企業インタビュー
「AIには受験では勝てない。だからこそ…」人間が“ハイパフォーマー”になるための思考法とは
「年齢に関係なく進化」するためには
新R25編集部
「仕事で成果を出している人がうらやましい」「トッププレイヤーになりたい」
そう思う人は多いのでは?
そこで「企業トピ」にて展開する新R25書籍トピックス局では増子裕介さん・増村岳史さん著『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に注目。
お二人いわく、「高いパフォーマンスを出せる人は、ジャンルにかかわらず共通した思考を持っている」そう。
継続的に成果を出すために、必要な思考法をお聞きしました。
〈聞き手=森田志穂(新R25編集部)〉
増村さん
共著者である増子さんとは、私が社会人になった1年目に仕事を通じて知り合いました。新人時代の取引先である広告会社電通の新入社員同期であり、営業担当だったんです。
そんな増子さんからひさびさに連絡がきて。
「ハイパフォーマー(=どの企業、どの組織にも存在する継続的に高い成果を上げている人々)」の分析・研究をしており、さまざまな職種のさまざまな人々に仕事のパフォーマンスに関するインタビューをしているので、私にも取材をしたいという連絡をもらったのが、この本を執筆したきっかけなんです。
森田
営業っぽくないような…?
増子さん
営業は営業で仕事として面白く、やりがいを持って働いていたのですが、入社20年目を迎えた頃、社内FA制度を使って人事畑にジョブチェンジしていたんです。
森田
人を育成するためにハイパフォーマーについて研究していたんですね。
増子さん
はい。私は元々、何かを新しく始めるときに、「その分野でうまくいっている実例」をできる限り収集し、そこに共通する「成功のエッセンス」を分析するのが好きで。
「ハイパフォーマー分析」の特徴は「優秀人材を優秀人材たらしめている要素を徹底的に因数分解し、言語化する」というところにあります。
たとえば「人が驚くようなアイデアを次々と思いつき、ヒットCMを連発している広告クリエイター」や「どんなに気難しい営業先であっても、コンスタントに実績を出し続けているスーパー営業」など、継続的かつ安定的に成果を上げている人物というのが存在します。
こういった人々を目の当たりにしたとき、「あいつは特別だから」「人と違ったセンスがあるんだろうね」といって済ませてしまっているのではないでしょうか。
森田
あるかも…
増子さん
もちろん、圧倒的な成果を上げるためには「天性」や「運」も必要かもしれませんが、「ハイパフォーマー分析」は単発ではなく「継続的かつ安定的に」というところがポイントです。
増村さん
その分析結果は「自分自身の知的体力をアップデートし、自身のパフォーマンスをとてつもなく、しかも無理なくアップさせるための指南書」だったのです。
森田
そんなことができたら…うれしいですね!
増村さん
また変化が激しく、複雑で不確実性が高い環境において、昨日の最新は今日の旧型になってしまうことが十分にありえます。常に自分自身をアップデートしていかねばならないのです。
そんななかで継続的に高い成果を上げている人々であるハイパフォーマーたちの思考や行動様式を知り、そしてそれをどう行動に結びつけていくか。その秘訣を知り得るのが一部の人たちだけではもったいないと思い、筆を執ることにしたのです。
AI時代に必須なのは「自律的に考える力」
※以下、『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』(増子裕介・増村岳史)より
大学受験を経験している方は、そのときのことを少し思い出してみてください。
最近は総合型選抜に代表されるような小論文試験や面接を導入した思考型入試を採用する大学も多くなってきましたが、大学入試の王道は、あらかじめ用意された問いに対していかに時間内で回答ができるか、です。つまり、知識をいかに頭に叩き込み(暗記)、回答までのパターンを記憶できるかが重要なキーポイントとなります。
記憶や暗記、要は情報の記録についてはヒトよりコンピュータに大きく軍配が上がります。
よってAI「東ロボくん」は優秀な受験生たり得るのです。
しかし、シマウマを見たこともないのに脳内で想像(=創造)するには、「シマ」と「ウマ」の意味を理解し、「ウマ」という概念に「シマ」という概念を掛け合わせるという思考が絶対的に必要なのです。
