無料で使えるのはなぜ?

転職エージェントを使っても費用がかからない理由は? 現役コンサルタントがビジネスモデルを解説

キャリア

転職について調べていると、転職エージェントに関する情報を目にすることも多いでしょう。

求人案件の紹介や選考対策をおこなってくれる便利なサービスですが、気になるのはその費用。

どうやら無料で使えるようですが…「お金がかからないって逆に怪しくない?」「転職しないとペナルティを払わされるのでは?」などと不安になるかと思います。

そこで今回は、リクルートキャリアで転職エージェントとしての累計売上歴代トップを誇る“カリスマ転職コンサルタント”森本千賀子さんにご協力を依頼。

「転職エージェントはなぜ無料なのか?」について、詳しく答えていただきました!
〈聞き手=森かおる〉

転職エージェントは企業から成果報酬をもらっている

森

求職者は無料で転職エージェントを利用できるって、ホントなんですか?
森本さん

森本さん

はい。そもそも転職エージェントは、プロのキャリアアドバイザーが、求職者の希望や経歴に合った企業を紹介してくれるサービス。選考対策や内定後の交渉まで、すべて無料でおこないます。
森

そんなにいろいろサポートしてくれるのに無料なんて…何か裏事情があるのでは…!?
森本さん

森本さん

無料で使える理由は、転職エージェントのビジネスモデルにあります。

転職エージェントは、1人の採用が確定した時点ではじめて報酬が発生する「成果報酬型」。

採用した人の年収に基づいて算出される報酬の一部を、企業が“紹介手数料”として転職エージェントに支払う仕組みです。
森本さん

森本さん

求人している企業が紹介手数料としてフィーを払うため、求職者側は無料で使えます。

成果報酬の金額は、採用された人の年収によって決まる

森

ちなみに、転職エージェントが企業からもらえる「成果報酬」って、どのくらいの金額なんですか?
森本さん

森本さん

職種にもよりますが、基本的には採用された方の年収の30〜40%を報酬として受け取ります。

たとえば採用された方の年収が500万円だった場合、転職エージェントがもらえる報酬額は150万~200万円になる計算です。
森

なかなかの金額ですね…企業にとっては大きな出費だと思いますが、どうしてそこまでして転職エージェント経由で採用活動をするのでしょう?
森本さん

森本さん

自社サイトや転職サイト、求人誌などに募集を出して、応募してきた人全員の対応をする業務は、時間もコストもかかりますよね。

だったら、はじめから条件にマッチする人材のみ紹介してくれる転職エージェントを利用したほうが、企業にとって効率的で、負担も少なく済むのです。

また、転職エージェントを利用すれば、公にしていない極秘プロジェクトなどの人員を、なるべく外部に情報が漏れないように「非公開求人」として募集することもできます。

企業の選考の手間を省くために、応募が殺到しがちな人気企業の求人案件や、専門的なスキルを持った人だけを集めたい求人案件なども非公開にされることが多いですよ。
森

なるほど。逆に求職者側から見ると、転職エージェントを介せばレアな非公開求人に出会えるかもしれないということですね。

有料の転職エージェントは存在しない

森

求職者側がお金を払うタイプの転職エージェントは存在しないんですか?
森本さん

森本さん

人材紹介業は、法律で「求職者側から手数料を取れない」と決まっているため、有料の転職エージェントはありません。

ただし、キャリア相談や転職支援ツールを有料化するのはOK。たとえば「ビズリーチ」のように、一部有料でエージェントと出会える場所を提供しているサービスもあります。

転職エージェントを利用して費用が発生することはある?

ケース①:内定を辞退した場合

森

無料で利用できるとはいえ、なんらかの理由でペナルティとして費用が発生することはないんでしょうか? 

