPRになったことで、“体験したユーザーの声がPRバリューになった”と思ってる。
当初は、「タレントさんを呼んで大規模な発表会をしよう」という案もあった。
ただ、そういった“一発”ではなく、2週間やりつづけたことで、キャンペーンを目にしたユーザーの声が広がり、その声が集まってバリューになった。
柳田さん
2つめに、具体的な“取材したくなるもの”があるというのは大きかったですね。
「電話ボックス」って、若い世代にとっては新鮮で「電話ボックスの使い方知ってる?」という会話が生まれる。もう少し上の世代からは「懐かしい」という声が出てきたり。
そういった“声の発生装置”をつくれたことは意義がありました。
天野
ユーザーからの自発的な声が大事…とは最近よく聞きますが、それを狙ってつくる装置が用意されてたんですね…。今後のPRの仕事のためにメモっておきます…
メガバンクが“新生活”を支援する意義とは
天野
“新生活応援キャンペーン”なのに内容が「悩みを相談する」だったり、キャッチコピーが「誰だって、新しい一歩の前ではふるえてるんだ。」だったり、“不安”をテーマにしてるのも新鮮ですよね。
柳田さん
金融機関っていうのは面白くてね。それは人の人生の分岐点に関わるからなんです。
今回のキャンペーンに先立って、我々も多くのお客様の声を聞きました。それで、新生活って、“ワクワク”より先に不安の“ドキドキ”が来るんじゃないかと思ったんです。
天野
なるほど。
柳田さん
新しい生活に対して一歩踏み出すときって、これは使い古された言葉かもしれませんが、“勇気”が必要だと思うんです。
そんな若い人たちの“勇気”に対して、キャンペーンを通して支援できればと。
柳田さん
若い人たちが勇気を持って一歩踏み出してくれたら、そこにはきっと成長があるし、我々の成長もある。そして日本全体にもいい変化を作り出せるんじゃないか…
そういう気持ちで運営してますので、R25世代の皆さんにもぜひ興味を持ってほしいですね!
〈取材・記事=天野俊吉(@amanop)〉
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