企業インタビュー
年収1,000万円換算は「むしろ格安」!?鹿児島の老舗商社が実感した“地方企業×複業プロ人材”の可能性
都心部のプロ人材がいれば、地方は世界で戦える
新R25編集部
地方企業が都心部の複業プロ人材を採用するためのダイレクトスカウトサービス「チイキズカン」。
昨年秋にローンチしたばかりにもかかわらず、すでにたくさんの企業で“成功事例”があるんだそう!
そこで今回は、実際に「チイキズカン」で都心部のプロ人材を採用したという、鹿児島県の老舗地域商社「小平株式会社」の代表・小平勘太さんと、「チイキズカン」代表・坂本大典さんの対談をお届け。
採用までに懸念はなかったのか? そして採用後、社内にどんな変化があったのか…?地方企業の“ナマの声”をお届けします。
「いま“世界”に近いのは、東京より地方だと思う」元NewsPicks社長が再挑戦の舞台に「地方」を選んだワケ
「チイキズカン」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェック!
小平株式会社とは?
鹿児島県に本社を置く創業112年の地域商社。エネルギー(LPG、電力)・国際貿易・ITソフトウェア開発・ガソリンスタンド事業など多角的に事業を展開。
鹿児島、九州だけでなく、北中米、アジア、東南アジア、中東、EU等を含めたグローバルなビジネスを展開している。
【小平勘太(こびら・かんた)】2002年に京都大学農学部を卒業、2005にイリノイ大学院 にて修士課程を修了。都内での農業系ベンチャー起業を経て2010年に家業に戻る。2012年から112年続く商社の小平株式会社の代表取締役をしつつ、農業関連で2社起業。2022年から、小平株式会社をアップデートする「第4創業プロジェクト」を開始
コンサルとは少し違う…!? 「複業人材」ならではの魅力
坂本さん
まずは、小平さんがなぜ「プロ人材」を採用しようと思ったのか教えていただけますか?
小平さん
当社のエネルギー部門(LPG)は、よくも悪くも“昔ながら”のやり方で営業やマーケティングをしていて。
時代に合わせて変革する必要性を感じていたものの社内にノウハウがなく、「チイキズカン」を知って募集をかけてみることにしました。
こんな感じで募集していたそう(現在は掲載終了しています)
坂本さん
御社は「チイキズカン」を使っていただく前から、外部人材の活用自体はされていたんですよね。
小平さん
そうなんですよ。ここ数年、組織の問題がいくつか発生してしまい、もう自分たちだけでは解決できないなと感じていて。
そこを立て直すために、ここ2~3年はずっと組織コンサルタントの方に伴走してもらってます。
坂本さん
「外部の人が社内に入ってくる」ことへの抵抗感はなかったですか?
小平さん
コンサルの方が入った当初は多少アレルギー反応もありましたが…
実際にその方のおかげで組織状態が改善された実感もあったので、今はその懸念はほとんど解消されてますね。
坂本さん
そもそも御社では、チイキズカンのような「複業人材」と「コンサルタント」を、同じ“外部人材”として捉えているのでしょうか?
小平さん
感覚ですが、僕は別物だと捉えています。コンサルはあくまでお客さんで、複業人材はより身内に近く、ウエットな感じですね。
複業人材に期待するのは、コンサルより長く、深いところまで一緒に潜り込んで物事をよくしていくような働き方。
"半分家族、半分社員”みたいなスタンスになっていただけたらいいなと。
坂本さん
なるほど。僕らが「チイキズカン」を説明する際に、「コンサルと何が違うの?」と聞かれることがあるんですが…
僕としては、複業先の会社のことを「当社」「うちの会社」と呼べるかどうかが一番の違いだと考えていて。
まさに“家族”のような温度感を作っていければと僕らも思っているんですが…そういう関係性になるために、候補者に接する際にどんなことを意識されましたか?