たとえば転職エージェント経由でもらった内定を辞退してしまった場合とか…
森本さん

森本さん

その場合も、特に費用は発生しません。

無理に承諾して短期離職してしまうと、自分の職歴に傷がついてしまうリスクもあります。もし気乗りしない場合や、ほかに気になる企業がある場合ははっきり断りましょう。

そして、内定獲得後も転職活動を続けられるように、あらかじめ複数の転職エージェントに登録しておくといいですね。

ケース②:早期退職した場合

森

転職エージェント経由で入社した会社を数ヶ月で早期退職してしまった場合は、さすがにペナルティが発生するのでは…?
森本さん

森本さん

早期退職の場合、求職者側がお金を払う必要はありませんが、転職エージェント側が企業に返金することになるケースもあります。

多くの転職エージェントでは、紹介した人が早期退職すると、企業に報酬の一部を返金しなければいけないという規定があります。

報酬が減ってしまうだけでなく、企業側との信頼関係に傷がついてしまいます。

だから転職エージェントは、両者のマッチングが希望通りに成立するよう努めなければいけないのです。

ケース③:転職エージェントに紹介してもらった企業に直接応募した場合

森

エージェントが紹介してくれた企業に、自分で直接応募した場合はどうですか? 
森本さん

森本さん

その場合も求職者が費用を負担することはないですが、企業が転職エージェントにお金を払うことになるかもしれません。
森

どういうことでしょう…?
森本さん

森本さん

支払いが発生する可能性があるのは、転職エージェント経由で選考を受けに来た求職者の採用を企業が見送った場合です。

その後1~2年間のうちに同じ人を採用する場合、たとえ直接採用だとしても、最初に紹介を受けた転職エージェントに報酬を払う契約になっている可能性があります。

ですので、直接応募はしてもいいけれど、念のため転職エージェントに連絡しておくほうが無難ですね。
森

ということは、転職エージェントに紹介された企業にはその場でエントリーしないで、後から直接応募すればいいってことでしょうか?
森本さん

森本さん

理論上はそうですね。ただ、エージェント側からするとあまり印象はよくないですし、手数料の有無だけで選考結果が変わる可能性は高くありません。

むしろ、転職エージェントのサポートを受けられないことがマイナスになってしまうかもしれないので、基本的には転職エージェントと相談のうえで応募するがおすすめです。
森

逆に、直接応募で落ちたことがある企業にエージェント経由で応募するのはどうでしょう?
森本さん

森本さん

そのパターンであれば、転職エージェントのアドバイザーに推薦状を書いてもらったり、自分に合った別の部署を紹介してもらったりすることで、採用の可能性が上がるでしょう。もちろん、その場合も費用は一切かかりません。

無料で使えるからこそ、注意すべきことは?

無料で使えていいことづくめの転職エージェントですが、少しだけ注意点も。詳しくはこちらの記事で解説しているので、合わせてご覧ください。

【1128人が評価】おすすめの転職エージェント

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転職エージェントを使った転職活動の流れ

転職エージェントを利用した転職活動は、下記のような流れで進みます。詳しくは、解説記事をチェック!

転職活動の流れを解説した図

転職エージェントに登録

まずは転職エージェントに登録するところから利用は始まります。

どの転職エージェントも無料で登録できるうえに、アドバイザーとの相性がその後の転職を左右するので、複数に登録してから厳選するのがおすすめです。

登録の際には、これまでの職歴や現職の職種/年収、転職の希望条件(年収/職種/タイミングなど)をあらかじめ入力するのが一般的です。

こちらの情報をもとにキャリアアドバイザーとの面談がおこなわれるため、正確な情報を記入しましょう。

情報の登録が完了したら、近日中に面談の日程調整の連絡がくるはずです。都合の良い日程で面談の予約をしましょう。

転職エージェントの担当者との面談

面談は各転職エージェントに所属するキャリアアドバイザー(または キャリアコンサルタント)とおこないます。

最初の面談では登録した職歴や転職の希望条件に関するヒアリングがおこなわれます。おそらく初めての転職のときに特に役立つのがこの面談です。

担当のキャリアアドバイザーは、転職市場の需要と照らし合わせてあなた自身が気づいていない強みやスキルを引き出してくれます。

職歴や希望条件を整理したあとで、それらの条件に合う求人を提案してくれます。その場で応募を強制されるようなことはなく、考える時間を設けてくれるはず。提案された求人を検討しましょう。

