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「どういう資格を取ればいいですか?」と考える人は何が見えていないのか?『ハイパフォーマー思考』#2

「どういう資格を取ればいいですか?」と考える人は何が見えていないのか?『ハイパフォーマー思考』#2

大谷にもジャンボ尾崎にも共通する「ある行動」

新R25編集部

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「仕事で成果を出している人がうらやましい」「トッププレイヤーになりたい」

そう思う人は多いのでは?

そこで「企業トピ」にて展開する新R25書籍トピックス局では増子裕介さん・増村岳史さん著『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に注目。

お二人いわく、「高いパフォーマンスを出せる人はジャンルに関わらず共通した思考を持っている」そう。

本書が「高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式」として5つ目に掲げているのが「常に学び続けること」。「年齢関係なく学び続け、思考をアップデートしていく必要がある」というのですが、どういうことでしょうか。

継続的に成果を出すために必要な思考法を、同書より抜粋してお届けします。

「学んだ貯金があるから大丈夫」は通用しない!? 知識で足場を固める“準備”より大切なこと

※以下、『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』(増子裕介・増村岳史)より

「人生100年時代」が避けがたい現実となり、「リスキリング」や「学び直し」といった言葉が各種メディアを賑わすなか、「学んで、まずは足場を固めることこそが最重要項目ではないのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これをあえて後半にもってきているのには明確な理由があります。真面目な人ほど「学ぶこと」からスタートしがちで、そのために隘路(編註:あいろ)にはまりこんでしまうケースが散見されるからです。

ハイパフォーマー分析から導き出された正しい手順は、「まずやってみて→駄目だと思ったら柔軟に方向を修正し→自分が『プレイ』できるフィールドを決める」まで進んでから、「何を学ぶべきか」を考えるという流れです。

ジャンボ尾崎がゴルフの技術を本格的に学んだのは野球を断念してからですし、大谷もアメリカに渡ってから、「堅いマウンドに合わせた投球フォーム」や「手元で微妙に動く速球に対応するためのすり足打法」等のスタイルチェンジを行いました。

これとは逆に、「事前に万全の準備をして→その『貯金』で生きていけるフィールドを探す」という順序で進もうとする人が少なくないため、「正しいステップ」を踏むことの重要性を強調しておきたいのです。

自分の経験をふまえてお話ししますと、私と同じように「人事」というフィールドでのセカンドキャリアを検討している方から、「どういう資格を取ればいいでしょうか?」と質問されることがよくあります。

その人たちが期待しているのは「○○検定」や「○○士」といった答えのようなのですが、私はその種の資格は何も持っていません。また、持っていないことで不都合を感じたこともありません。

ここには本書のテーマである「思考・行動」のワナが潜んでおり、受験エリートなど、それまで順風満帆な人生を歩んできた人ほど「まず足場を固めて、安心できる環境を確保してから一歩を踏み出そう」という思考パターンに陥りがちです。

つまり、「これくらいの大学に行っておけば、これくらいの企業に入社できて......」という「先の見通しが利くパスポート型のライフプラン」を描きたがる傾向があるのです。

社会基盤や経済構造が長期にわたって安定していた時代はそれでも良かったのでしょうが、VUCAと言われる現代においては、むしろ避けるべき思考様式です。

※VUCA:不確実性が高く未来の見通しを立てるのが困難な状態。

「まず学んでから」ではなく、「必要に応じて学ぶ」から活用しやすくなる

以前は資格を手に入れた後に職がついて来る、または有名大学を卒業すれば一生安心して人生を送れるようなパスポート型の社会でした。

しかしながら現在は世の中を取り巻く状況が刻一刻と変わり求められるスキルも変化し続ける、いわば有効期限が定められているチケット型の社会と言えます。臨機応変に必要に応じて学び続ける姿勢がとても大切です。

生涯を通じて進化を続けた葛飾北斎に学ぶ「学び続けること」の重要性

ここでちょっと絵を見ていただきたいのですが、①は葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』です。

北斎がこれを描いたのは1831〜1833年と言われていますから、70歳を超えてからの作品ですが、それより25年ほど前に描かれた②と比べると、テクニックが劇的に向上していることが分かります。

売れっ子の浮世絵師として既に名声を手に入れていた北斎は、その地位に甘んずることなく、当時の感覚では最晩年なんぴんとも言える70歳から遠近法などの洋画のテクニックを習得し、中国の南蘋派の表現も取り入れながら、世界を驚かせるダイナミックな絵を完成させたのです。

『富嶽三十六景』の2年後に出版された『富嶽百景』に、北斎は次のように書いています。

「私は6歳より物の形状を写し取る癖があり、50歳の頃から数々の図画を表した。

とは言え、70歳までに描いたものは本当に取るに足らぬものばかりである。73歳になってさまざまな生き物や草木の生まれと造りをいくらかは知ることが

ゆえに、86歳になればますます腕は上達し、90歳ともなると奥義を極め、100歳に至っては正に神妙の域に達するであろうか。100歳を超えて描く一点は一つの命を得たかのように生きたものとなろう。

長寿の神には、このような私の言葉が世迷い言などではないことをご覧いただきたく願いたいものだ」

「長生きも才能」と言われる通り、当時としては驚異的な長寿である90歳まで生きた北斎ですが、彼からすれば『富嶽三十六景』は「やっと少しわかってきた」程度で、その後も死ぬまで「まだまだこれから!」という気持ちを持ち続けていたのです。

こういった例を目の当たりにすると、年齢などを理由に「新たな学び」を諦めてしまうのは実にもったいないことだと思えてなりません。「加齢と脳機能の低下は関係なく、筋肉と同じようにトレーニングによって向上し続ける」という研究結果が存在し、このことを体現しているロールモデルは私の周りにも多数いらっしゃいます。そして、そういった方々は全員が「プレイ」しているので、「新たな学び」そのものも楽しみながら成果を上げているのです。

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