小平さん
まずは“人間性”を知るところからオンボーディングをはじめました。
採用した方には鹿児島に来ていただいて、チームメンバーとランチしながら意見交換したり、人となりを知ってもらったりして。
これがコンサルだったら、オンラインで案件の打ち合わせをして、すぐ仕事がスタートするって感じですけど…
今回は案件自体が会社に大きな影響を与えるものなので、きちんとお互いを理解するところからプロジェクトに入ってもらいたいなと思ったんです。
現場も見てもらったうえで「やります」という意思確認ができたのは、会社の肝となるプロジェクトをおまかせするにあたって、すごくよかったなと思います。
都心部のプロ人材にとって、地方を知るのは“神聖”な体験
坂本さん
「チイキズカン」での募集に対して、何人くらい候補者がいましたか?
小平さん
大体7〜8人と面談しました。みなさんレベルが高くて面白い方ばかりでしたね。
最終的には、ナショナルクライアントの案件も多数手がけているマーケティング会社の経営者の方に決めさせていただきました。
坂本さん
その方の決め手はなんだったんでしょう?
小平さん
地域のプロジェクトにも関わっていたそうで、地域企業への理解が深かったというのもありますが…なによりの決め手は“フィット感”でした。
実際に鹿児島に来ていただいたときに、現場のメンバーとの親和性を感じられたのも大きかったですね。
とはいえ、ほかの候補者の方がダメだったわけではまったくなくて。個人的なつながりができたり、今後改めてご相談したい方にお会いできたりと、たくさんの収穫がありました。
坂本さん
面談は採用活動でもありつつ、いろんな人と出会って“人材プール”をつくれるチャンスだと考えているんです。
なにか新しいことを始めたいときに「あの人いいじゃん!」と思い出せるような人材と出会ってほしいと思っていたので、次につながる出会いをしていただけたのはとてもうれしいですね。
ちなみに、都心部のプロ人材とディスカッションするなかで、小平さんご自身の気づきはありましたか?
小平さん
地域企業って自己評価が低いところがあるので、都心部の方にこんなに面白がってもらえるんだというのは驚きでしたね。
坂本さんに「買い手市場だよ」って言われたときは「ホントかよ」と思いましたけど(笑)。
本当に7〜8件も応募が来て、しかもみなさんすごく素敵な方だったので。
坂本さん
みなさん、そこに気づいてないんですよね(笑)。
都心部の会社と地方の会社は、産業も文化も違うし、なにより歴史が違います。都心部に100年企業なんてごくわずかしかないですから。
どっちがいい悪いではなく…これだけ違いがあるからこそ、都心部の方が地方企業を知るのは“神聖”な体験だし、ご本人の成長にもつながると思うんです。
「年収換算1,000万円」は“高い”のか?
坂本さん
「チイキズカン」では、プロ人材に年収換算で1,000万円*の報酬を支払うルールになっているんですが…
いざプロ人材を採用する際、報酬はどのように決めましたか?
*年収換算とは年間業務時間を2,000時間として換算した場合の年収
小平さん
ご本人との合意のもと、時給5,000円・月20万円からのスタートにしました。
坂本さん
「うちは社員でも年収1,000万円換算の人なんていないよ」と心配される企業もいらっしゃるんですが…
社員と複業人材の単価感の違いに関して、懸念はありましたか?
小平さん
あんまり考えたことがないですね。
時給5,000円というのは、外注するとしたら特段高い費用でもないですし、「月給20万円」と天井がはっきりしているので、むしろ安心感があります。
社員のなかでも「なんでこの人だけ給料高いんだ」みたいなことは一切起きてないです。
小さい仕事で何十万円も払っているならさておき、専門性も知見も必要な大きい仕事をまかせているので、金額に違和感もないですね。
むしろ、安い金額でこき使うような採用のほうが違和感があるかもしれません。
坂本さん
そうなんですよね。しっかり対価を受け取るからこそコミットも増えますし、時間だけじゃなくてその人の経験を買っているわけじゃないですか。
だからこそ、最初の金額自体はお互いが納得すればなんでもよくて…
「会社が成長して儲かったらその人も儲かる」という、一緒に成長を分かち合えるような関係性を作っていただけたらうれしいですね。
小平さん
いいですね! 最終的にはストックインセンティブとかが出てきても面白そうです。
地方特化型求人サイト「チイキズカン」の仕掛け人が選ぶ、心躍る“複業×年収1,000万円相当”の求人3選
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坂本さん
まだ日が浅いとは思いますが、実際にお仕事をお願いしてみていかがでしたか?