転職エージェントからの求人の提案は、良くも悪くも予想外のものが含まれる可能性があります。はじめは違和感があるような求人であっても、それがあなたにマッチすると考えての提案なはずなので、一度は真剣に検討してみるのがおすすめです。

また、このタイミングで転職サイトにも登録して、自分でいろんな求人を眺めるのも良いでしょう。

転職先への応募書類の作成

転職希望先が決まったら、次は書類選考用の書類を用意することになります。

ほとんどすべての作業を自分でこなさなければならない転職サイトとは違い、応募書類の準備についても転職エージェントによるサポートが受けられます。

まずは履歴書や職務経歴書を自分で書いてみて、それを担当のキャラリアアドバイザーに確認してもらいましょう。選考をおこなう企業側の目線でフィードバックがもらえます。

また、用意した応募書類と一緒に推薦状を用意してくれることが多いです。それらをセットにして選考通過の確率を上げてくれるのが、転職エージェントを活用する大きなメリットの1つです。

担当者と面接対策をおこなう

書類選考を通過したら、次は面接です。こちらのステップでも転職エージェントによるサポートが受けられます。

過去に応募した方の情報をもとに想定質問を共有してくれたり、希望する方には模擬面接もおこなってくれたりします。

特に初めての転職では勝手がわからないことが多いはずなので、何かしら困ったことがあれば担当のキャリアアドバイザーに遠慮せず言ってみましょう。きっと力になってくれるはずです。

内定後の手続き(給与交渉/退職準備)

転職エージェントによるサポートは、内定が出たあとにも続きます。

まず複数の内定が出た際には、入社しない企業への辞退の連絡を転職エージェント経由でおこないます。

そして入社を決めた企業とは最終的な条件を調整します。希望する年収や入社のタイミングなどを担当者に伝えると、できるだけ条件に合うように交渉をしてくれます。

最後には現職の退職準備のサポートもしてくれます。数々の退職者を見てきたうえでのノウハウがあるので、細かいことでも遠慮せずに聞きましょう。

これらが終わればあとは入社するだけ。新しい職場にスムーズに馴染めるように準備を進めましょう。

転職エージェントのよくあるQ&A

ここからは転職エージェントに関する“よくある質問と回答”をまとめています。

詳しい回答が気になる方は記事をご覧いただき、これからの転職活動に活かしてください。

Q

転職エージェントの利用がおすすめな理由は?

A

担当のアドバイザーがカウンセリングをもとに相性のよさそうな求人を提案してくれます。そのため良い意味で予想外の出会いが生まれやすいです。また、選考のサポートもしてもらえるので、初めての転職では特におすすめです。

Q

転職エージェントは無料?どうやって稼いでるの?

A

転職希望者は無料で使えます。 その理由は、採用が決まると企業から成果報酬がもらえるビジネスモデルだからです。

転職エージェントを使っても費用がかからない理由は?|新R25転職

Q

何社の転職エージェントを掛け持ちすべき?

A

違う強みを持つ転職エージェントを3社ほど掛け持ちするのがおすすめです。たとえば1つはリクルートエージェントなどの総合型の大手。2つ目は第二新卒向けなど自分の年齢に特化したもの。3つ目に希望の業界に特化したものなど。そうすることで、より希望する条件の転職が実現しやすくなるでしょう。

Q

中小の転職エージェントはイマイチ?

A

小さい転職エージェントの良さもあります。 たとえば特定の領域により特化していたり、あなたをより丁寧に扱ってくれたりするかもしれません。

Q

すぐ転職するつもりはなくても使っていいの?