また、AIが何らかの答えを出すためには、「全ての情報」から「判断に必要な情報」を選び出さなくてはなりません。
将棋や囲碁で「AIが名人に勝った」と騒がれましたが、これらのゲームでは盤上のマス目が有限であり、それぞれの駒が動ける範囲も決まっていて、「一手ずつ交互に差し合う」というルールが存在します。しかし、実際の戦争は全く違います。「どこまでが戦闘範囲なのか」すら分からず、武器の射程距離もさまざまで、何より「互いに一手ずつ」などという悠長な決まりはありません。
戦争という極端な状況に限定せずとも、我々は日々の生活やビジネスにおいて、無限とも言える情報の中から「考慮すべき項目」と「無視してもかまわない項目」を区別し、時間的制約もある中で判断を下し続けていますが、AIにはこのような取捨選択ができません。
つまり人間にしかできないこと、それは正解がない問題をさまざまな角度から掘り下げ思考し行動する力なのです。これを「知的体力」と言います。
人生100年時代と言われる昨今、私たちを含め多くのビジネスパーソンは80歳まで働く可能性があります。冒頭で述べたように、既に終身雇用という日本独自のシステムが終焉を迎えつつある現在、1社に留まり漠然と定年まで働き続けることは難しいでしょう。転職や職種を変える、または独立起業するなど、キャリアシフトを重ねていかなければなりません。
そしてそのためには、自律的に成長できる知的体力を修得することが大切なのです。
体力は残念ながら年と共に衰えてゆきます。しかしながら、知的体力は年齢に関係なく進化・成長させることができるのです。
この知的体力を身につけることこそ、ハイパフォーマーへの第一歩なのです。
知的体力を身につけるのに必要な「OS」と「アプリケーション」とは?
まず、アプリケーションにあたるものが、知識やスキルです。知識やスキルは業種によって違います。
たとえば営業のスキルであればプレゼンテーションスキル、交渉のためのスキル、商談をまとめて受注するためのスキルがあります。
生産部門のスキルであれば、在庫管理のスキル、納期管理のスキル、運用管理のスキルなどでしょうか。
営業、生産以外にも企画、開発、人事、総務、製作などさまざまな職種ごとにさまざまな業種のスキルがあります。
ゼネラリストを養成するメンバーシップ型であれ、個々人がそれぞれのスキルを極めてゆく職種であるパイロットやグラフィックデザイナー、建築家などのジョブ型であれ、仕事を遂行するにあたってのスキルは必ず存在します。
スキルは、時代や会社の体制や戦略によっても変わります。
パソコンやスマートフォンのアプリにおいても、季節毎やその時々の流行りがあるように、求められるスキルはどんどん変わってゆきますし、時間と共に陳腐化してしまうことも往々にしてあります。それと同じです。
前述しましたが、戦国時代と天下泰平の時代では官史に求められるスキルは大きく違いますし、会社の体制やスキルによっても大きく変わります。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)を大きく推進してゆく会社組織であれば、業種や職種にかかわらず、高度なITスキルが求められます。
その一方で、OSにあたるものが思考・行動様式なのです。
パソコンやスマートフォンのOSは、基本構成は変わらずに定期的にアップデートされます。そして、OSがアップデートされたのに対応して、アプリケーションがアップデートされます。
人の思考・行動様式も同様です。OS上でアプリケーションが動くように本人の思考・行動様式がなければ、身につけたスキルをうまく活かすことができません。
いや、スキルを身につけようとする思考・行動様式がなければ、そもそもスキルなど身につきません。スキルは使ってこそ生きてくるものなのです。
さらに、スキルも、思考・行動様式があるからこそ、そのなかでアップデートされていきます。思考・行動様式は、知的体力をアップデート(向上)するための土台(基礎)となるのです(図2)。
スキルの多くは可視化できますし、学べば手に入ります。
その点、思考・行動様式は目に見えませんし、おいそれと手に入るものでもありません。OSにあたるものですので、陳腐化することもありません。
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