小平さん
非常に仕事が丁寧でレベルが高く、とても満足しています。
今は全体のマーケティングプランの策定や、カスタマージャーニーの設計などをお願いしているんですが…初回の打ち合わせから、業界内の先進的な他社事例や、他業界の事例などのリサーチ結果も持ってきてもらえて。
プロジェクトにいる事業部長をはじめとして、シンプルに勉強させてもらってます。
並行して、僕らが1960年代くらいから使っている料金体系を作り替えるという作業もしているんですよ。
坂本さん
やはりインフレの影響が大きいんでしょうか?
小平さん
そうですね。今まで30年変えなくてよかったものを変えるというのは、すごく大きなチャレンジです。
このインフレ局面において、お客さんとどうコミュニケーションすればいいのかが誰もわからないなか…
「こういうコミュニケーションだったらプライスもこうしていきましょう」という第三者の意見をもらえるのはかなり安心感があります。
「地方企業×複業プロ人材」が、グローバルに発信できる最先端の事例に
坂本さん
「チイキズカン」というサービスを使っていただいて、率直にいかがでしたか?
小平さん
人材のレベルが高かったので、かなり格安感があると思いました。同じようなプロジェクトをコンサル会社に頼むと、とてもこの金額ではできなかったと思いますね。
田舎の経営者も、決算日までに車を買うくらいだったら、「チイキズカン」でプロ人材を採用したほうがはるかにコスパがいいと思いますよ(笑)。
坂本さん
それはうれしいですね(笑)。
小平さん
あと、社内にもすごくいい影響が生まれています。
今までは、社内で「これやってみたい」というアイデアが出てきても、「リソースがない」という理由で断念せざるを得なかったんですが…
これからは「チイキズカンさんに頼めばいいじゃん」ってことで、社内の可能性が一気に広がった感覚があります。
うちは先代までは“完全自前主義”で、絶対に外注するな! みたいな雰囲気があって。
それが徐々に、いろんな方のノウハウを借りながら人脈で勝負をしていくというふうに“マインドの変化”が生まれているので、そういう面でも意味のある採用だったなと思います。
坂本さん
ありがとうございます。最後に、「地方企業×複業プロ人材」のどんなところに可能性を感じていただけましたか?
小平さん
地域企業と複業プロ人材のマッチングには、「Place based innovation(地に根ざしたイノベーション)」を生み出すためのシナジーがあると感じました。
東京ではコモディティになってしまうような知見であっても、地方のリソースと組み合わせれば、グローバルに発信できる最先端の事例になると感じています。
今の地域企業には危機感を持っている経営者も多いと思うんですよ。特に僕みたいな跡継ぎの人間は、社会を見てから実家に帰っているので「やばいな」って感覚もすごくあって。
スカウトやヘッドハンティングより、リスクもコストも低いので、地方で危機感を抱いている経営者の方にはぜひ積極的に活用してみてほしいですね。
「チイキズカン」には、ほかにもさまざまな「地方企業×複業プロ人材」のマッチング事例が。
社員を超えて“家族”のように、同じ志を持って伴走してくれるプロ人材との出会いが、地方企業のステージを上げてくれることは間違いなさそうです。
「リソース不足」を理由に、アイデアの実現を諦めてしまったことがある企業の方はぜひ、「チイキズカン」を活用してみてください!
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