A

キャリア相談するだけでも大丈夫です。そうやって使っている方も多くいます。また、まともな転職エージェントほど、転職意向度の低い方も相手にしてくれます。

転職エージェントの登録は、転職する気がなくてもOK?|新R25転職

Q

転職エージェントはいつ登録すべき?

A

転職活動が終わるまでにだいたい2〜3カ月ほどはかかります。なのでもし転職時期の希望があるなら、その3カ月前を目安に登録するのがおすすめです。また、すぐ転職するつもりがなくてもとりあえず登録しておいて、年に1回ほど健康診断のようなつもりでキャリア相談する使い方もおすすめです。

転職エージェントの活用法などをプロたちが伝授|新R25転職

Q

アドバイザーはどうやって選べばいいの?

A

会ってみて、いくつかの判断基準をもとに選定しましょう。特におすすめなのは下記のポイントです。

良いアドバイザーのチェックポイント

失敗しないアドバイザーの選び方をプロが解説|新R25転職

Q

転職エージェンを使わないほうがいいケースもある?

A

結局は担当者との相性が重要なため、当たり外れは確かにあります。また、転職サイトを使って自分で転職活動を進めるなどの代替手段もあります。しかし非公開求人を紹介してもらえるなど、利用するメリットも大きいのであえて避ける必要はないかと思います。一方、あえて使わなくてもいい人を挙げるとすると、行きたい会社が決まっていて直接応募をすれば良いケースなどです。

Q

面談の前には何を準備すればいい?

A

面談の前に、ある程度は転職の希望を明確にしておきましょう。そのほかの準備物は下記の画像や記事をご覧ください。

転職エージェントとの面談前に準備すべきことs

面談前に準備すべきものをプロが解説|新R25転職

Q

サポートを途中で断る方法は?

A

メールや電話で意思を伝えるだけでOKです。担当者がしつこいと感じたときや、「使えない」「むかつく」と感じたら、遠慮なくほかの転職エージェントを利用することをおすすめします。

転職エージェントの断り方/退会方法をプロが解説|新R25転職

Q

転職エージェントに面談を断られたらどうすべき?

A

そのほかの転職サービスを利用しましょう。 代表的なのは「リクナビNEXT」などの転職サイト。そのほかにもハローワークサポステといった厚生労働が運営する就労支援サービスを利用しても良いかもしれません。

Q

転職エージェントの裏事情が知りたい

A

転職エージェントは企業から成果報酬をもらうビジネスモデルのため、企業側の意図で動いている部分もあります。詳しくは下記の記事をご覧ください。

転職エージェントの裏事情”をプロに聞いた|新R25転職

Q

転職サイトも一緒に利用すべきですか?

A

転職エージェントと転職サイトは併用するのがおすすめです。なぜなら転職エージェントよりも多くの求人を自分で眺められるので、より自分の視野を広げるのに役立ちます。また、大手の転職サイトだと初めての転職をサポートするノウハウ記事も充実しているため、それらを読むのも良いでしょう。

転職エージェントと転職サイトの使い分けをプロが解説|新R25転職

Q

転職エージェント経由で内定辞退するには?

A

とにかく本音で誠実に話しましょう。

転職エージェント経由で内定辞退する方法をプロが解説|新R25転職

〈取材・文=森かおる(@orca_tweet1)、編集=石川みく(@newfang298)〉

精通者の詳細プロフィール

【森本千賀子(もりもと・ちかこ)】1993年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして3万人を超える転職希望者と接点を持ち、2000人以上の転職に携わり、累計売り上げ実績は歴代トップの実績がある。2017年3月に株式会社morichを設立し、同年10月に独立。エグゼクティブ層の採用支援を中心に、活動領域を広げている。著書に『本気の転職 パーフェクトガイド』(新星出版社)や『35歳からの「人生を変える」転職』(秀和システム )などがある

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